表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Endless Loop  作者: verfall
1/2

プロローグ

ほかの作品も読んでいただけると幸いです。

http://ncode.syosetu.com/n3510ck/

http://ncode.syosetu.com/n9333cj/

俺、竜胆神樂は絶賛逃亡中だ。

元から無駄に良かった身体能力を活かし、剣道で世界では敵無しまでと呼ばれたほどの腕前で、尚且つある国の特殊部隊の父について行ってある特別な事情から射撃の腕も磨き今では特殊部隊の中でも五指に入るほどの実力だ。

それに加え、その特殊部隊の訓練を一緒に受けているため素手でもその道のプロに多分勝てるだろう。

だが、そんな俺が今は逃亡中だ。

なぜって、相手は刀を振り回して追いかけてきており、俺は丸腰だ。

別に、そこらへんの雑魚・・・いや、道場主ごときならそれでも簡単に倒せるだろう。

だけど、今追いかけてきている男顔はすっげーアホっぽいけど刀振り回したらめっちゃ強い。

このまま丸腰でやっても、負けるだろう。


「やばいなー、どっかに武器落ちてないかな・・・」


表情も体も硬くならずに平然と逃げているが、厳しい状況だと思ってないわけではない。

父の教えに「いつも平然と構え動じないのが肝心だ」というのがあるためそれを実行しているだけだ。

それに、体が硬くなるのは論外だし、焦るのも思考が単純になったりするのでよろしくない。


「ふむ。いっそ周りにいる人の刀を貸してもらおうかな」


今何事もないように言ったが、銃刀法違反がないわけではない。

今日の朝起きたら何故か見知らぬ土地にいて、なぜか周りの人間は刀を差しており、またあるところでは銃を携えている。

そして、一番の疑問が手品なのかわからないが追いかけてくる男の刀が炎をまとっている。

男の取り巻きたちも俺の方に手を向けて何をするのかと思えばそいつらが何か呟くとそこに火の玉が出現し、俺に向かってきた。


「おいおい、どういうことだよ。まさかのドッキリ?前に同じクラスの奴が言ってたテレビで放送されてるドッキリ番組?だったかいうやつか!」


そう愚痴りながらも後ろから来る火の玉を頭のうしろに目があるほど綺麗に躱す。

神樂自身は前を向いて走っているのにだ。

しかし、それにしても手品で出してくる火の玉やけに熱い。

最初は無駄な動きにならないよう超ギリギリで躱したのだが、すごく熱かった。

今は、やけどしないぐらいのギリギリのところで躱している。

ちょうどいいところに武器屋と書いた看板と、店前にあるそれなりに良い刀、剣、槍などが見えた。


「ちょっと、そこの武器屋の店主そこにある刀貸してもらうぞ!」


「え!?あ、その・・・」


店主は戸惑っているが無視だ。

俺はさっと見て一番良さそうな刀を手に取り一気に刀を鞘から抜く。

俺は出てきた刀を見て戦闘中だというのに刀に目を惹かれた。

「いついかなる時も敵から目を離さず、周りの気配を感じ取る」という父の言葉を破ってしまうほどだ。

目を惹かれた理由は刀の波紋が見たことがなくまた美しかったから、そして何か強い力を感じたからだ。


「な、その刀を鞘から抜けるとはお主何者!?」


後ろで武器屋の店主が何かほざいているが、今はまず目の前の敵だ。

俺が止まったことで相手も三歩程度離れたところで止まった。

取り巻き達はすぐさま俺を包囲した。


「お前、どこの国のものだ」


俺は女の声の主を探して辺りを見回す。

俺に気づかせずに女が近くに来ていたからだ。

だが、探しても女は見つからない。


「おい。どこを見ている!」


俺は声のした方向に恐る恐る顔を向ける。

そこには、仏頂面した追いかけてた男がいた。

男は、俺に刀を向けながらさらに続けた。


「お前何のためにここに来たのだ。さっさと白状しないと首が飛ぶか、体が消えるぞ」


男からどう聞いても女にしか聞こえない声が聴こえる。

これは幻聴か本気で心配になってきたところで男?か女かはちょっと自身がなくなってきたが目の前の男だと思っていたものが殺気をぶつけてくる。

この、強さは前に父について行ってテロ組織のアジトに二人で入ったとき会った敵の一番強い幹部の野郎と同じか少し強いくらいだ。


「いや、マジで俺なんで追いかけられてるか身に覚えがないんだけど・・・」


俺も無抵抗というのは性に合わない。

八双の構えで敵の気配を感じ、いつでも切り込めるようにしながら答える。

敵の数は・・・6人

のうち、一番強いのがあの男か女かわからんやつか・・・

にしても、どうしても疑問が残るな


「ひとついいか?」


「なんだ?言い訳なら後で聞いてやるよ。生きてたらだが」


俺の言葉に嘲笑しながら答える取り巻きの一人。

それを抑え、男だが女だがわからない奴が目線で早く言えと促してくる。


「お前性別はどっちだ。」

俺の問いに目の前のやつは明らかに落胆した様子だった。

それでもすぐに上段の構えをとり、目が獣のそれになった。


「お前も、・・・お前も俺のことを軟弱な女のような声だと馬鹿にするのか!」


とても激昂されていた。

これは地雷だったようだ。

しかし、ここで更なる疑問が・・・


「まさか、おとこ・・・なのか」


多分俺の顔は今驚きに溢れる顔だろう。

それくらい、この言葉には衝撃を受けた。

まず、いきなり変なところに連れてこられたため少しは戸惑っていたのだろう。

表面上問題はなかったが、今改めて敵をしっかりと観察し最初の情報とは少し違うことを改めて感じたところだ。

その違うところには、この男だと思っていた者の体が意外と丸みがあることに気づき、女だったのかと思っていたところにあの言葉だ。

驚かないわけがない。

俺の言葉に、男は構えを少しも緩めぬまま答えた。


「いや、おんなだ!」


「じゃあ、なんで『女の声だと馬鹿にするのか!』なんて言ったんだよ!」


「コンプレックスだからだ!」


「どうどうと答えたし!」


それにしても、さっきも思ったが時代がわからない。

西洋の剣があったり、人が江戸時代のような服装をしていたり、現代と変わらないような服装していたり、それに銃があるし、刀もある。

これは、あれだ・・・

やっぱ、これはどっきりってやつだ

はあ、それにしてもお遊びでこんな強い殺気ぶつけるとかやばいな

それにこんな強者も集めて・・・


「それじゃ、いっちょ乗っかってやるか」


俺は、そう呟くと三歩の間合いを一気に一歩でつめ一番弱いであろう者に斬りかかった。

そいつは、一気に詰めてきた俺に驚き慌てて剣を振り下ろしてくる。

しかし、戦闘中に焦りは禁物だ。

思考が単純になり、いつもより動きが鈍くなる。

俺はそんなことを目の前の奴に心で説きながら振り下ろしてきた相手の剣を巻き上げる。

相手の剣が空を舞い地面に突き刺さった。


「あ、やべ。周りの人に刺さったら危ないじゃん」


すっかり、周りの人の方を忘れてた。

俺は、しっかりと剣を飛ばされた者に峰打ちで気絶させる。

今ので、周りの奴らは少し警戒したらしく。

距離をたもったまま一向に詰めてこない。


「ふむ。お腹すいたしそろそろ芝居も終わりにさせてもらおうか」


俺は、また駆け出し次々と敵を気絶させ残るは一番強いと思われる女だけだ。

女は今の戦闘で俺のほうが強いとわかったのか少々及び腰だが、ちゃんと刀を構えてこちらを睨んでいる。

刀の炎も健在だ。


「それで、いつドッキリ成功のプラカードを持った奴が出てくるんだ」


「はあ、お前何を言っている。ドッキリ?そんなわけないだろう。お前は不法侵入の罪で俺達に追いかけられていたんだぞ」


「え!?不法侵入も何もここ日本だろ。どこの街かはわからないけど・・・」


「はあ?お前何を言っている。ここは大日帝国!日本などという場所ではないぞ」


「・・・・・・えぇぇーーーーーー!!!」


あれ、おかしいな

そんな、場所聞いたことないなぁー

一応、地図に乗ってる国とその都市、街から小さな町や辺境の村、部族の住処まで全て把握しているはずなのに・・・

これはあれか、歴史村とかいうところに連れてこられて運悪くある特殊な病にかかった痛い人達に絡まれたってとこかな・・・

それにしてもこの痛い人たちガチすぎるだろ

わざわざ訓練してまでなりきりたいのか

それに法律守れよ、俺も刀使っちゃったけど・・・


「ははは、そうか。これなら筋が通る。おい、そこの痛い女東京の秋葉原に行きたいんだがどこから出れるんだ」


あれ、そういえばこの真剣普通に売ってるけどそれも法律的にアウトだよな

それに真剣を使ってるの見てるのに、携帯使ってる奴ら全く電話かける様子がないし、警察も来る気配すらしない

それに、そういえば周りにいる人も刀を佩いてたり、銃を携えてたり、槍を持ってたり、剣を背負ってたり・・・

あれ、ここほんとに日本?


「おい、何を言いている?とうきょう?あきはばら?どこだそこ」


どこだそこ、どこだそこ、どこだそこ・・・

な、なんだってー!

おい、嘘だろ

でも、俺の目は経験から嘘を見抜ける

その目で見てもこの女が嘘を言ってる気配は一切ない

ということはだ、ここは本当に大日帝国で、日本という場所は存在・・・しない


「なんてことだ・・・」


俺は、これからのことを考え始める。

これは、小説でよくある異世界召喚?

いや、召喚されてないな

異世界に転生した・・・のか

いや、理由はどうでもいい

さっきの火の玉の熱さもそれなら納得がいく。

ここが俺のいた世界ではなく魔法がある違う世界・・・異世界だってことがなぁ!

そう、真実はいつも一つであり真実は小説よりも奇なり

なんだ、そのための証拠だっていくつもあったじゃないか

武器を普通に売ってる、銃刀法違反なにそれ美味いの?の人達、明らかに魔法のような手品、時代がごっちゃの光景、さらに見渡せばおかしなところがいくつもある。


「ここは本当に異世界のようだな」


やっと、現実に戻ってきた俺はそうつぶやくしかなかった。

それに、不法侵入、確かにそうなるだろう

だって、俺ここの世界の人じゃないもん

どこに行ったって不法侵入だ

しかし、これを言って信じてもらえる確率は・・・あるのか?

いや、ないだろ

逆に、俺が痛い人になってしまう

ならどうするか・・・そんなの


「三十六計逃げるに如かず」


俺はそれだけ言って、女の前から逃げ出す。

後ろで女が待てだとか軟弱者だとかわめいているがここは気にしたら負けだ。

俺は、必死に走り一通りの多い道からくらい横道に入る。

そのあとも、走り周りの建物がボロくなってきたところで止まることにした。

のだが・・・


「え?ぷぎゃー」


すっかり、焦っていたようで曲がり角からくる人の気配を感じるのが遅れた。

しかし、そこはくさっても神樂。

目の前に走ってきた相手を即座に投げ飛ばす。

相手は投げ飛ばされ少し離れた場所にバウンドして倒れた。


「やったか」


「ちょっと、いきなり何するんですの!」


「まじか。すげえ頑丈なやつだ」


倒れてた相手はすぐさま起き上がりこちらに詰め寄ってきた。

その相手は、女でさっきの女のようにまな板・・・といったあら失礼だな、胸が平べったくなくされど身長は結構低い。

そう、この女はロリ巨乳というやつだ。

そんなことを考えてると、そのロリ巨乳女は真下から俺の顔を見上げてきた。


「ちょっと、あなたもう少し低くなりなさいよ。わたくしを見下ろすなんて許されない重罪よ」


「そうか、なら人間の9割くらい罪人になるんじゃないか」


「な、あなたわたくしのこといろんな意味で最低の人間って言いたいのね」


「いや、そこまで言ってねえよ」


「わかったわ。そこまで言うなら・・・こっちにも考えが」


「だからそこまで言ってねえって」


「あなたうるさいわね。下僕になりなさい」


「いや、なんでそうなる」


人の話を聞かない、いきなり変な事を言う変な女に出会ってしまったようだ。

災難続きである。

唯一の幸運は会話できるところだ。

よくある、異世界の言葉喋れませんだとやばかった。

何がやばいって異世界だとわからないままあるはずのない東京を探す羽目になるとこだった。


「それで、あなたの名前は?」


この女は唐突に聞いてくる。

しかも、かなり偉そうだ。

だが、ここで怪しまれて人を呼ばれようものなら厄介だ。

ここは素直に・・・


「俺はジョン・デ・パウラ=ホアン、えっと、ロス・レメディオス=クリスピアーノ・トリニダード=ルイス、ん~と、アウレリウス=ヴィットーリオ=アントニヌス・・・だ。」


「嘘ね」


まさか、俺の嘘を見抜くとはなかなかやりおる。


「ほかの外国は大日帝国によって支配されてるから大日帝国人以外は5音以上の名前は禁止されているのよ」


な、なんだってー!

と、言うと思ったか

この女は嘘を言っている

俺の目をごまかせると思うなよ


「嘘だな」


「あら?結構本気で騙しにいったのにまさか見破るとはね。なかなかやるじゃない。下僕じゃなくて側用人として雇ってあげるわ」


この女はどこまでも自分勝手だ。

それに・・・トラブルメーカーだ。


「おい、なんかかなりの人数に囲まれてるんだが」


「あら?あなたも気配読める人。へー、かなり優秀じゃない。特別にわたくしの専属執事に昇格させてあげるわ」


「いや、お前に仕えてないからな」


「はあ、口の減らない男ね」


「・・・会話にならない」


ここまで突き抜けてると俺の話術でも流石に無理だ。

どうにもならない。

それにしても、周りの人間の気配がどんどん増えていく。

すでに50人は超えた。


「おい、俺は知らないからな。あとは自分で頑張れ」


俺は巻き込まれると面倒なのですぐに離れることにした。

しかし、時すでに遅し。

俺たちの前に一人の見るからに怪しい男が現れた。


「お前、そこの女の見方か?」


「いや、俺は―」


「なら、お前も同罪だ死ね!」


・・・この世界の住人は会話というものを知らないのだろうか

そう内心愚痴りながらも体は無数の敵が繰り出してくる攻撃をひらひらと躱している。

少し離れたところを見ると女も攻撃を躱しながら一人一人迎撃してる。

意外と強い・・・


「くっ、相手は二人だぞ何もたもたしてるんだ!」


最初に俺たちの前に現れた男が怒鳴っている。

ふむ。そろそろ面倒になってきた

途中で抜けて全部あの女にクーリングオフしようと思ったがあいつちまちま一人ずつ倒すもんだから全数か減らない。


「っし」


俺は、居合斬り(峰打ちver)でひとりを倒し、そのあとも横に凪いだり、蹴り飛ばしたりしながら二人、三人と倒す。

二分後ぐらいにはあらかた片付け終わった。


「あら?強かったのね」


いつの間にか何もせず突っ立てた女が終わったのをみて、話しかけてきた。


「お前がもってきた問題を俺に押し付けるな!」


「あらま、謀反?反逆?下克上のつもりですね!」


「ほんと話し聞かねえやつだな。」


「許してあげましょう。その代わりこれからこれまで以上に忠義に励みなさい」


「だから、お前の下に着いた事実もないし、つく気もない」


「まあ、下にへばりつくだなんて。お下劣ですね」


「お前の考えの方が下品だよ!」


つ、疲れる・・・

コイツとの会話はすげー疲れる

いや、まず会話になってない

俺的に会話は言葉のキャッチボールだと思っている

だだ、コイツとの会話はピッチャー(俺)とバッター(女)だ

俺が投げかけたボールという名の言葉をあいつはやたらめったら打ち返す

まあ、もう危険はなくなったし早速移動するか・・・


「じゃあな」


俺はそれだけ言ってまた暗い路地に入っていく。

その歩みもだんだんと早くなり、最終的には走り出すことに


「なんで、ついてくんだよ!」


「違いますわ!あなたがわたくしの行く方向に言ってるだけです」


それから二人は陽が沈んでもまだ走りまわっていた。

俺は特殊部隊の訓練とかでかなり体力ある方だし、入るのも速い。

だが、それについてくるあの女もなかなかだ。

一瞬後ろを見たが女も全く息が上がってない。


「はあ・・・」


俺は立ち止まる。

その近くで女も立ち止まった。


「なんのようだ?」


「だから、わたくしが行く方に―」


「真面目に答えろ」


俺はかなり殺気を込め、強く言った。

女は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真面目な顔になった。

それから沈黙の時が少し流れ女がそれを破った。


「私、追われてますの」


「さっきのだろ?」


「・・・さっきのはただの1部隊ですわ。敵はもっといますの」


「それで」


「わたくしのこと守ってくれません?」


女は真面目な表情で言ってくる。

俺は意外と可愛い真面目な女の顔に少し見とれた。

暗い中、月明かりでなお黒く見える黒髪、見たもののほとんどが見とれるような容姿、そして血よりも赤く、暗闇でもわかるほど紅く輝いた瞳。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ