フェイトと旅行①
間違って予約投稿分を前日にあげてしまったので再投稿です
今日は俺とフェイトさんの旅行の日であり、透き通るような青空の元俺たちはアルクレシア帝国の湖畔にやってきていた。
非常に綺麗な景色だし、湖畔にコテージっぽい建物の組み合わせもいい。ほかにはなにも無く、非常に静かで落ち着いた雰囲気であり、これはのんびりと楽しめそうだ。
「ん~いい雰囲気だね」
「静かでいいですね。これなら、ゆっくり羽を伸ばせそうですね」
「だね。ほんと、ず~と寝ててもいいぐらいだよ」
「そこら辺は、もうちょっと控えめにしておきましょう」
「あはは、まぁ、そうだよね。寝るだけだったら、カイちゃんの家でもできるわけだし、旅行は旅行で楽しもうか」
今回の旅行はフェイトさんも楽しみにしてくれていたみたいで、いつもより少しだけテンションが高いように感じる。
まぁ、空飛ぶクッションに乗ってダラけている姿はいつも通りだし、なんならコテージまでの移動も俺が手を引いているのだが……いや、でも、別に手を引かなくても移動できるんだし、引っ張ってって言ってくるのはフェイトさんなりの手を繋ごうって合図かな? う~ん、とりあえずいいように受け取っておこう。
「ところで、フェイトさん。付いたらまずはなにしますか? いや、一応いろいろ遊べるものを持ってきましたよ」
「だら~とふたりで遊んですごすのもいいね。でも、ボードゲームはやめとこう、カイちゃん弱いし」
「うぐっ……あぁ、そういえば、いちおう釣竿も買ってきたんですよ。湖ありますし、釣りもできるかなぁって」
「へぇ、いいじゃん釣り、シチュエーション的にもピッタリだし、のんびりできそうだね。けど、やるなら昼の内がいいよね?」
おや? 意外とフェイトさんが乗り気である。てっきり釣りは面倒とか言うと思ったのだが……。
「そうですね。じゃあ、最初は釣りをしましょうか?」
「うんうん、賛成~」
少し意外ではあったが、とりあえず軽くコテージを見てから釣りをするために湖のほとりに向かう。荷物などはマジックボックスに入れているので、特にコテージに置く必要もなくすぐに向かえるのは楽でいい。
今日は本当にいい天気だし、少し風が吹いているのも心地よい。
「じゃあ、フェイトさん。これ、釣竿です」
「え? いや、私はいらないよ」
「……うん?」
「ほら、考えてもみてよカイちゃん。釣りって重労働だよ? 大変だよ? 面倒だよ?」
「……い、いや、正直フェイトさんがそういうのはイメージ通りなんですが、じゃあなんで釣りしようなんて?」
いざ湖のほとりに付いて釣りをしようというタイミングで、なぜか面倒だと言い始めたフェイトさんに首を傾げる。
フェイトさんのイメージ的にはこっちがあるべき姿のような気はするが、それならなぜ先ほど釣りに乗り気だったのかが分からない。
「いや、だから、私はカイちゃんが釣りするのを見てるよ」
「……あ~なるほど、だいたい理解できましたよ。つまり、自分が釣りをするのは面倒だけど、俺が釣りをしている隣でダラダラしつつ雑談するのは楽しそう、みたいな感じですか?」
「そうそう! まさにそれだね! というわけで、私応援してるから、カイちゃんファイト~」
楽し気に笑うフェイトさんを見て、俺も苦笑を浮かべたあと釣竿と小さな椅子をマジックボックスから取り出す。
「カイちゃんは結構釣りするの?」
「いえ、ほとんど経験ないですね。だってほら、この釣竿も新品ですし」
「あっ、本当だ。ピッカピカだね」
「まぁ、今回はのんびりすることが目的なので、釣れなくてもいいですしね」
他愛のない雑談をしつつ、軽めのキャスティングで飛ばす。湖での釣りだと、魚を誘うように動かしたりした方がいいのかもしれないが、今回は別に釣れなくてもいい。なので、あらかじめ買っておいた竿を固定する道具を使う。
「フェイトさんなんか食べます? 結構いろいろ買ってきたんですけど」
「いいね。お菓子とか食べたいなぁ~」
俺の提案に頷いたフェイトさんがパチンと指を弾くと、俺とフェイトさんの中間に円形の木の板が現れた。たぶんテーブルにということだろう。空中に浮いているわりにはかなり安定している。
そのテーブルの上に、買ってきておいたお菓子を並べる。出来るだけ、最新作など珍しめのものを用意して見た。
「お~いろいろあるね。このラスクとか、めっちゃ赤いね」
「たしか、いちご味らしいですよ。濃厚いちごって書いてあったので」
「へ~なんかベロみたいな色だね」
「ちょっと、フェイトさん。これから食べるんですよ?」
「あはは、ごめんごめん」
話しながら木のコップを取り出し、そこに用意して置いた水筒から紅茶を注ぐ。普通にティーカップでもいいのだが、なんとなく雰囲気的に木のコップの方が合いそうな気がした。
「見て見て、カイちゃん」
「うん?」
「でっかいベロ」
「ぷっ、ちょっと、なにしてるんですか」
赤いラスクを口の下に当ててふざけるフェイトさんを見て、思わず笑みがこぼれた。なんだろう、すっごくくだらない会話をしているはずなのに、なんか滅茶苦茶楽しい。
なんというか、本当にこういう雰囲気っていいなぁとそう思うばかりだ。
シリアス先輩「……思ったんだけどさ」
???「なんすか?」
シリアス先輩「移住者の話ちょっとシリアス目だったじゃん」
???「まぁ、そうっすね」
シリアス先輩「……塩振ってたの? これからの甘さを引き立てるために?」
???「……さぁ」




