表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/61

国王杯 向こう正面→3コーナー手前

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 2コーナー出口→向正面

語り:俺

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 俺はさっきと同じ様に先行馬群を見ながら進んでいた。


 先行馬群はグラジエーターが先頭で、コロネが首差から半馬身差でその内に張り付いている。


 レスターがその2頭から約1馬身差でインに張り付いている。


 先行馬群の動きに大きな変化はない。



 単騎で進んでいる俺と前との差はわずかに詰まったけれど、それでも4馬身程度の差はある。


 ただ後ろの馬群の動きに少し変化があった。


 ハインケルが俺の2馬身後方と言うのは変わりないが、その斜め後ろまでグローヴァーがポジションを上げていた。


 うーん。キースの考えなのか自然に押し出されたのかはわからないが、なんか不気味だ。


 何せランカスターカップで俺とアニーを一番苦しめた騎手だからなあ。



 やがて別のコースとの合流点が見えてきて、俺はそこに足を踏み入れた。


 コーナーが終わり束の間の平坦を通過すると、このコースで一番勾配のきつい上り坂が目の前に立ちはだかっていた。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 2コーナー出口→向正面

語り:キース(グローヴァー鞍上)

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 なんかここまで来ちまったが仕方ねえな。


 かかったわけじゃねえし、単なる成り行きだからまあいいか。



 先頭のハンスは見事に乗ってるな。


 少し速いかとも思ったが、あれがあの馬のペースなら問題なさそうだ。



 アニーのやつはいつになく慎重だな。


 普段はあんなに1つ1つ確かめて乗る様なやつじゃないからな。


 今のナイトの状態は、俺が思うより悪いのかも知れん。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 向正面

語り:ハンス(グラジエーター鞍上)

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 さて、ここからが勾配がきつい登りの本番だね。


 途中に階段でいう所の踊り場があるけど、そんなものは何の気休めにもならない。


 いつも坂路でトップクラスのタイムを叩き出してるこの馬にとってはおあつらえ向きかな。


 他の馬の方が絶対に苦労すると思う。


 この馬のペースで駆け上がって後続が何頭潰れるか楽しみだ。



 それにしても囲まれずに走るというのは、本当に気持ちが良い。


 内側にコロネがずっといるけど、これは脚質によるものでミストラルのやつらの様な妨害が意図じゃない。


 やっぱりこういう堂々とした勝負が僕は好きだな。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 向正面

語り:アニー(エリスズナイト鞍上)

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 さすがグラジエーターだな。勢い良く登ってるぜ。


 坂路大将は伊達じゃねえって事か。



 そういや一週前にリナが調教の時に、あいつと並走してオーバーワークになったって、会議の後でアタシに謝りに来たな。


 多少は仕方ないかと思ったけど、ナイトはちゃんとゴールまで食いついて行ったそうじゃねえか。


 あの時点でそこまでやれたなら上出来だ。


 今日の方があの時より状態が良いのは確かだしな。



 だが勝負所はここじゃねえ。


 離されるのはまずいが、慌てて追いかけるほどじゃない。


 こっちも最近は坂路に特化したトレーニングをしてるし、それなりについて行けるだろう。


 まあじんわりとでも追いつけりゃ上々だ。



 後ろの動きはキースのオッサンが前に出て来たくらいか。


 グローヴァーをどう乗るつもりなのか、やっぱり気になるぜ。


 日頃アタシがレースで乗ってる馬だからな。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 向正面

語り:クルーズ(レスター鞍上)

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 レースが始まってからレスターはグラジエーターにずっとついて行けている。


 ここまでは予定通りだ。



 この競馬場は3歳の3頭の中では、このレスターが一番向いていると僕は思う。


 今までは馬の完成度が他の2頭に負けていて、苦杯をなめて来た。


 でも一勝馬の身の上で、世代のトップクラスの馬と好勝負してきた自負はある。


 だからこの馬向きの競馬場なら逆転できても何の不思議も無いはずだ。



 それに、エリスズナイトは調整過程に疑問が残る。


 グラジエーターは速いしパワーだってあるけど、スタミナ面でどうかな?



 今丁度一段目の坂を上り終えて階段の踊り場のような所に差し掛かった。


 あれ?ここでコロネがグラジエーターに頭差まで詰めたぞ。


 二段目を登り始めてもその差は変わらない。


 これは3コーナーに入って勾配が緩くなったら一気に仕掛けるつもりか?


 それともグラジエーターを刺激して自滅を誘う気なのか?



 後ろはどうだ?


 アニーさんがじわりと差を詰めていてもう3馬身も無い。


 その後ろも続いてきている。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 向正面 3コーナー手前

語り:俺

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 ここの所調教で坂ばかり登ってたせいか、この急坂を上ることに抵抗は無い。


 俺は別に何も無理はしていないけど、少しづつ前との差を詰めているみたいだ。


 今の所のレスターとの差は2馬身半。


 更にさっきと違うのは、先頭のグラジエーターと二番手のコロネがかなり接近した状態になっている。



 アニーの手綱は全く動かない。


 ランカスターカップの時の様な細工をする必要もないしな。


 仕掛け所まではこのまま行けという事だろう。



 そろそろ3コーナーが見えて来た。


 勾配も緩くなったし、勝負どころが近くなってきたな。


 後ろの馬群も凝縮されてきてる。


 段々と緊張が高まって来た。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 馬主席

語り:エリス

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


「あーもう。コロネって可愛い名前の癖にしぶといしやるわね。」


 ヴィルマがそんな事を言っていますが、人の事が言えますか?


 条件特別で逃げるナイトにイレイザーをけしかけて来たくせに。


 結果的にはまあ一蹴してやりましたけど。



 ハンスは慌てずに対処しているようですね。


 一番きつい登りで更に速度を上げれば、いくらグラジエーターでも最後に足が止まるかも知れません。


 コロネの騎手の挑発に乗る様な騎手では無かったようです。


 つくづくヴィルマの所にいるのが勿体ない騎手ですわね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ