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ヒモ入門  作者: 黒井燕
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ヒモのお誘い1

死のうと思っていた。





いつもダメだ。何をやっても空回りで。人に迷惑をかけて。

仕事が遅いとか、能力がないとか、散々上司に言われた。その通りだと思う。

しかし、仕事は増える一方で。要領が悪い俺は一杯一杯だった。

仕事が片付かないから残業は当たり前で。

夜遅く帰ってきて早く寝なければいけないのになかなか眠れなくて。

毎朝眠気覚ましのドリンクを飲んで会社で寝ないよう気をつける。

休日は何もやる気が出なくて、好きだった料理もしなくなった。


両親には仕事は順調だと、嘘を吐く。

休日暇なくせに、何もやらないくせに、実家には帰らなかった。

帰っても仕事のことを聞かれると思ったから。

両親は「仕事忙しいのか、頑張ってね」と。

妹の職業を良く思っていない両親は俺に今の仕事をやめて欲しくなかった。


同期の多くは役職につきはじめるやつもいたが、俺は平社員のまま。配属された部署が悪かったとか皆俺を励ましてくれたがそうは思わなかった。

俺がダメだから、もっとしっかりしてれば、要領がよければ…部署が悪いんじゃないんだ。



俺がダメすぎるんだー…



『使えねーやつ』

『コレだから馬鹿は』

『だから結婚できないんだよ』

『給料ドロボー』

『ホントなんも価値がない人間だよな』

『もっと頑張れよ』






頑張っていないから俺は駄目なのか?

ーそうだよ

この会社には俺はいらない?

ーかわりなんて山ほどいるさ

…俺は生きてる価値はあるのか?

ーない、だろ?


俺は、俺は、おれは、おれは…





生きてちゃいけないんだ。




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