ヒモのお誘い2
いつからか食べても戻してしまうようになり、鏡を見る度に自分の顔が酷くなるのがわかった。そんな自分を見たくなく、俺は家にある全ての鏡を捨てた。
ひどい焦燥感におわれ、意味もなく涙が出る時もあった。
俺はこんなに弱い人間だったのかと思うと情けなくなった。
仕事もミスが余計目立つ様になった。
会社に行きたくなかったが、いかなければいけないと自分に言い聞かせ、毎朝重たい体を引きずって会社に行った。
しかし会社にいってもやる気が出なく、仕事は更に増えていった。
皆俺を怠け者と思っている。
仕事も集中できないダメなやつだと。
どんどん会社の人間が怖くなっていった。
最近たるんでるぞと上司から怒られ、お前なんて辞めちまえとも言われた。
そして俺は上司に何か言われるたびにすいませんと何回も謝る、そんな毎日になっていた。
以前よりも増えた上司からの罵倒。
両親からの仕事頑張っているかという電話、メール。
人に迷惑をかけてしまう何もできない役立たずの自分。
嫌になった。
そして今朝、俺は部長に辞表を出した。
逃げたんだ。
俺は逃げてしまった駄目な人間なんだ。
生きてく資格なんてないんだー…
高い高いビルの屋上。
そこで俺は人生を強制終了しようとしていた。
そしたら、いつのまにか知らない男がそこにいて。
彼はこう言ったんだ。
「ねぇ、俺のヒモにならない?」




