国王杯 スタート
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 1コーナー付近
語り:俺
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馬場に出ても前回に比べると、観客達のざわめきや気配は少ない。
出走馬が大写しになったら沸く所は同じでも前程じゃない。
それに何か主催者側がセレモニーのような事をやってるけど、ここからじゃわからない。
これは競馬場自体が大きい事も関係してるんだろう。
馬は本来臆病な動物だから、この競馬場の雰囲気はプラスになりそうだな。
まあ俺は別だが。
俺が返し馬を終えてゲート近くに向かっていたら、ハンスが近寄って来た。
「やあアニー、リナから伝言を聞いてくれたかい?」
「伝言?なんだよそりゃ。」
「変だなあ?坂路で『次は負けないよ。』って伝えといてくれって言っておいたけどなあ?」
あーあ、このバカわざわざ虎の尾を踏みやがった。
折角リナが気を遣って伝えなかったのに。
「お前ケンカ売ってんのか!?そんなもん聞いて『はいそうですか』ってアタシが言うわけないだろう!?
ぶっ潰してやるから覚悟しとけ!!」
ハンスのやつ、一番アニーの気が昂ってる時にちょっかいかけるなんて、バカを通り越してないか?
おっ旗が振られたぞ。
スタート地点に集合だな。
俺はスタート地点に進んで行った。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 スタート付近
語り:アニー(エリスズナイト鞍上)
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全くハンスのバカヤローが、人が考え事してるのを邪魔しやがって、確かオーエンのオッサンとの話はこうだったな。
「オッサン、今回みたいに強敵が多かったら、そう簡単に進路は開かねえし、大外から一気てのも辛いもんがあるぜ。」
「先行するか?多少無理しても後ろよりマシだろう?」
「そうは言うけどな。大外から前を取りに行って勢いついたらマイナスにこそなってもプラスにはならねえだろ?
結局は4コーナー出口までの我慢比べだから、そこまでに消耗してたら何にもならねえ。」
「大外の唯一の利点は、下手な所に入って馬群にずっと閉じ込められる事は無いという所か。」
「まあな。じゃあこうするか。スタート次第で適当にやるってのは。」
「お前なあ・・・それを行き当たりばったりと言うんだぞ。」
「あのなあ、オッサンがまともな枠を引いてりゃここまで悩む必要は無かったんだぞ!」
「お前また蒸し返す気か!せめてスタートが良かったときと悪かったときの位置取りくらいは決めとけ。
或いはマーク戦に徹しろ。」
「マーク戦か、前回アタシがキースのオッサンにやられたやつだな。」
「そうだ。何だったらグラジエーターの真後ろでも真横でもいいぞ。」
アタシは自分で位置を決めたい方だから、マーク戦は普段からあまりやらない。
でも今回は仕方ないのかも知れねーな。
何をするにしてもスタート次第だな。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 スタート地点
語り:俺
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それにしてもアニーはまだ悩んでるのか。
まあ仕方ないけどな。
俺がそんな事を考えていたらファンファーレが鳴った。
これも格調高い感じだなあ。
出走馬は歴戦の古馬が多数を占めているせいか、ゲート入りは凄くスムーズだ。
最後に俺が引かれてゲートに入るとスタートが切られた。
俺がいつも通りのタイミングで出たら、内の方でグラジエーターが先陣を切っていた。
更にその内からコロネもグラジエーターに迫っていた。
アニーは後ろを振り返ると徐々に俺を内に誘導した。
この様子だとどうやら先行策になりそうだ。
とは言ってもダンゴに近いけどな。
先頭はグラジエーターで首差くらいで内からコロネが続いて、その後ろにはレスターがいた。
俺は外からなんとかレスターの横にたどり着く事が出来た。
どうやら3歳は全頭先行策をとる事になったようだ。
そして隊列は落ち着いてきて、俺の2馬身後ろにはハインケルがいる。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 スタート→下り坂
語り:ハンス(グラジエーター鞍上)
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よし予定通りだ。
三歳だから斤量は軽いし、ペースさえ掴めば逃げ切れる可能性は高い。
コロネがどう出るか気になったけど、無理矢理ハナ争いをしてこなかった。
こちらと競って前に出ても何も利点は無いし、他に目立った先行馬はいないわけだから必要以上にペースは上がらないしね。
アニーまで先行策か。レスターと並んで僕達の後ろにつけてるな。
このペースで坂を下りれば・・・あれ?ナイトだけが遅れて行くぞ。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 スタート→下り坂
語り:クルーズ(レスター鞍上)
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なんとか先行馬達から置いて行かれないで済んだぞ。
出足はグラジエーターやコロネに敵わないから逃げる事は出来ないけど、今の所3-4番手につける事が出来てる。
それにしても流石アニーさんだな。
大外枠からそつなくレスターの横までナイトを持ってきてる。
末脚勝負で来るのかな?と思ってたけど、先行策なのか。意外だな。
あれ?横にいたナイトが下がって行く。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 検量室 モニター前
語り:リナ
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今までの経緯から、今日は本当に一周して帰ってきてくれたらそれでいい。
私はそう思っています。
だから事故やケガが本当に怖い。
だからナイトが下り坂の半分も行かない位置で先行馬群から遅れ出したので、私はひょっとして怪我をしてしまったのかと心配になりました。
「先生、ナイトが・・」
「心配いらんよ。ほれ、後ろの馬達を見ろ。」
後ろの馬達を見てみると、ナイトとの差が詰まらず一定の距離を保っています。という事は・・
「ナイトが下がってるんじゃない。前の3頭が速いんだ。後ろの古馬も自分のペースを守っているんだ。」
それなら良かった。
ひょっとしてスクーリングをやった事が役に立ったのかも。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 下り坂
語り:俺
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前を行く3頭はオーバーペースだと思う。
スタートで勢いがついているし、やはり長い下りで感覚が麻痺しているんだろう。
それに俺もアニーも気付いてわざと速度を落とした。
だから今の隊列は先行馬群3頭、ポツンと俺、俺から2馬身空けて後方馬群が一塊といった感じだ
先行馬群は徐々に俺を離しつつある。
でもアニーは動けと合図してこない。
だからこのままで良いんだろう。
その証拠に後ろの古馬勢が俺との差を詰めて来ないからだ。
調教で意識して坂をゆっくり降りる練習をしておいてよかった。
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国王杯 芝2400M
場所:王立競馬場 下り坂
語り:キース(グローヴァー鞍上)
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アニーだけは釣られなかったか。
3歳が纏めて消えたらチャンスだと思ったんだがなあ。
まあ何にせよここは我慢だ。
手綱はしっかり押さえなきゃな