ハーモニックシンフォニー⑤
グラトニーさんの転移魔法によって一瞬でジュティアさんが担当しているエリアまで辿り着いたが、そこはなんというか、圧巻の光景だった。
いくつもの木が立ち並び、どことなく森の中の広場のような雰囲気だったが、なにより凄いのは圧倒的な精霊の数だった。
あちこちを飛び回っている精霊の数は宝樹祭の時よりもさらに多く、リグフォレシアだけでなく魔界等も含めた精霊樹の精霊が大集合しているのだろう。
「凄い光景ですね」
「精霊がいっぱい……キラキラとすごく綺麗ですね」
膨大な精霊が飛び交う光景に圧倒されていると、陽菜ちゃんも同じく目を輝かせながら感動したような表情を浮かべていた。
「ここでは、なにをするんでしょうか? 見たところ広場のような感じですけど……」
「それはね、それはね、皆で歌うんだぜぃ」
「「「「「「ッ!?」」」」」
ジークさんが呟いた直後、後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。あまりに不意打ち気味だったので、皆揃って驚きつつ後方を振り返ると、そこには明るい笑顔を浮かべたジュティアさんが居た。
「ごめんよ、ごめんよ、驚かせちゃったかな? 転移魔法で誰かが来るのが分かってさ、気になって見に来たんだよ。そしたら、そしたら、見覚えのある子たちだったから声をかけに来たってわけさ。よく来たねぇ、よく来たねぇ、また君たちに会えて、ボクはとっても嬉しいぜぃ」
「そうだったんですね。改めて、こんにちはジュティアさん。白神祭ではお世話になりました」
ジュティアさんは俺たちが転移してくる気配を感じて声をかけに来てくれたみたいだ。相変わらず明るく優し気な雰囲気で話しやすい方である。
「ジュ、ジュティア様! せ、先日は、本当にありがとうございました」
「君は、たしかハイエルフのジークリンデだったね。うんうん、元気そうでボクも嬉しいぜぃ」
緊張しながら挨拶をするジークさんに明るい笑顔で応えつつ、ジュティアさんは俺の方を向いて口を開く。
「もう少しで開始だから、よかったら楽しんでいってよ。そういえば、そういえば、話は変わっちゃうけど、カイトはお茶会の方にも参加するのかな?」
「あ、はい。そのつもりです」
「そっかぁ、そっかぁ、それは楽しみだぜぃ。ボクも毎回お茶会が楽しみでさ、今回もとっておきの紅茶を用意したんだよ」
「俺の方もとっておきの紅茶を用意しました。本当に凄い品ですよ。知っているかどうかはわかりませんが、クロ……冥王のところのアインさんが、紅茶の革命だと絶賛するぐらいです」
「…………え? そうなの? あの、アイン様が?」
なんの気なしに告げた言葉だった。ぶっちゃけ、少しネピュラのことを自慢したい気持ちが無かったわけでもないが……。
しかし、俺の言葉を聞いたジュティアさんから先ほどまでの笑顔が消え、初めて見ると言っていい心底驚愕したような表情になった。
「あのアイン様だよ? ボクも何度か会ったことあるけど、それこそあらゆる紅茶を極めていると言っていいほどの……そのアイン様が、紅茶の革命だって絶賛する紅茶? そ、そんな凄い紅茶が存在するの? カ、カイト、その紅茶はいったい……」
「う、う~ん、もちろんここで教えてもいいんですが……せっかくですし、お茶会の楽しみに取っておきませんか?」
「うっ、たしかに、たしかに、楽しみは後に回したほうがいいかもしれないね。う、う~ん、気になるけど、気になるけど、ここはグッと我慢することにするぜぃ」
「お茶会の時には、真っ先にジュティアさんに披露しに行きますので、楽しみにしておいてください」
「分かったよ。とっても、とっても、楽しみにしておくぜぃ!」
実際のところジュティアさん用にお土産として一缶持ってきているし、ここで説明して渡してもいいんだが……どうせなら、実際に飲んでもらってから出したほうがいい気がする。
「おっと、それじゃあ、それじゃあ、ボクはそろそろ準備に行くから、皆も楽しんでね!」
「あっ、ジュティアさん、忙しいところ申し訳ないですけど、ジークさんにサインを書いてもらってもいいですか?」
「およ? サイン? いいよ、いいよ、そのぐらいお安い御用だぜぃ」
ジュティアさんが戻ってしまいそうな雰囲気だったので、ジークさんの代わりに俺からサインをお願いすることにした。
俺の言葉を聞いてジークさんは嬉しそうな表情で色紙を取り出してジュティアさんに渡すと、ジュティアさんはさらさらとサインを書いてくれた。
「それじゃあ、それじゃあ、またね~」
「はい。ありがとうございました」
明るい笑顔で手を振りながら去っていくジュティアさんにお礼を言ったあと、俺たちは精霊たちの誘導に従って広場の中央付近に移動して、出し物の開催を待った。
シリアス先輩「そういえば、人気投票の番外編ってどうなったの?」
???「あ~いちおう日々の更新の合間にちょこちょこ書いてるみたいですけど、現状はアイシスさんの番外編が2万字ぐらいの進捗なので、まだもうしばらくかかりそうですね」
シリアス先輩「そっか、まぁ、毎日更新しながらだと仕方がな……まて、いまなんつった?」
???「いや、ですからまだしばらくかかるって」
シリアス先輩「いやその前!」
???「アイシスさんの番外編が、現在2万字ぐらいの進捗……」
シリアス先輩「……意味が分からない。最終的にどれだけの文字数にするつもりだ……」




