ハーモニックシンフォニー中編Ⅱ④
【注意】また奴が暴走しました。あとがきは狂気に染まっているので、精神的な負荷がある可能性がありますので、注意して読むか読み飛ばすかをしてください。
※とはいえ、1日じゃ書ける文字数にも限界があるので、前ほど長くはありません。今回は『7000字』ぐらい、本編の3倍ちょっとです。
大きな木造りのゴンドラに乗って席に座ると、周囲にはそれなりに多くの参加者がいるものの、ゴンドラ自体がかなり大きくて広いのでスペースに余裕はある感じだ。
そのまま少し待っていると、前方にカミリアさんが現れる。
「お待たせしました。それではそろそろ出発します。改めて、今回の案内を務めるカミリアです。よろしくお願いします」
カミリアさんが軽く一礼をしたあと、なにやら巨大なオールを取り出した。10mはあろうかという凄まじいサイズだ。
重量も相当だが、ソレを軽々と持っているのを見ると、カミリアさんも物凄い強者であるというのを改めて理解した。
「……いえ、まぁ、このオールは演出でこれで動くわけではないのですが、雰囲気作りですね。それでは、出発します。少し揺れますので気を付けてください」
カミリアさんが穏やかに告げてオールを構えると、巨大なゴンドラがゆっくり動き出す。そして同時に同乗した楽団が演奏を始める。
どこか民謡っぽい雰囲気の、穏やかながら少し哀愁を感じる曲だ。草原を行くゴンドラの上で聞く曲としてはこれ以上ないほど合っており、雰囲気が本当に素晴らしい。
「この空間は、特殊な結界魔法によって作られており、術者が想像した生物などを出現させることができます。あくまで幻影とでもいうべき存在なので、触れたりすることはできませんが、景色と共にお楽しみください」
カミリアさんがそう説明した直後、大草原が波打ち巨大なクジラに似た生物が現れ、大きくジャンプしてゴンドラを横に飛びこした。
これは凄い……草原がまるで海のように動くのもそうだが、クジラっぽい生物も大きな角があったりと、普通のクジラではなくファンタジー感の強い見た目だった。
その後もドラゴンが飛んできたり魚の群れが居たりと、なんというかいままでで一番魔法ファンタジー感が強いというべきか、かなりワクワクと楽しむことができた。
そのまま綺麗な音楽と心地よい風、草原の海というテーマの景色も素晴らしい。なんというか心穏やかになれる気がする。
そんな風に楽しく進んでいると、なにやら進行方向の先に巨大な壁が見えてきた。その壁には文字が書いており『実体です』と書かれていた。
それを見て、カミリアさんはオールを動かしていた手を止め、苦笑を浮かべる。
「……あはは、どうも私の部下たちは私にこれをやらせたいようで……少し失礼しますね。対策術式を施しているのでほぼ揺れませんが、少し注意してください」
そう言って持っていた巨大なオールを消したカミリアさん。いったいなにをするんだろうと首を傾げていると、カミリアさんはスッと右手を引いて構える。
「……8%」
直後に爆発でも起きたかと思うような音が聞こえると、巨大な壁が粉々に砕けた。そして、右手を振り切った姿勢のカミリアさん……え? いまパンチの風圧でぶっ壊したの?
「失礼しました……毎回壊すために巨大な壁を作り直しているのもどうかと思うのですが……」
そう言って苦笑したあとで、何事もなかったかのようにオールを再び出現させて漕ぎ始める。
え? カミリアさん、凄くない? 普段のイメージからは想像もできないほどパワフルな一撃だったんだけど……。
「さすが、大地の剛拳と謳われるカミリア様ですね。凄まじい一撃です」
「大地の剛拳?」
「ええ、カミリア様は防御能力に長ける反面攻撃能力が低めな傾向にある精霊族の中で珍しく、極めて高い攻撃能力を持つお方で、その凄まじい拳の一撃は大地の剛拳と呼ばれています」
感心したように告げるリリアさんに聞き返すと、簡単にカミリアさんについて説明してくれた。なんでもカミリアさんは、攻撃能力であれば界王配下最強と呼ばれるレベルらしく、基本的に右のストレートパンチ一本のみの大変ストロングな戦闘スタイルとのことだ。
「……ただ、私が思うにカミリア様の本当の凄さは、その攻撃力ではありません」
「というと?」
「先ほどカミリア様が『8%』と呟いていたように、1%単位で己の力を調整することができる繊細な技術こそ、なによりも凄いところなのではないかと」
「なるほど……」
リリアさんの言葉を聞いて、俺も大きく頷く。たしかに1%単位で力の調整ができるということは、それだけ完璧に己の力を使いこなしているということだ。
まぁ、もっとも、カミリアさんは特に自分のそれを凄いこととは思っていないというか、聞かれない限り自分から言ったりもしないような気がする。
実際いまも、なんというか少し呆れたような表情で苦笑していたし、部下たちの希望でパフォーマンスとしてやっているだけなのだろう。
たぶん、自分でアレコレと凄さを主張したりしない性格だからこそ、部下の人たちはカミリアさんの凄さを多くの人に知ってもらいたいと、ああいうパフォーマンスを用意したんじゃないかって、そう思った。
マキナ「まずすごく基礎的な部分から解説していくね。もちろん愛しい我が子が可愛いというのはゆるぎない事実だけど、見る角度によってその至高の美も多様性を獲得することができるんだ。今回の左斜め下23.5度に関しては、キュートさ重視って感じかな? これが仮に34.8度とかだとセクシーさ重視になってくるから向いてる場面も変わってくるね。その辺りはまぁ、シチュエーションに合わせて使い分けるべきだね。今回はヒーリング効果の高い左斜め下23.5度の写真を用意したよ。あぁ、気持ちは分かるよ。キュートさ重視って言うなら右上斜め42.1度の角度の方が有名だね。たしかにあの角度はキュートさという点では随一だけど、あまりにもキュートすぎるから効果が高すぎて逆に心拍数とかに異常が出ちゃう可能性もあるね。だからこそ、いまの精神的にダメージを負った状態のシリアス先輩にはこっちの角度の方がいいと思うんだ。しかもこの写真はこっちの世界で言うところの風の二月の17時23分に撮影したもので、光の当たり方を見てもらうと少し赤身がかっているのが分かると思うんだ。それが愛しい我が子のキュートさを引き立ててるよね。ただ、シリアス先輩はやっぱり愛しい我が子初心者と言っていい理解度だと思うから、今回は見るべき点に関しても説明していくね。シリアス先輩はこの写真においてどこにキュートさを求めるかな? 目? 唇? おでこ? うん。その辺りは『ペロリティ』も高い定番ポイントだし、もちろん我が子の魅力は溢れんばかりにあるよ。だけど、安易に特徴的で有名な部分ばかりに目が行ってしまうのは、残念ながら私から見ると浅いと言わざるを得ないね。じゃあ、上級者はどこに注目するのかって話になってくるけど、この写真においてはなんと言ってもこの頬の角度だね! 光の当たり方を見て、ここが若干影になってて、こっち側が明るいでしょ? この対比によって、愛しい我が子のキュートさが際立って見える。そう、ここにはこの時間帯、この角度だからこそ際立って見えるペロペロポイントがあって、それが凄まじいヒーリング効果を生むわけなんだよ。比較してみたほうが分かりやすいかな? こっちは同じ時間帯の34.8度の写真だよ。頬の部分を見て欲しい。角度が違うことによって23.5度では影になっていた部分が、34.8度では少しズレてるね。そう、どちらかというこちらは愛しい我が子の色気、セクシーさが溢れてるよ。もちろんセクシーな我が子も素晴らしいよ、コレだけでご飯100杯は余裕で食べれるぐらいだね。だけど、ヒーリング効果に関しては、やっぱりキュート系の方が上だと思うんだ。カッコよさが際立ってる写真とかもあるし、それはまた凄くペロれる魅力に溢れているんだけど、どうしても癒されるというよりは興奮の割合が多くなっちゃうし、癒しを求めるならキュート系だね。とと、ごめんね、話が少し逸れちゃった。次に注目するポイントだけど、この顎から首にかけてのラインを見て欲しいんだ。この流れるような曲線が凄いよね、キュートさが迸ってるよ。おっと、気を付けてね。私みたいな超級者はともかく、一般人があまり長く見過ぎると、愛しい我が子のキュートさの虜になって数十時間は目が離せなくなっちゃうだろうしね。さてこれで、この写真のヒーリング効果は分かってもらえたと思うけど……うん、いまシリアス先輩が感じているものは分かるよ。こんなに可愛い愛しい我が子の姿を、ひとつしか見れないのはもったいないってそう思ってるんだよね? 分かるよ。私ぐらいのレベルになると、何兆枚でも同時かつ鮮明に見ることができるけど、普通の人には難しいよね。そんな悩みを解決するテクニックがあるんだ。それは、2枚以上の写真を同時に見ること! 私はコレを『アルティメット・ペロリティ・システム』……通称『UPS』って呼んでる。聞いただけでこのUPSの凄さは理解できると思う。そう、複数枚の写真を同時に見ることで、我が子の魅力をより一層理解することができるんだ。もちろんそれだけじゃない。例をあげればさっき言った左斜め下23.5度と34.8度を同時に見ることで、キュートさとセクシーさを同時に体験することができるし、それ以外にも23.5度と右上斜め42.1度の写真を合わせることによってキュートさをさらに高めることも出来る。まさに組み合わせは無限大と言っていい夢のシステムなんだけど……もちろん注意点もあるよ。私みたいな超級のペロリストであるならともかく、シリアス先輩みたいな初心者は多くてもUPSで同時に見るのは3枚までに抑えておくべきだね。それを越えちゃうと愛しい我が子の魅力の永久ループに捕らわれ、あまりの魅力に意識を失ってしまう可能性も高い諸刃の剣だよ。慎重にUPSを使いこなして、理想のペロペロライフを送ってもらいたいものだね。まぁ、ただ初心者には無限大の組み合わせ自体が難しいと思うから、ふたつの組み合わせて体感できる中で、私のオススメをいくつか紹介しておくね。さっき言ったふたつの例は除外して、まず私が勧めたいのは右横23.6度と左横23.5度の組み合わせだね。左右と見せかけて0.1度だけズレがあるのがミソだね。コレはカッコよさ特化型の組み合わせだね。右と左のキリッとした我が子のカッコよさがこれでもかってほどに伝わってくるよ。角度を0.1度ずらすことによって、同じように見えて僅かに違うというのが目を引き付け、その痺れる佇まいに目が離せなくなるよ。この写真を使う時の時間帯チョイスとしては、冬の日の出の時間帯のものをお勧めしたいね。その時間帯の愛しい我が子の顔は、朝日に照らされて輝いているから、特にその目の勇ましさといったらないよ。額縁に入れて美術館とかに飾っとくべきだね。さて、次にお勧めするのは、右横31.4度と右斜め下18.3度の組み合わせだね。コレは、凛々しさと可愛さが同時に味わえる魔性の組み合わせだよ。凛々しさと可愛さ、一見相反する属性のようで愛しい我が子をもってすればソレが見事に調和し、ふたりの魅力をより引き立てる結果につながるんだ。この組み合わせの相乗効果は凄くて、3枚以上の組み合わせを試すときにも、起点として使うと最高だね。愛しい我が子はあらゆる面で至高ってのが凄く理解できる組み合わせだから、一度は試してみてもらいたいね。次にお勧めしたいのが、後ろ斜め右下28.0度と後ろ斜め右上11.3度の組み合わせだね。この組み合わせは、あえて愛しい我が子の顔が完全には映らず後ろ姿を中心に見えるような組み合わせだね。もちろんまったく見えないわけじゃなくて、微かに見える横顔が哀愁漂う雰囲気でとてつもない色気を放ってるんだけど、それ以上にこの組み合わせには愛しい我が子の背中から見えいる魅力が溢れている。愛しい我が子を正面から見た時の魅力に関しては、多くの人が知っているとは思うんだけど、意外とこの後ろ姿の良さを理解している人は少ないんだよね。やっぱりどうしても、至高の美である愛しい我が子を前にすると、正面からその顔を見たいと思ってしまう欲に抗い辛いよね。凄く分かるよ、だからこそ、この組み合わせは上級者向けだね。ある程度、前からの魅力を知った上で、更なる魅力を探求するために使ってもらいたい組み合わせで、これを見ることによって愛しい我が子の背がいかに大きくて偉大であるかってのがよく理解できると思うよ。とまぁ、こんなところかな? もちろんまだまだ組み合わせは山のようにあるし、3枚以上のパターンになるとさらにコンボとかも考える必要があってくるから難しくなるけど、そこは自分でいろいろな組み合わせを試してみて、愛しい我が子の魅力をもっともっと知っていってもらいたいね。お気に入りの組み合わせを発見した時の感動は、なにものにも代えがたいものがあるからね。さて、ここまで話したところで疑問に思っていることがあるよね? うん、その通りだよ。角度だけが愛しい我が子の魅力を引き出す要因では無いってことだね。さっきまで度々言っていたけど、時間帯や季節もまた重要な要因だよ。もちろん言いたいことも分かるよ。愛しい我が子はどんな場面に居ても至高、完璧だからこそ周囲の環境ごときに影響を受けないんじゃないかって、そう思うよね? それに関しては勘違いしちゃいけないよ。愛しい我が子が周囲の影響を受けるんじゃない。周囲の環境が愛しい我が子を引き立てるんだよ。最初はそうだね、季節についてから説明しようかな。たとえば冬の季節は愛しい我が子のカッコよさをさらに引き上げることができるよ。冬の朝の愛しい我が子の輝きはまるでダイヤモンドだね。いや、もちろん愛しい我が子をたかが石ころと同列に考えてるわけじゃないんだよ。ただ、愛しい我が子の輝きは至高過ぎて、表現する言葉が存在しないからね。仕方なく妥協して宝石に例えているんだよ。とまぁ、それは置いておいて、冬の冷たい空気の中で引き締まる愛しい我が子の表情はとてつもないカッコよさだよ。それこそ素人が迂闊に見たら死んじゃう可能性もあるから、法律とかである程度規制する必要があるかもしれないね。ああ、ちなみにここに『愛しい我が子の成人式の写真』があるんだけど……え? どうやって手に入れたかって? 私は愛しい我が子の過去に関しては、何億回も繰り返し見てるし、これはというポイントはしっかり保存済みだよ。それで、この時の我が子は幼さが残りつつも凛々しさもあって、さらにその表情を冬の空気が引き締めている。すごいね、国宝級の一枚だよ。それに対して春は、愛しい我が子の穏やかさとか温かさを表現するのに向いてるね。春の日差しの中で微笑む愛しい我が子のペロペロ係数はとてつもない数値だよ。例えば、愛しい我が子の大学入学の写真は、もちろん母である私も所持してるわけなんだけど、その優し気な微笑みの可愛らしさったらないよ。迂闊に眺めちゃうと、あまりの可愛さに魅了されて数日は目を離せないだろうね。それ以外にも夏は明るさや元気さの表現に向いてるよね。明るい日差しは、ただでさえ輝いている愛しい我が子をさらに輝かしてくれてるよ。もう太陽とか、愛しい我が子の輝きの前では豆電球ぐらいの光量しかないからね。愛しい我が子はやっぱり宇宙の宝って言っていい存在だと思うんだ。秋に関しては、応用の幅は広いんだけど、哀愁の漂う雰囲気に合うね。可愛い我が子も大好きだけど、少しもの寂し気な姿もたまらないよね。すぐに行って抱きしめてあげたいって気持ちになるよ。もちろん愛しい我が子としても、母に抱きしめられるのは幸せなわけだし、むしろ秋は積極的に抱きしめてあげる方がいいかもしれないね。愛しい我が子の温もりを感じつつ、母の愛と温もりを愛しい我が子に味わってもらう。素晴らしいね! 今度実行しよ……おっと、また話が逸れちゃったね。いまのが大まかな季節の効果だけど、もちろん例外も多いから参考程度に考えておいて欲しいね。我が子と季節の組み合わせだけでも、ほぼ無限大の魅力があるから、こっちもいろいろ試してみて欲しいよ。もちろん季節だけじゃなくて時間帯も重要だよ。特に光の加減は大事だね。愛しい我が子自身が輝いているのはもちろんだけど、その愛しい我が子にどの角度から光が当たるかによってかなり大きく変わってくるからね。例えばこの2枚の写真だけど……分かるよね? 鼻の部分の影の角度が違うんだけど、コレだけでガラッと印象が変わってくるよね。基礎の基礎はこんなところだね。次は愛しい我が子の写真がもたらす影響についても語っていこうか。愛しい我が子の写真が尊いのは言うまでもない。ただその尊さは時に大きな影響を及ぼす。よく聞かれるんだけど、なぜ愛しい我が子の写真を見て回復するのかについてだね。これは愛しい我が子の尊さを目の当たりにすることで、『愛しい我が子の前に立つ己は完璧でなくてはならない』という作用が働くんだよ。まぁ、当たり前だよね。究極に可愛い愛しい我が子の前に立つなら、こちらもできうる限り完璧な姿でなければ失礼ってものだよ。別に凄い変化をしろってことじゃないんだよ。その時の己にできる完璧な状態で愛しい我が子の写真を見るっていうのは生物に与えられた義務みたいなものだからね。そしてそれはいわば本能にも作用するわけだよ。愛しい我が子の写真を見た瞬間、本能が己が今できる最上の状態でなければならないと強く思うことで、怪我なんかはすべて癒えて現状での最高の状態になれるわけだね。けどまぁ、これぐらいのことはいちいち説明しなくても、呼吸の仕方を覚えた瞬間ぐらいに理解してほしいことではあるね。愛しい我が子の尊さは世界の理、宇宙の真理といっても過言じゃないからね。さて、これでヒーリング効果については分かってもらえたと思うけど、もちろん愛しい我が子の写真がもたらす効果はそれだけじゃないよ。まずは当たり前だけど、愛しい我が子の姿を見ることで絶大な幸福感を感じることができるね。さらに愛しい我が子と向き合うに相応しい己でいようと、自身の成長も可能だね。それ以外にも効果は多種多様だね。さすがは愛しい我が子、写真だけでもその影響力は留まることを知らないね。ただ、うん。分かるよ。写真では愛しい我が子の匂いとか、そういった要素を感じられないというのは、たしかに無視できないマイナス点だね。我が子の匂いもまたかなり重要なペロペロポイントのひとつだし、やっぱりその辺りはどうあっても本物には敵わないって感じかな? ただ、写真という媒体ひとつで終わるということはもちろんないよ。例えば愛しい我が子の声を記録したCDなんかは、耳で愛しい我が子を堪能できる素晴らしいアイテムだね。愛しい我が子の声があまりにも尊いってのは、誰もが知るところだし、これは写真では得ることのできない要素のひとつだね。私も愛しい我が子の誕生日パーティの時、あのカラオケバトルで愛しい我が子が披露した美声は完全に録音済みだし、もうどれだけ聞いたか分からないぐらいだね。まぁ、唯一、喋る肉塊に披露する場面だったってのは少し不満ではあるんだけど、肉塊たちに愛しい我が子の素晴らしさを知らしめるためと考えれば、まだ我慢できるレベルではあるね。愛しい我が子の歌は世界に響く福音だってのは周知の事実だけど、なにも必ずしも歌である必要は無いんだよ。何気ない日常に愛しい我が子が発する言葉のひとつひとつが、なにものにも代えがたい素晴らしいものであるのは間違いないね。たとえば、向こうの私……エデンの名前を呼ぶ一言であっても、その時々によって感情の入り方や抑揚などが違って、それぞれの魅力っていうのがあるんだよ。その日その日に、どんなふうに私の名前を呼ぶかっていうのも、私が愛しい我が子と会う上での大きな楽しみのひとつでもあるね。愛しい我が子の声についてなんだけど、やっぱり愛しい我が子も男の子だし、低さもある凄くいい声だよね。ただ、低すぎるわけじゃなくて絶妙なんだね。可愛らしさというか、あどけなさもしっかり残っている声だし、可愛らしさと色気が混ざり合ったかのようなとてつもない美声であるのは、わざわざ議論する必要もないよね。そんな愛しい我が子の声を聞かないやつがいたとしたら、それはもう世界に対する反逆に等しいわけだし、私が手早く処分するつもりだけどね。声という点において無視できない要素に呼吸があるね。愛しい我が子の呼吸の音を聞くだけで、私の胸は高鳴ってしまうよ。まぁ、この呼吸音だけでも種類はあって、私が特にお気に入りなのはやっぱり寝ている時の呼吸音かな。少し無防備で安心しきった愛しい我が子の呼吸を聞いていると、私がこの子を守ってあげなくちゃって気持ちを強く再認識できるよね。やっぱり、愛しい我が子が安心して眠れるような環境を整えてあげるのは母である私の役目だし、その辺は妥協せずに行きたいね。ここまで話すとよく分かると思うけど、写真っていうアイテムは五感のなかで視覚に特化したアイテムと言っていいね。もちろん目から得る情報ってのは非常に大きくて……」
シリアス先輩「あヵぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!?!?!?!?」




