ハーモニックシンフォニー中編①
エリアルさんの担当するエリアは、少し変わった形だった。まず地面が複数に色分けされている。赤いエリア、青いエリアと……そしてそのエリアの中央には一段高くなっているお立ち台のようなものがある。
それだけではなく、色分けされたエリアにぐるっと囲まれた中央には、さらにもう一段高いお立ち台が用意されていた。
「……ふむ、なにやら趣向を凝らしていることは伝わるが、現状では意図は見えんな。あの台の上で踊るというなら、参加型にしては踊れる人数が少なすぎる」
「たしかに、なにか色分けされたエリアを利用するというのは分かりますが、どういう感じかは想像が付きませんね」
呟くフレアさんの言葉に俺も会場を見渡しながら同意する。するとちょうどそのタイミングで、界王配下らしき人がこちらに近づいてきた。
「ミヤマカイト様の御一行様ですね。エリアル様が皆さんをお連れするようにと……」
「あっ、はい。分かりました。よろしくお願いします」
なんとなく、このメンバーで俺が代表のように呼ばれると、少し違和感がある。いや、もちろん、理屈としてはリリウッドさんとも仲のいい俺が代表のように呼ばれるのは分かる。
ただなんとなく、この屋敷メンバーで行動していると、リリアさんが代表者みたいな印象が強い。たぶん、宝樹祭とかで実質リリアさんが代表者みたいな感じだったからだと思う。
エリアルさんには事前にハミングバードを飛ばして、ジークさんたちを紹介したいと伝えてあった。界王配下の人に案内されて、舞台裏とでもいうのか、会場の裏手にある関係者用のスペースに移動する。
そこはエリアルさんと部下が準備をするための場所みたいで、テレビで見たライブ会場の控室みたいな雰囲気だった。
その一角、一番広くスペースを取られた場所には、普段の踊り子風の衣装ではなく今回のために用意したのか、ストリートダンスを行うようなカジュアルな衣装を着たエリアルさんが居た。
「来訪を歓迎……つまりは、来てくれてありがとう。再会の喜び……つまりは、またカイトと会えて嬉しいよ」
「こんにちは、エリアルさん。今日は忙しいところに押しかけてすみません」
「問題ない……つまりは、気にしなくていいよ」
「その服は今回の出し物の衣装ですか? いつもとは違う雰囲気で、素敵ですね」
一見するとカジュアルな服装なのだが、よく見ると一部が光を反射する素材で作られているのか、光に当たるとキラキラ輝いているのが見えた。
たぶんスポットライトとかに照らされると、もっと綺麗に輝く……そういう見栄えを考えた衣装だと感じた。
「嬉しい言葉……つまりは、そう言ってもらえると嬉しいよ。初めて見る顔……つまりは、そっちがハミングバードにあった子たちだね。自己紹介……つまりは、私はエリアル、よろしく」
事前にハミングバードで伝えていたこともあって、エリアルさんと皆の挨拶はスムーズに進行する。まぁ、エリアルさんは、喋り方こそ独特だが基本的に優しくいい人なので、その辺はまったく問題ない。
ジークさんが希望したサインにも快く応じてくれていたし……本当になんというか、七姫の人たちには安心感があるというか……具体的にどことは言わないが、どこぞの幹部たちとは大違いである。
「こんにちは、エリアル」
「毎回の来訪に感謝……つまりは、エインガナは今回も来てくれたんだね、ありがとう」
「貴女の出し物は毎回趣向を凝らしたものが多くて、私もとても楽しみにしています」
「期待に応える……つまりは、期待を裏切らないように頑張るよ。ひとつ疑問……つまりは、ところで、ひとつ気になったことがあるんだけど……初めての来訪……つまりは、ニーズベルトが来たのは初めてな気がする。勘違いだったら謝罪……つまりは、私が見てなかっただけでいままでも来てたならごめん」
「いや、我は推察の通り初参加だ」
六王幹部同士ということもあってやはり交流はあるらしい。エインガナさんは特に毎回ハーモニックシンフォニーに参加していることもあって、かなり仲がいい感じだ。
対してフレアさんに関しては、あまりハーモニックシンフォニーに来る印象が無いのか、少し不思議そうな感じだった。
「機会があれば参加してみようとは思っていたのだが、なかなかどうして切っ掛けが無いと難しいもので、いままで訪れてはいなかった。今回はたまたま、エインガナに誘われたのでな、これもよい機会と思って足を運んでみることにしたわけだ」
「納得……つまりは、なるほど、そうだったんだね。歓迎……つまりは、理由はどうあれ来てくれて嬉しいよ」
「ああ、エリアルの出し物に関しても、楽しみにさせてもらう」
「了解……つまりは、わかった、期待してて」
フレアさんと軽く言葉を交わしたあとで、エリアルさんはふとなにかを思いついたような表情を浮かべた。
「思い出した……つまりは、そういえば、ふたつ前の公演だったけど、メギド様がきてたよ」
「え? メギドさんが?」
「たまに来訪……つまりは、メギド様は毎回ではないけど、時々ハーモニックシンフォニーに来るよ」
「そ、そうなんですね」
……う、う~ん、いや、分かってるんだ。メギドさんはアレでも結構芸術とかにも造詣が深い。それは、分かってるんだが……やっぱあの見た目で、こういうところに居るのは、なんとも言えない違和感がある。
……それと、なぜ、リリアさんは……『すでに会うのを確信したかのような表情』で遠い目をしているのだろうか……。
???「まぁ、ゴリラさんは結構芸術とか音楽も詳しいですからね。あとまぁ……会うでしょうね」
シリアス先輩「会うだろうな。そりゃ会うだろう、露骨にフラグ建ったのに、あのフラグ王が遭遇しないわけがない」




