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ハーモニックシンフォニー中編⑫



 クロの一行と合流して、一時的にそれなりの大所帯になりつつも、ティルさんの出し物の場所に移動する。

 ここまでは結構独特な会場が多かったが、ティルさんの出し物を行う場所は大きなコンサートホールといった感じの場所だった。

 これはまた、なんとも正統派な感じで期待が高まると思っていると、会場に入ってすぐこちらに向けてティルさんが勢いよく飛んでくるのが見えた。


「ラズ様~~~!」

「あっ、ティルです!」

「はいです! ラズ様、また来てくれたですね。またまたラズ様と会えて、ティルはとっても嬉しいです」

「ラズまたティルと会えて嬉しいですよ。今回は、クロム様とカイトクンさんたちとも一緒に来たです」

「あやっ!? 本当です! クロムエイナ様にカイトクンさんです! 来てくれてありがとうですよ~!」


 ラズさんと掌を合わせてキャッキャッと可愛らしくはしゃいでいたティルさんは、ラズさんの言葉を聞いて俺たちに気が付きパァッと明るい笑顔を浮かべたあと軽く会釈した……とても可愛い。


「こんにちは、ティルちゃん。今日も元気いっぱいだね」

「はい! ティルはとっても元気です!!」

「こんにちは、ティルさん。約束通り、演奏を聞きに来ましたよ」

「カイトクンさん! 来てくれて、ティルはとっても嬉しいですよ~!」


 嬉しそうに俺の周りをくるくると飛んでいたティルさんは、ふとなにかに気付いたような表情を浮かべ、コンサートホールの奥に向かって呼びかけた。


「皆~ラズ様たちが来たですよ~」

「本当ですか?」

「ラズ様!? ラズ様がまた来てくれたですか?」

「初代妖精王様~さっきは私お話しできなかったです!」


 ティルさんが呼びかけると、コンサートホールの奥からたくさんの妖精が飛び出してきて、俺たちの周りに集まり始めた。

 大きくても50㎝ほど、小さい子は20㎝を下回るぐらいの小柄な妖精たちが満面の笑顔で集まってくるのは、なんというか滅茶苦茶可愛い。

 思わず頬が緩む可愛らしさで、俺だけでなく他の皆も微笑まし気な表情を浮かべていた。唯一グラトニーさん……もといナターシャさんだけは、無の表情であったが……。


「妖精がいっぱい集まると、可愛いね」

「……うちの次元獣の方が可愛いと思う」

「へ、変なところで対抗心出すね、グラトニー……あと、次元獣の多くは、割と凄い外見してると思うんだけど……」


 やはり自分が作り出した次元獣は可愛らしいのか、ちょっと対抗心を出しているグラトニーさん……俺はナターシャさん以外の次元獣は見たことがないのだが、フュンフさんの反応的に……あまり可愛い外見ではない気がする。

 そんなことを考えていると、不意にティルさんが俺の前に来て小さく胸を張りながら告げた。


「そしてこちらが、カイトクンさんです!」

「「「「ッ!?」」」」


 ティルさんの宣言を聞き、妖精たちは両手を口に当てたりややオーバーではないかと思うようなリアクションで驚愕する。

 そして少しして驚愕が収まると、妖精たちはどこか興奮した様子で次々に口を開く。


「カイトクンさん!? この人が、噂のカイトクンさんですか?」

「はわわわ、凄いお客さんが来たですよ」

「ラズ様の言った通り、魔力がぽかぽかです。とっても優しい魔力ですよ~」

「握手してほしいです!」

「あっ、私も! 私も!」

「え? ちょっ、うぉぉっ!?」


 そして、一気にこちらに飛んできて俺の周囲を飛び回り始めた。あまりの数に思わずビックリしてのけぞってしまったが……なんというか、皆滅茶苦茶可愛らしいので、嫌な気はしない。

 ただ、それぞれ思い思いに話しかけてきたり質問してきたりするのは、ちょっと待ってほしい……聞き取れない。


「皆、ストップですよ! カイトクンさんがビックリしてるです。挨拶は順番にするです!」

「そうですよ~迷惑をかけちゃ、めっ! です! 綺麗に並んでくださ~い」


 ラズさんとティルさんが興奮した妖精たちを落ち着かせてくれ、順番に自己紹介をしあう形で落ち着いた。まぁ、本当に可愛らしくて癒されるのであまり苦に感じないのはいいことだ。


「お嬢様、相変わらずミヤマ様はモテモテですね」

「カイトさんらしいというか……少し大変そうではありますけどね。まぁ、今回は私にどうこうというのは無いので、安心ですが……」


 ルナさんとリリアさんがどこか微笑ましげな表情を浮かべつつ会話をしている。すると、ティルさんが今度はリリアさんの前に移動して、またも小さく胸を張る。


「そしてこちらが、リリアさんです!」

「え? 私も!?」

「リリアさん? あの人がそうなんですか?」

「確か人間族でいっちばん強くて凄い人ですよね!」

「わ~また有名人です! 会えて嬉しいですよ~」

「リリアさんにも挨拶したいです!」

「ちょっ、ちょっとお待ちを……じゅ、順番に願いします」


 俺への挨拶が終わった妖精たちが、今度はリリアさんに群がり始めた。まぁ、実際のところリリアさんも有名人で間違いないだろうし、こういうことがあっても不思議ではない。

 ただ、なんでかなぁ? なんで……『フラグ回収早いなぁ』とか、そんな感想が出てきてしまうのだろうか?





???「リリアさんが平気そう⇒無慈悲な胃痛パンチ。はいこの法則はテストに出ますよ~」

シリアス先輩「なんのテスト!?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] もっとクロとイチャイチャしてくれ!
[一言] 更新お疲れ様です! ラズさん達を始め沢山の妖精達が! 想像しただけで微笑ましくなってくるな リリアさんにきて驚いてるw 自分がこちらに来るなんて思わなかっただろうなぁ 次も楽しみに待って…
[一言] よかったね、S先輩。今回は甘くないぞ、ほっこりだ ブロッサムさんとは違った意味で妖精たちは、ロズミエルさんが対応に困りそう。 薔薇姫登場(硬直)→妖精たちと遭遇(妖精困惑)→薔薇姫石化(泣…
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