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国王杯 スタート前

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 パドック

語り:俺

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 俺は二度目のG1レースのパドックに出て来た。


 レース自体の人気のせいなのかはわからないけど、パドックを囲む人の数は前回の方が随分多かった様に思う。



 それ以外に違う所は、何と言うか来ている男女がかなり華やかだ。


 皆金のかかってそうな服で着飾っているし、ヘアスタイルも念入りに整えている。


 ひょっとして今日はドレスコードとか言うのがあるのか?


 それなら納得が行くけど、これだといつものオヤジなんて来れないかもな。


 と思ったらいた!それなりの物を着てるけど・・まあ言わないでおこう。



 パドックの内側にいる馬主の集団はもっと派手だ。


 エリスもあの中にいるみたいだな。


 それにしても、やっぱり馬主は金があるなあ。



 ドレスコード自体は同じ競馬場の中でもきついエリアだけじゃなくて緩いエリアもあるのが普通だから、緩いエリアなら日本にいた頃の俺でも見に行けたのかもな。


 服はレンタルもあるそうだし。


 ただ現地への航空券の入手自体が困難な俺には要らぬ心配だけどな。



 俺はオーエンとリナに引かれながらそう思った。


 いかんな。こんなこと考えてないでちゃんと他の馬を見ないと。


 ランカスターカップの時よりメンバーのレベルはぐっと上がってるわけだし。



 グラジエーターは相変わらず良いけど、古馬もいるせいか前回程は目立たない。


 一応俺とこいつの一番人気争いは、こいつが昼頃俺を逆転して少しづつ差を広げてるみたいだ。


 仕上がりも少しだがランカスターカップの時を超える水準にあるな。



 見てびっくりしたのはレスターだ。


 前回より明らかに雰囲気が良い。こいつは底なしなのか?


 こいつとは条件特別以外ずっと一緒に走って来たけど、今では全く別馬に感じる。



 古馬ではハインケルが良いな。


 古馬らしい落ち着きもあるし、何と言うか隙が無い。


 マイクは大チャンスだぞ。俺にはありがたくないが・・・



 グローヴァーも悪くないんだが、ハインケルが良いからどうしてもそっちに目が行く。


 でもこっちも実績あるし調教は走るからなあ・・



 ブルーザーは馬体は悪くない。でも気配がなんだかイマイチだ。


 この馬もG1実績があるから舐めちゃいけないけどな。



 リナが気にしてたコロネはコンパクトにまとまった感じで良いな。


 これは気配も良いし動きも柔らかいから走りそうだな。




 なんだよ。


 今更だけど、やっぱり強敵ばかりじゃないか。




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国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 パドック

語り:エリス

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 今日はちゃんとパドックを周回する馬を見て雰囲気を楽しむ事が出来ています。


 こんな当たり前の事がランカスターカップの時は出来ていませんでした。


 でも今日の様な日を再び迎える事が出来たのは、やはりミストラルというゴミが掃除された事が大きいです。


 今日は純粋にレースを楽しむとしましょう。



 どうやら周回が終わって前と同じ様に、ナイトが私の目の前に止まりました。


 ハインケルとグローヴァーは少し離れたお父様の前に止まったようです。


 そしてアニーが駆けてきて、リナの手伝いでナイトに跨りました。



 見た感じですがやはりナイトの状態はランカスターカップの時よりは良くありません。


 周りの馬が良いだけに余計にそう感じてしまいます。


 ただ経緯を考えますと、こうして馬を出せただけでも先生やリナに感謝すべきかも知れませんね。


 ならばかける言葉はこれしかありません。


「先生、リナ、ナイトをここまで連れて来て頂いてありがとうございます。心より感謝致しますわ。

 アニー、貴方の思う通りにレースを楽しんで下さいね。」


「お嬢様。」


 なぜか先生は少し目頭を押さえていらっしゃいます。


「ありがとうございます。お嬢様。」


 そう言いつつなぜかリナも。


「任せといてくれよ。お嬢様。」


 アニーはいつも通り元気いっぱいに。



 私はナイトと3人がパドックを出るまで後ろ姿を見送りました。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 パドック→芝コース

語り:俺

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 最近の俺はここの住人だから馬場に出る上で特に感慨とかは無い。


 でもやはり本番前は独特の緊張感がある。


「いいか、アニー。ここは馬場入りしてからスタートまでの時間が短いし、ランカスターカップみたいに客の声援も大きくない。

 だから馬が過剰反応したり入れ込んだりする心配は殆ど無いが、念のため前と同じ様にすぐに放すぞ。リナもいいな?」


「わかったオッサン。そうしてくれ。」


「わかりました先生。」


 リナは前回のランカスターカップですっかり雰囲気に慣れたみたいで、今回は落ち着いている。


 こっちの方が静かだしな。


 俺も落ち着かなきゃな。



 そう思って歩いていたら、スタンドをくぐった目の前に広大な芝コースが広がっていた。


「じゃあ頼むぞアニー。」


「お願いね。アニー。」


 オーエンとリナはそう言って俺から引き綱を外した。


「わかった。いつも通り任せとけ。」


 アニーは二人にそう返してから、俺を1コーナー方向に導いた。


 その先には既に返し馬に入っていた僚馬の二頭の後ろ姿が見えた。




△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race

国王杯 芝2400M

場所:王立競馬場 馬主席

語り:エリス

△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race△▼Race


 さて、今日は心静かにじっくりとレースを見る事にしましょう。


 と思っていたのですが・・


「エリス、エリス。」


 ヴィルマが私の名を呼びながら袖を引きます。


「何ですか?ヴィルマ。」


「どう?うちのグラジエーターが一番人気よ?」


「その様ですわね。」


「これでデビュー以来の単勝一番人気の記録は更新できたわよ。」


 ヴィルマは随分得意満面な顔をしています。


 まあここは刺激しない方が良いでしょう。


「それはおめでとうございます。」


「え?」


 何ですか?このヴィルマの反応は?


 何か私が間違えたのでしょうか?


「本当にエリスなの?」


「どういう意味ですの?」


 相手がヴィルマとは言え、流石にそんな事を言われるのは心外です。


「エリスの事だから『どうせあなたが山ほど単勝買った結果でしょう?』とか言いそうだと思ったのよ。」


「言って欲しいのですか?」


「嫌よ!」



「ククククク・・・」


 笑い声が聞こえたのでそちらの方を向くと、ケイトが必死に笑いを堪えている様でした。


「なんですか?ケイトまで。」


「そうよ。」


「いや、ゴメン。二人を見てるとようやく戻ってきたなって思ったんだ。」


「何がですか?」


「ここの風景がね。」


 確かにそうかも知れませんね。


 ここにもゴミ掃除の成果が出ているようです。


 その風景とやらに何か今一つ納得できない部分はありますけど。







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