ランカスターカップ 3-4コーナー
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ランカスターカップ
場所:3-4コーナー
語り:クルーズ(レスター鞍上)
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エリスズナイトにレスターが勝ってるのはパワーだ。
グラジエーターにはスタミナで勝っていると思う。
だから僕は多少内が荒れててもこの戦法を取るしかない。
トライアルの時は最後に切れ負けしてしまった。
でもこの馬は決してバテてたわけじゃない。
同じ距離でももっとタフなコースだったら絶対負けなかったと思う。
それにずっと競馬開催は続いているから、あの時よりは全体的に馬場が荒れている。
こちらの戦法も決して悪い物じゃないと思う。
幸い前の方では本命のグラジエーターが包囲されて消耗を強いられている。
もちろん強い馬だから油断はできないけど警戒すべきは差し追い込み勢。
アニーさんにやられてギリギリまでエリスズナイトを封じる作戦は失敗したけど、こうなったら前を早めに潰してアドバンテージを稼ぐしかない。
ラージワンの位置取りは意外だったけど何の支障もなく自分のレースをしているペドロも侮れない。
でもとにかく今はアドバンテージを稼ぐんだ。
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ランカスターカップ
場所:4コーナー手前
語り:俺
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ここは4コーナーの入り口、さっき前に行った2頭の内からレスターが猛然と追い上げてる。
ここで下り坂は終わってそろそろ長い登りに入る。
こんな所でスパートできるのはスタミナに余程自信があるのか?
レスターの騎手には上手い印象がある。
本命を背負ってないせいもあるんだろうが、いつもそつのない位置取りで誰が見ても納得のいくレースをしてる印象だ。
だから絶対に何かの考えがあっての事だろう。
俺はアニーの様子をうかがった。
そのアニーはというと直後のラージワンの様子を気にしていた。
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ランカスターカップ
場所:4コーナー手前
語り:アニー(エリスズナイト鞍上)
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流石キースのオッサンだぜ。
ハイペースでも完全な追い込みが効くとは限らないからな。
ラージワンなんて名前だが、それは母の父の名前からとっただけで実際は大きい馬じゃない。
どちらかと言えば小さい方に入るけど火が付いた時の推進力や切れ味は半端じゃない。
その分折り合いが難しくて乗りこなすのが大変だから、殆ど馬群の最後方で一気に追い込む競馬ばかりしてたはずだが、オッサンは上手に落ち着かせてる。
ハンスのバカのグラジエーターが一番の相手かと思ってたが、本当の敵はこいつかもな。
どうやら成金連合のやつらがそういうレースにしたいみたいだしな。
それしても内枠のフランジャーを外に回してまでグラジエーターを潰しに行くとはやる事が露骨だねえ。
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ランカスターカップ
場所:4コーナー手前
語り:キース(ラージワン鞍上)
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あー参ったぜ。
何とか宥めすかしたから良かったけどよ。
もうちょっとで全てがパアになるとこだった。
アニーのやつがまさか向こう正面であんな細工しやがるとはな。
この馬は中団で運べる馬だと日頃から思ってたし、今の所その通りのレースも出来てるが、一度火が点くとどこだろうとぶっ飛んでいく怖さがあるからな。
レスターは突っ込んでいったのか。
あの馬はパワーとスタミナはあるが今の段階じゃそれ程切れねえからな。
良い戦法だと思うぜ。
こっちはエリスズナイトの背後についてて直線坂上あたりから一気に差す。
アニーの位置取りの良さは前から感心してたし、ペースメーカーをさせるには丁度いい。
それに直後の位置からならエリスズナイトを差せるかもしれねえ。
ペドロと同じ位置じゃ多分届かねえからな。
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ランカスターカップ
場所:4コーナー手前
語り:ハンス(グラジエーター鞍上)
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ん?内から何か来てるな?
あれはレスターじゃないか。
クルーズのやつ前回あれをやってエリスズナイトに差されたのに懲りないやつだな?
でも馬場も荒れてるし悪くないのかも知れない。
だがグラジエーターはあの時潰された先行馬達とはモノが違うよ。
ミストラルのやつらに囲まれてるけど、それ程堪えてる様子はないしね。
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ランカスターカップ
場所:4コーナー
語り:俺
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今俺は4コーナーの緩やかな上り坂を駆け上がっている。
レスターは下った勢いを使って一気に先行馬群に突っ込んでいった。
あれはやはりトライアルと同じ戦法だ。
レスターが突っ込んでる内側の馬場は凄く荒れていて、グラジエーターの内側についてた馬はバテ気味だ。
そのバテたやつは何の抵抗もなくポジションを下げている。
やはり捨て駒だったか。
ハイペースな上に能力が上の馬について行ってるし荒れた所を否応なしに通っている。
まあそれでも一番荒れてる所は回避してる様だがな。
ハンスのやつは完全には綺麗ではないけれど、能力が削がれる程荒れてる所は通っていない。
グラジエーターは馬格があるし逆に邪魔者を内に封じ込めて追い落とす作戦をとっていた様だ。
やはりあいつも上手い騎手だ。
恐らくチーム戦の作戦通りなんだろう。
グラジエーターの内が空いたから真後ろについてたやつがポジションを上げて内に潜り込もうとしていた。
だがすかさずグラジエーターに内から並んだのはレスターだった。
内に入り込もうとしたやつが慌てて手綱を引っ張って馬の挙動を止めた。
だがそれはその一頭だけの問題じゃなかった。
向こう正面で俺の目の前にいたやつらがグラジエーターの真後ろにつこうとしてたから、追突が起こったようだった。
後続の騎手が落馬しかけていたし、ぶつけられた馬もパニックになっている。
今頃ハンスのやつは笑ってるだろう。
実際馬の勢いはレスターの方があったし、進路もレスターがコースなりに取っている。
多分こいつら油断してたんだろうな。
好き好んで内から来る奴なんていないって。
グラジエーターの外を回ってるフランジャーもどこまで持つかな?