2-3 廊下の抜けた先は
暗めの良いムード感があった廊下を出ると、今度は明るい空間に出た。天井には窓が付いていて、一階なのに太陽が見えるのは、すべての階のここが筒抜けになっているのだろう。
そして目の前には、椅子と机がポツポツとあるだけの質素な空間が広がっていた。この空間はそこまで広くはないのだが、机といすが数えられるほど少ないせいでなのか、余計に大きく感じる。
「……ここが、休憩室。生徒は良くここで休むわ。そっちにあるカウンターで飲み物を出してくれたりするの」
大きく息を吸い、吐き出すように希白は口にした。さっきまでの声とは違い、掠れていた。
希白が指でさしたカウンターを龍我は見た。いまこそは誰もいないが、コップが数個とオレンジ色や桃色をした液体が大きな容器に入っているので、彼女の言っていることは嘘ではないのだろう。……なぜ嘘だと思ったのかは置いといて、だが。
龍我は目を泳がせるが、意を決したように、希白の目を見る。
「……なんでさっき、質問に答えてくれなかったんだ?……それと、あれが本名か?偽名か?」
「…………」
彼女は一瞬彼と目を合わせたが、すぐに視線を逸らす。何か考え事をしているのか、目がとても泳いでいるのがこちらからも確認できた。
希白は髪の触角をクルクルと手で丸める仕草をしながら、口を小さく開いた。
「……この学園の仕組みは話したわよね。」冷たく、ひやりとした声が休憩室内に響き渡る。
いつもより言葉が刺さるこの感じは、龍我にとってとても不愉快に思えた。
小さく頷き、続きを言うように目配せをすると、彼女もコクリと頷く。
何かを振り切ったのか、または開き直ったのか、表情を緩ませ、いつもの歩くペースで歩き出した。
ゆっくりとその後を龍我も追う。
「私は、この学園のほとんどのことを決められる。……でも、出来ないこともあるのよ」
「出来ないこと?」
エントランスを抜けると、廊下に出る。その右側には2年生の教室らしき部屋が見える。
教室内を見ながら、希白の声に耳を傾ける
「えぇ。……それが、学院長様の命令に背くこと」
「できないのか?」
「できないわ。学院長は、絶対に無理」
ある程度廊下を進み終わると、右に曲がる。すると目の前に大きな扉が見える。
上のほうに「図書室」と書かれているので、そこは図書室なのだろう
図書室の扉を開けると同時に、彼女は呟く。
「……出来てたらこんなに苦労してないわよ」
「それはどういう―――――――」
彼の声は扉を開ける音によって掻き消された。
最近情景描写が死んでますね。どうしましょうかw
というか、全ての部屋なんか紹介しきれないので、次話からは省略しますねw
楽しんでいただければ幸いですw