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お座敷えるふさん  作者: ビタワン
新たな日常
8/15

エルフさんの日常

「おのれゴムゴムっ!ゆるさんっ!彼は怒り、叫びました」


私の隣で横になる坊ちゃんは、期待に目を輝かせました。


「装着っ!彼が叫ぶと、不思議な事が起こりました。天から七色の光が降り注ぐと、彼は輝く銀の鎧を身にまとって立っていたのです。彼は目の前の悪人に向かって通告しました。私は正義の使徒、魔装騎士。汝らの腕に覚えあらばかかってこい!」


最後のキメ台詞まで感情をこめて言い切った後、私はテンションをニュートラルに戻し坊ちゃまに通告しました。


「さて、坊ちゃま、今日はもう夜も遅うございます。続きは明日へと」

「えぇー!!」


ふふふ、坊ちゃまは不満そうです。秘儀、話の盛り上がりのいい所でお預け。数々のドキュメント番組で気になる引きを残しつつ、CMや他のコーナーを挟んで視聴者をやきもきさせる鬼畜な技です。いえ、決して昼間に坊ちゃまにスカートを捲られ……更には引きずりおろされた事の仕返しではないですよ?この忠犬エルフはまだ幼いご主人の体調を案じての事でございます。


「坊ちゃま、明日は算術のお勉強がございますでしょう?しっかり休んでおかないと、居眠りなどしては先生に叱られてしまいますよ?」

「うっ……はぁーい」


普段からこのくらい素直なら良いんですけどね。私はくすくす笑いながら、拗ねた様子で胸に顔をうずめてくる坊ちゃまにシーツを引っ張って掛け直します。子供を産んだことなんて前世を含めてないけど、思わず笑顔になります。


「明日、ぜったい続きしてよね」

「はいはい」


目を合わせず可愛い意地を張りながらも、お願いしてくる坊ちゃまの頭を軽く抱き込みます。そして、「ではお休みなさい」と魔石ランプの灯を消すのでした。

あぁ、そう坊ちゃま。今日のところは許しましたが、次に悪戯が過ぎるようなら大好きな「魔装騎士」の話ではなく、「四谷怪談異世界バージョン」となりますのでご注意くださいね?うふふふふ。

何かを感じ取ったのか、寝ている坊ちゃまの肩がびくっと震えました。





早いもので、私がこの城に引き取られて5年目となりました。

基本、この地域は長い春秋と短い夏冬といった、非常に過ごしやすい形の四季がありますから体調を崩すこともなく「過ごしやすいなぁ」程度の認識であっさりとこちらの気候も受け入れられました。健康面でも安定し、ご主人である旦那様と奥様との関係も良好です。城の使用人の方々とも交流し、しっかり餌付け、もとい休憩中にお菓子を持ってきてくれる程には可愛がってもらっております。しかし、その間にも色々と出来事は起こるもので、私の誘拐未遂事件があったり、旦那様のご友人の変人魔術師に実験動物にされかけたり、ハンモックや抱き枕といった惰眠をむさぼるための道具類を作ったら城内でそれが流行ったり。私の方は、おおむね順風満帆な飼い犬ライフを送っていました。


しかし旦那様奥様の方には、大きなイベントもありました。私がここに来て半年ぐらい経ったころでしたでしょうか、奥様の妊娠が発覚したのです。旦那様も奥様も、いえこの街の住人も皆、大喜びでお祭り騒ぎとなりました。城を出たことがないので見てはいけませんけど、城下でも旦那様から酒や料理が振る舞われその日は大いに盛り上がったと聞いています。お腹に子供が出来たとなれば、色々と準備が必要です。奥様の体調優先で、十月十日を無事に過ごすための環境づくりや、乳母さんやメイドさんたちのサポート体制を整えるので大忙しでした。私ですか?何もできないので奥様の横でゴロゴロさせて貰いました。座敷犬エルフですから。出入りの商人さんから子供用品を購入してしたのは気が早いと思いますけどね。


順調に奥様のお腹も大きくなり、安定期に差し掛かったあたりで問題が起きました。旦那様の夜の問題です。あれだけの性豪であるお方が、それまで待ったのが凄いと思いますよ。奥様だって、心配して妾を持つよう勧めたこともありましたが、旦那様がそれを断りました。妻は奥様だけだそうです、愛されてますね。そこで、奥様も妊娠中で本番のできない奥様から私にお声が掛かったのでした。旦那様も奥様も「ココならいい」という事らしいのですが、本当にいいのかと怖気づいてしました。しかし、旦那様と奥様の為に精一杯ご奉仕しようと、奥様に連れられて夫婦の寝室に乗り込んだのですが……


はじめて「腰が抜ける」、というのを体験しました。


初めこそ、奥様と二人掛かりで旦那様にご奉仕していたのですが、いつの間にやら私の方が旦那様と奥様の二人に責め立てられる始末。5・6回天国と地獄を見た後に、「体が持ちません!」とぼろぼろと泣いて許しを請いましたが、朝日を見るまで解放してはいただけませんでした。次に気が付くと、旦那様と奥様に挟まれてお風呂に浸かっておりました。涙や色んな液体でぐしょぐしょのドロッドロだった私を綺麗にしていただいたお気づかいは嬉しいのですが、その優しさや労わりは夜の時にこそ欲しかったのですよ。初めてでございましたのに。旦那様、自重してくださいませ。体中を蝕む筋肉痛と抜けたままの腰と初めての痛みと、その日は全く動けず、ずっとソファーの上の住人になっていたのを覚えています。しかし、二ヶ月ぶりくらいに色々と解放された旦那様はともかく、奥様はなぜあんなに元気だったのかわかりません。


そんな奥様と私の努力と旦那様の協力もあって、お子様は無事出産まで漕ぎ着けられました。初めてお子様、いえ、坊ちゃんを抱かせて貰った時、小さな手のひらやむずがる口元を見て私の中から、こう、熱い何かがどばどばーと分泌されるものがありました。これを母性本能というのでしょうか。まるで胸を撃ち抜かれたような衝撃でした。そして、薄っすらと開けた坊ちゃんの目と私の目があった時、この子の家族になりたいと思ったのです。姉というのもあれですので、せめてペットとして。その日から、私は坊ちゃんの成長を見守ってきました。今まで通りのお座敷エルフ業務に加え、メイドさんのお仕事を学びだしたのもその頃でしたっけ。それまでぐうたらしていたのが嘘のようだ、と呆れられるくらい頑張って覚えましたので、今では立派にお座敷メイドエルフとして奥様と坊ちゃん付きにして貰っております。


奥様付きのお仕事は、奥様の抱き枕やペットポジションは変わっておりませんが、たまに奥様の夜のサポートで呼ばれては、対旦那様に共同戦線を張っています。が、なぜか最後にはお二人に私が弄られていることが多いのです。坊ちゃん付きのお仕事は、遊び相手と夜の添い寝兼語り聞かせです。特に、前世で見たアニメや特撮ヒーローを異世界用にカスタマイズしたお話は大変好評で、事あるごとに強請られております。布袋をかぶってヒーローごっこする坊ちゃまはなんというか、ほほ笑ましいのですよ。そんな騒がしい日々を過ごしておりますが、うん、私の生活は、これ、充実してるのかな。





「ココ、すーきーあーりー!」


やられた!私が回想にふけっていた隙に、またスカートをずり下げられました。すっかりやんちゃ坊主へと成長した坊ちゃんは事あるごとに悪戯を仕掛け、城内の皆に混乱をばらまくのです。たまにその悪戯は私が教えたものだったり、一枚かんでたりするのはご愛嬌です。


しかし、あれ?なんか下着の感触がないのです。

おや?私の敏感な辺りに風が当たる感触が……。


「う、うやぁぁああああああ!!!」


お、思わず膝を閉じて下を隠して座り込みます。


「な、なななな、坊ちゃまー!!!」


このエロガキ、使用人の皆さんの前でなんて事をしやがるのですか!

見られた、全部見られちゃいました。あ、なんですかメイドさん方のほほ笑ましい様な視線。そして、男性諸氏の照れが入りつつも憐れむような視線が私に突き刺さります。えぇ、そうですよ。私は拾われた当時からぜんっぜん成長してませんよ。丘は茂みどころか赤土そのままですよ!あぁ、私のトップシークレットが白日の下に。坊ちゃんはまずいと悟ったのか、さっさと逃げてしまいました。ふふ、逃がしません。例え坊ちゃんでも許しませんよ。


待っていてくださいね。私の復讐は、夜には達成できるのですから。


「いちまーい……にまーい……」

「うわぁーん!」


四谷怪談に続き、番町皿屋敷も異世界補正がついても効果抜群でした。

ただ、一緒に寝ていたベッドを濡らされたのだけは想定外でした。布団がちべたい。



書いてたらノクターン行きになったのでソフトに書きなおしました。


座敷犬エルフから座敷犬メイドエルフに進化。

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