ランカスターカップ 4コーナー→ゴール
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ランカスターカップ
場所:4コーナー出口→直線
語り:俺
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4コーナーの出口でもうバイエルはバテて急速に下がり始めた。
シルバーバレットもそれほど手ごたえは良くない。
この馬も同じ運命だろう。
直線に向いた所でグラジエーターを始めとした二番手集団がシルバーバレットも飲みこんで先頭に立った。
その中で手ごたえが良いのはグラジエーターとレスターだった。
前を交わした後二頭が内ラチから少し距離を取って併せる格好で並んで先頭に立って坂を駆け上がっている。
周りにいた馬主集団の馬は殆ど死に体と言った感じだ。
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ランカスターカップ
場所:直線 上り坂
語り:クルーズ(レスター鞍上)
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僕はグラジエーターの内に馬を潜り込ませてここまで一緒に上がってきたけど、正直ここまでグラジエーターが強いとは思わなかった。
エリオットSの勝ちもシルバーバレットの落馬や先行馬有利の流れに恵まれたもので、みんなが言う程には差は無いと思ってたし距離が伸びた今回は大きなチャンスだと思っていた。
でもそれは間違いだったみたいだ。
あれだけ包囲されて競り込まれたのに、まだハンスさんの手応えはしっかりしてるし、こちらとも互角に渡り合ってきてる。
有力候補の一頭だったフランジャーはもう脚が上がってしまって後退しているのに・・・
でもここまで来たら負けられない。
この馬の力を信じるだけだ。
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ランカスターカップ
場所:直線 上り坂
語り:ハンス(グラジエーター鞍上)
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レスターはあんな荒れた所を通ってもバテる気配が無いね。
クルーズと厩舎の戦法は今のこの馬には合っているという事だね。
でも馬の完成度では数段こちらが上だ。
坂の頂上までもてばレスターには早々負けないよ。
でも問題はアニーの馬とキースさんの馬だな。
ん?外から揃って来てるな。
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ランカスターカップ
場所:直線 上り坂→残り300m
語り:俺
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俺もアニーに促されてダラダラ坂を上りながら前の集団に徐々に近づいている。
その時俺の真後ろから右斜め後ろへスーッと移動している馬に気付いた。
ラージワンだ。
こいつも俺に付かず離れずついてくる。
アニーは前後を見やって右手の鞭を握り直した。
前との差は4馬身程度、残り300mくらいで坂を上り切った。
ここで満を持してアニーの右鞭が飛んだ。
しかしそれよりわずかに早く後ろで鞭の音がしていた。
馬場の真ん中より少し内を通って前を行く二頭に俺は襲い掛かったけど、後ろからラージワンが俺に首差近くまで迫って来ていた。
どうやらラージワンは俺より1テンポ早くスパートした様だ。
俺も加速してるから差は首差以上には詰まってないが、キースがアニーに対してベテランらしい嫌がらせをしてきている。
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ランカスターカップ
場所:直線(残り300-200)
語り:アニー(エリスズナイト鞍上)
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クソッやっぱりこのオッサンは油断ならねえ!
このオッサンはアタシがスパートするより一瞬早く動いた。
ラージワンは瞬発力が凄まじいからあっという間に並ばれたけど、こいつも末脚は負けちゃいねえ。
普通なら併せて行けば負けない自信はあるんだが・・・
このオッサンはわざと馬体をギリギリまで近づけてアタシに右ムチを使わせない様に詰めて来やがった。
クソッやり辛いったらないぜ!
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ランカスターカップ
場所:直線(残り300-200)
語り:キース(ラージワン鞍上)
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悪いなアニー。
お前ならこの辺りから出るだろうと思ってたぜ。
この状態でムチを持ち替える余裕があるならやってみな。
結構難しいもんだぜ。
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ランカスターカップ
場所:直線(残り200)
語り:ハンス(グラジエーター鞍上)
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まずいな。
アニーの馬は思った以上の末脚で来てる。
トライアルとはレベルが違うからここまで来られるのか疑問だったけど、思った以上の馬のようだ。
おっ。でもキースさんが並んで内に押し込んでるからうまく行けばこちらと併せる格好になるかも知れない。
ただ併せてもこの勢いだと相当に分が悪いな・・・
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ランカスターカップ
場所:直線(残り150→100)
語り:クルーズ(レスター鞍上)
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ハンスさんがエリスズナイトとラージワンを意識してる。
この隙をついて前に出られれば良いけどこっちもここから切れるわけでもない。
相手は二頭とも斜めに切れ込みながら内に来てるから、ハンスさんに併せてもらって、こちらもゴール前は馬の勝負根性にかけるしかない。
でもなんだ?後ろから気配が・・
最内?
僕が左後ろを振り返ると最内の最短距離を通ってペドロが突っ込んできていた。
ペドロ?内はグラジエーターの邪魔をしていた馬達でゴチャついてるはず?
でも最内は綺麗に空いていた。
ああそうか。ミストラルか。
どうやらペドロの仲間が進路を開けたみたいだ。
ペドロは外の2頭に負けない勢いで最内に入ってきた。
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ランカスターカップ
場所:直線(残り100→ゴール)
語り:俺
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アニーもキースも必死に追っている。
多分アニーの考えとしては内の先行馬に併せられない様に馬場の真ん中から外を通りたかったんだろう。
でもキースのラージワンが時々馬体を当てながら外から押してきてるせいでジリジリと内に進路が寄って行ってる。
幸い俺はムチが無くてもアニーがどうしたいかわかる。
だからキースのやってる事は半分無駄なんだが、時々馬体を当てられるとこっちも走り辛い。
本当はぶつけ返してやりたいが、今はそれどころじゃない。
俺とラージワンは首差のまま前を行くグラジエーターとレスターに迫って行った。
ハンス達はこっちに気付いてるけど、俺達に敵う手応えは残って無さそうだった。
俺達がゴール手前の100メーターで前の二頭を交わしにかかった時に異変が起こった。
いつの間にかレスターより内に一頭潜り込んでいて、そいつが派手に外のレスターに内からブチ当たったらしい。
例えて言うなら最内に魚雷が飛び込んで炸裂したような印象だ。
悪い事にすぐ外まで迫ってた俺にはレスターに飛ばされたグラジエーターがブチ当たった。
更に最悪な事に俺の四肢が全て地面を離れてるタイミングで当てられてしまって内の二頭より派手に外に飛んでしまった。
馬格が俺よりグラジーエーターの方が上だったことも大きい。
俺はすぐ外に首差まで詰めてたラージワンに思いきりブチ当たってしまった。
その瞬間何かが落ちる音がしてラージワンの鞍上からキースが消えていた。
アニーは?
そう思って俺は自分の鞍上を見てほっとした。
鞭は落としたようだがアニーはちゃんといた。
「バカヤローー!!」
そう叫びながらアニーは必死に俺を追った。
俺も全力でそれに応えた。
内の2頭も同じらしい。
それぞれの騎手の頑張りに応えようと目前のゴールを目指す。
衝突の原因になった最内のやつは後れを取っている。
俺は何とかゴールに飛び込んだ。
グラジエーターとレスターの2頭はもつれる様にゴールに入った。
全く・・・何てレースだ・・・
着差どうこう以前に誰が勝ったのかすら確認する余裕が無かった。
それよりぶつけられた体が痛い。
ゴール板を過ぎてスピードを落としながら1コーナーへ回る時に着順表示板を見たら恐らく審議を示すランプが付いていた。
ゴール前のリプレイは見る気もしなかった。
何なんだよ!これは!