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Endless Loop  作者: verfall
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第一話

「わたくしのこと守ってくれません?」


「お断りします」


「え、・・・えっと、もう一回言ってもらってもよろしくて?」


「お断りします」


「・・・・・・理由はあります?」


女の言葉に俺は頷く。

女は少し、落ち込みながらも理由を聞いてくる。


「そんなの、面倒だからに決まってるだろう」


「・・・・・・あなた、最低ですわね」


「お前に言われたくないよ」


「なんですって!わたくしが背も、性格も、人格も、何もかもが最低ですって!」


「いや、そこまで言ってねえよ」


その後も、わーわーと喚く女を一旦落ち着かせるのに1時間かかった。

最後の方とかはどこそこの女狐がどうのこうの、あそこのメス豚がどうのという愚痴まで聞かされる羽目になった。


「それで、なんで狙われてんだ?」


「もしかして、私の前に跪く気になったんですの?」


「いや、なんでだよ。お前俺に守ってくれって話だったろ」


「そんな昔のことを言われましても・・・」


「いや、つい1時間ぐらい前の話しだよ」


「まあ、そんなことはどうでもいいんですの。わたくしが狙われている理由は、わたくしが美しいからですわ」


ドヤ顔しているこの女に俺は何も言わずにどこかに行こうとする。


「待ってくださいまし!あなたに行かれるとわたくし頼む相手がいないんですの」


涙目で必死にしがみついてくるのでとりあえず止まる。

そもそも、なぜ異世界に飛ばされてそうそう不法侵入で追いかけられ、とばっちりで襲われ、その挙句この女を守らなければいけないのか。

しかも、それを受ければさらにこの女のせいで襲われることになるだろう。


「それで、なんで頼む相手がいないんだ?この街にも逃げながらだが見てたら護衛屋だとか、そこらへんにも護衛の仕事を待ってる奴らだってそこらへんにいたろ」


「それは・・・相手が悪いんですわ!」


なるほど、今ので大体の事情がわかった

多分だけどこいつと口論とかになったのだろう。


「はあ・・・、それでなんで狙われているかは教えてくれ?お前のせいで被害を被ったんだ、それくらいは聞いておきたい」


「・・・・・・わたくしこう見えてお嬢様ですの」


「いや、普通にそうしか見えないが」


「うるさいですわね。わたくしの神聖な耳が汚れますわ」


「お前、人にもの頼む態度じゃないだろ。そんなんだから断られるんだぞ」


「うぐっ、その言葉覚えてなさいな。後で―――を―――して差し上げますわ」


「やっぱ、お前お嬢様には見えんわ」


その後、こちらを恨みがましく睨みながら訥々と女が語った。

内容は、実はこの女はこの大日帝国の長である天帝の娘で幼い頃に今の貴族に預けられたらしい。

それで今後継者争いが起こっていて、どこからか漏れたその情報のせいで狙われるようになったということだ。


「へー、それで身を守るために護衛が欲しいと」


「はい」


いきなり後継者争いに巻き込まれ狙われることになった。

さぞ辛かっただろう。

だが、俺は同情などはしない。

俺にあるのはただただ無関心ということだ。


「頼まれてくれません?」


「いや、遠慮しておくよ。これ以上厄介事に巻き込まれたくないし」


「・・・ならば」


「ん?」


「ならば、何をすればいいですの。どうすれば引き受けてくれるのでしょう」


こいつはなんで俺にこだわるのだろうか

どうして、そこまでして・・・

そんな考えが頭の中を巡る。


「なんで、そんなに俺にこだわる?」


「・・・それは、あなたがつよいからですわ」


確かに嘘は言ってない

だが、全てを言ってはいないってところか

俺は、少しの間考え込む。

これから起こるであろう戦闘などの被る損と、それやほかのことで俺が受け取れる利益を。

はっきり、言って面倒なだけで遂げることはできるだろう。

また、この国のトップの娘であり貴族の娘であるこいつなら金にも困ることはない。

こいつの護衛になって、頼めばまた不法侵入だなんだなどと言われることもなくなり自由に動ける。

多分、この女の家に泊まることになるから宿を取る必要もなくなる。

確かに利益は大きい。

だが、こいつの護衛をしなければならず自由になっても、こいつの護衛のせいで結構制約ができる。

などなど考え、やっとのことで結論する。


「わかった。引き受けよう」


俺のその言葉に女は顔を明るくする。

だが、俺の言葉はここで終わらない。


「その代わり、お前が土下座して頼み、この先俺の命令を絶対聞き、俺の下僕になるってならだがな」


俺の出した結論はどこか怪しいとこもあるし、何より元の世界に帰る方法を探さなきゃいけないため受けないだ。

だが、受けないというとまた理由を聞かれたり、どうのこうの言われるので絶対受けないであろう条件をだしてあっちから断らせる。

それに、追われても逃げられるし、変装すればどこかに行くのも大丈夫だろう。


「・・・・・・わかった」


「そうだよな。こんな条件じゃ・・・って、え!?」


「その条件でいいですわ。この神の誓約のもと誓いますわ。」


女がそう言った途端、俺と女を囲むように地面に魔法陣が現れる。

魔法陣から一枚の羊皮紙らしい紙が出てくる。

そこには俺には読めない文字でなにか書いてある。

そして、羊皮紙が光り二つの光の球になる。

一つが女に入っていき、もう一つが俺の方に向かってくる。

俺は、避けようとするが動くことができなかった。

その間にも、光の球は俺に近づき、俺の中にも入っていった。

その後、魔法陣がより一層輝きだし、消えていった。


「お前何をした!」


「神の誓約。儀式の魔法です。あなたが言った条件をわたくしが呑み、あなたはわたくしの出した条件わたくしを護衛するということを神の名のもと誓った。これを破ることはできない。あなたが言った、わたくしがあなたの下僕になる。そして、あなたの命令を絶対聞く。」


そう言ったあと、女は地面に膝をつき頭を垂れる。

いわゆる土下座だ。


「わたくしのことを守ってください」


・・・どうやら、俺は見誤ったようだ

こいつの覚悟を



その後、女の家に行きこの女の義母と義父に事情を女が話しているのを見たあと、女の案内に従って俺用の部屋に移動していた。


「いいのか?」


「何がですか?」


「・・・・・・・」


「どうしました?」


「いや、なんかお前が急に丁寧な言葉で話すから・・・」


「戻しましょうか?」


「いや、そのままでいい。こっちのほうが俺(の精神)的にいい」


「わかりました」


女は・・・って名前聞いてなかったな


「おい、そういえば名前はなんて言うんだ」


「わたくしのなまえは宝城綾音です」


「そうか、じゃあ綾音でいいか?」


「わたくしは主の下僕です。主の好きなようにお呼び下さい」


「そ、そうか・・・じゃあ綾音で」


や、やりづらい。

なんかすごくいい思いをしているような気がするんだが現実味がない。

一度元の綾音のあれを見てると、なんか変な感じがする。

まあ、おいおい慣れていく・・・だろう。


「俺は竜胆神樂だ。よろしく」


「よろしくお願いします」


綾音のお辞儀はすごく綺麗で、いつもこれなら人気でるだろうになと思ってしまう神樂だった。


案内された部屋は結構な広さだった。


「これは広いな・・・」


「いえ、わたくしの主なのですからこれぐらいは当たり前です」


「そ、そうか」


そのまま、気まずい雰囲気が流れる。

やっぱり、急に丁寧に接されても戸惑いの方が多いらしい。


「あ、そのさ」


「なんでしょう?」


「やっぱ、喋り方元に戻さない?」


「そうですわね。わたくしも正直蕁麻疹が出そうでしたわ」


そこまでかよ。

元に戻った途端にこの口の悪さ。

だけど、こっちのほうがなぜかこころが温まる感じがした。

その日はその後風呂に入り、夕食を一緒に食べて寝ることとなった。


「ふわぁ~。んー、よし」


早朝、いつもどおりの時間帯に起きた俺はひとまず洗面所に顔を洗いにいく。

顔を洗い、歯を磨く。

さっぱりした俺はある部屋に入る。


「おい。朝だ、起きろ」


「んみゅ?あと・・・五分・・・」


綾音は朝に弱いみたいだ。

まあ、それでも起こすけどな。


「お、き、ろ!」


そう言って、思いっきり布団を引き剥がす。


「ふおぉー、さ、寒いですわ。」


「よう。早く洗面所言って顔洗って来い」


「む、・・・わかりましたわ」


綾音はしぶしぶながら布団から起き上がり洗面所へと行った。

朝食で、今後のことを話した。


「俺たちはこれから旅に出るとします。」


「・・・何故なのですか?」


そう聞いてきたのは、綾音の義母だ。

義父も食事の手を止め、俺の言葉を待っている。


「理由はまず何よりもこの屋敷が危ないからです。これから多くの者が綾音に向かってくる。そうなると、必然的に戦闘になる。ここで戦えばこの屋敷はすぐに壊れるでしょう。そうなると、この跡目争いが終わったあとの綾音の帰る場所がなくなっちゃ困るでしょう」


俺の言葉にほかのみんなが驚いた顔をする。

そこまで、考えているとは思ってなかったのだろう。


「そうですか、・・・わかりました。綾音のことをどうかよろしくお願いします」


「ええ、娘の帰りを待っていてあげてください。絶対に守ってこの家に帰ってこさせますから。」


俺の言葉に感謝の言葉と礼を言って、頭を下げる綾音の両親。

いい両親じゃねえか

最初は、面倒だなんだと言って断っていた神樂だがいざ正式に誓った言葉はよほどのことがない限り守る。

今では、絶対ここに返さなきゃなという使命感に燃えていた。


「久しぶりに気分が昂ぶってきた」


神樂はそういって知らず知らずのうちに顔が笑みを浮かべていた。


その日の昼頃、旅の費用と最低限のものを詰めたリュックを背負った神樂と武器だけを持った綾音は綾音の家を出た。

天気は曇り。

それは今後の未来のようだった。

だが、その雲の間から一筋の陽の光が地上に降り注ぎそこからまるでその光が雲を押しのけるようにして光が次々と光が地上に降り注ぎ、また意図筋の光が太くなる。

少しして、天気は晴天となった。


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