ハーモニックシンフォニー⑩
フレアさんとエインガナさんを連れて合流すると、リリアさんが嬉しそうな表情で話しかけてくる。
「ニーズベルト様、エインガナ様、またお会いできて光栄です」
「久しいな、リリア公爵。偶然会えたこと、嬉しく思う」
「こんにちは、リリア・アルベルトさん、ドラゴンカーニバル以来ですね」
リリアさんは、フレアさんとは屋敷で挨拶をした際、エインガナさんとはドラゴンカーニバルで会っている。
「見てくださいあの嬉しそうな顔、グラトニー様と遭遇した時とは大違いですよ」
「まぁ……今回に関しては、私も似たようなことをしているので、なにも言えませんが……」
少し呆れたように話すルナさんに、七姫にサインをもらっているジークさんは苦笑を浮かべていた。
「リリア公爵とは顔見知りではあるが、初めて会う顔も多いな。我の名は、フレアベル・ニーズベルト。竜王マグナウェル様の配下、四大魔竜の一角だ。ニーズベルトと呼んでくれて構わない」
「私の名は、アクアリナ・エインガナ。同じく四大魔竜の一角です。マグナウェル様に与えられた名、エインガナとお呼びください」
リリアさん以外とは初対面だったこともあり、フレアさんとエインガナさんは自己紹介を行う。
「ルナマリアと申します。アルベルト公爵家にてメイドとして働いています」
「同じくアルベルト公爵家にて、警備隊長を務めています。ジークリンデと申します」
「どちらも、人族にしては最高レベルといっていい能力を有しているようだ。その上まだ若いとなれば、リリア公爵と共に期待できる逸材だ」
ルナさんとジークさんの挨拶を聞き、フレアさんはどこか満足そうな表情で二人を賞賛する。
「楠葵です」
「ゆ、柚木陽菜です」
「ふむ……まだ卵の殻が取れたばかりの幼竜といったところか。しかし、翻せばそれはこの先いかようにも成長できる可能性の塊ともいえる。今後の成長が楽しみだ」
「……模擬戦は駄目ですよ」
「エインガナ……一度貴公が、我のことをどう認識しているのか、詳しく聞く必要がありそうだ」
それぞれの能力を軽く評価しつつ微笑むフレアさんに、ジト目で釘を刺すような言葉を発するエインガナさん……たぶんだけど、これ過去になんかあったな。主に、エインガナさんが被害を受けるような形で……。
「ま、まぁ、それはともかくとして、リリアさん。実は、フレアさんとエインガナさんも、俺たちと同じくエリアルさんの出し物を見に行く予定らしくて、せっかくだから一緒に行こうって話になったんですが、大丈夫ですか?」
「ええ、もちろんです! 非常に光栄なことですし、喜んで!」
「すまんな、リリア公爵、皆、しばし邪魔をさせてもらう」
やっぱ、四大魔竜相手だとリリアさんのレスポンスが早いというか……まぁ、予想はしていたが即決だった。他の皆も特に異論はないような感じで、しばしフレアさんとエインガナさんが同行することになった。
そして、そろそろエリアルさんの担当するエリアに移動しようかと思ったタイミングで、エインガナさんがふとなにかを思いついたような表情で口を開く。
「皆さん、動きやすい靴はお持ちですか? もし動きにくい靴を履いているなら、この広場でレンタルや購入ができるので、用意しておくことをお勧めしますよ」
「えっと、エインガナさん……それはなぜでしょう?」
「天花姫エリアルの出し物は毎回必ず踊りです。ただ、形式が3種類あって、エリアルと部下による踊りを披露する形式、部下や希望者を募って踊りで対決する形式、集まった人たちが全員参加できる大規模な踊りの形式の三つです。そして、これは順にローテーションしていて、前回のハーモニックシンフォニーが対戦形式だったので、今回は確実に参加型の形式なので動きやすい靴の方がいいというわけです」
「な、なるほど、そうなんですね。エインガナさん、かなり詳しいですね」
「エインガナは音楽好きでな。ハーモニックシンフォニーには毎回参加している故、かなり詳しいのだ」
なんと、ここにきて非常にありがたいことに、エインガナさんはハーモニックシンフォニーに詳しいらしい。コレは本当に助かるというか、俺たちは全員初参加なので詳しい人が居てくれると心強さが違う。
「……実は俺たち全員初参加で、あまりハーモニックシンフォニーに詳しくないんですよ。なので、エインガナさん。もし他の七姫の出し物とかにも注意点とか、覚えておいた方がいいものとかあれば教えてもらえますか?」
「ええ、私でよろしければ、歩きながら簡単に説明しますよ」
ハーモニックシンフォニーについていろいろ教えてもらえないかと聞いてみたら、エインガナさんは快く了承してくれた。
本当にありがたい。というか、いっそエリアルさんのところに行ったあとも同行してほしいものだ……まぁ、エインガナさんたちの都合もあるだろうから難しいだろうけど……。
シリアス先輩「そういえば、宝樹祭ではレイジハルトとシルフィアが、六王祭ではアリス作のガイドブックが、白神祭ではスカイの案内がって感じだったから、参加者全員右も左も分からない状態はコレが初か」
???「まぁ、特にハーモニックシンフォニーは音楽祭的な側面が強いので、詳しい人がいると全然違いますよね」




