表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
規格外の実力を持つ俺、学園で唯一の最低ランク〜誰にも理解されないまま無双してしまう〜  作者: vastum


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/90

■第68話「本体」

 空気が、止まる。


 完全に。


 音も、風も、光も。


 すべてが、固定される。


 グレンが息を吸ったまま止まる。


 レイヴンの視線が止まる。


 ナナの思考が、途切れる。


 セラの笑いが、途中で止まる。


 世界が。


 完全に“静止”する。


 その中で。


 カイルだけが、動く。


 ゆっくりと。


 前に。


(……来たな)


 理解する。


 これは、今までとは違う。


 干渉体ではない。


 観測でもない。


 もっと根本。


 もっと“上”。


 空が、開く。


 裂けるのではない。


 “剥がれる”。


 薄皮のように。


 世界そのものが、めくれる。


 その向こう。


 そこにあるものを。


 カイルは、見る。


 形はない。


 だが。


 確実に“いる”。


 巨大。


 という表現すら当てはまらない。


 距離が成立しない。


 大きさが定義できない。


 ただ。


 “全体にいる”。


「……異端ノイズ


 声が、落ちる。


 今までとは違う。


 直接ではない。


 “空間そのものが喋っている”。


 カイルは止まらない。


 そのまま、一歩。


 踏み出す。


 その瞬間。


 空間が、揺れる。


 わずかに。


 だが確実に。


「……確認」


 その存在が言う。


「個体」


異端ノイズ


 一拍。


「原因特定」


 その言葉で。


 空間が、分解される。


 今度は、違う。


 世界ではない。


 “カイルだけ”。


 完全に。


 分解される。


 記憶。


 思考。


 存在。


 すべてが、剥がされる。


 だが。


 何も出てこない。


 構造がない。


 核がない。


 ただ。


 “ある”。


「……不成立」


 その言葉が、わずかに揺れる。


 初めての違和感。


 カイルは、見ている。


 自分が分解されているのを。


(……やっぱりな)


 理解している。


 こいつは。


 “理解できるものしか扱えない”。


 だから。


 分からないものは。


 処理できない。


 カイルが、一歩踏み出す。


 分解が、崩れる。


 完全に。


 元に戻る。


「……異常」


 その存在が言う。


「構造なし」


「定義なし」


 一拍。


「拒否」


 その言葉で、空間が震える。


 グレンたちが、わずかに動く。


 時間が、少し戻る。


 グレンが声を上げる。


「……動ける!」


 レイヴンが前を見る。


「……来てるな」


 ナナが言う。


「……本体」


 セラが小さく笑う。


「いいね」


 だが、その声は震えている。


 カイルの前。


 空間が、歪む。


 その存在が。


 “近づいている”。


 距離はない。


 だが。


 確実に“近い”。


「……排除」


 その言葉が落ちた瞬間。


 カイルの周囲が、消える。


 完全に。


 空間ごと。


 切り取られる。


 グレンが叫ぶ。


「カイル!」


 だが。


 カイルは、消えない。


 そのまま、立っている。


 何もない場所に。


 そして。


 一歩、踏み出す。


 空間が、戻る。


 存在が、成立する。


「……不可能」


 その声に、明確な揺らぎ。


 カイルは止まらない。


 さらに一歩。


 踏み出す。


 その瞬間。


 “本体”が、初めて動く。


 空間全体が、押し潰される。


 重い。


 圧が、違う。


 グレンが膝をつく。


「……っ!」


 レイヴンが歯を食いしばる。


 ナナが動けない。


 セラが笑う。


 だが、崩れる。


 カイルだけが、立っている。


 そのまま。


 その圧の中で。


(……なるほど)


 理解する。


 これは。


 “存在そのものの重さ”。


 世界でも。


 観測でもない。


 “上位存在としての圧”。


 カイルが、一歩踏み出す。


 その瞬間。


 圧が、揺れる。


 わずかに。


 だが確実に。


「……抵抗」


 その存在が言う。


 カイルは、止まらない。


 さらに一歩。


 踏み出す。


 圧が、崩れる。


 空間が、歪む。


 グレンが顔を上げる。


「……押してる……」


 レイヴンが笑う。


「やるな」


 ナナが言う。


「……対等」


 セラが楽しそうに笑う。


「いいね」


 その瞬間。


 別の違和感。


 空間が、削れる。


 空白が現れる。


 カイルの横に。


「……うわ」


 小さく言う。


「本体来ちゃった」


 グレンが叫ぶ。


「お前余裕かよ!」


 空白は軽く笑う。


「いや」


 一拍。


「これは、ちょっとやばい」


 その言葉に、空気が凍る。


 空白ですら。


 警戒している。


 その存在が言う。


「……別枠確認」


「未定義」


 空白を見る。


 そして。


「……排除対象外」


 その一言で。


 空白が、わずかに目を細める。


「……ああ、そういう扱いなんだ」


 つまり。


 空白は。


 “対象ですらない”。


 カイルだけが。


 対象。


 その意味が、重い。


 カイルは、前を見る。


 その存在を。


 そして。


 一歩、踏み出す。


 完全に。


 その瞬間。


 “本体”が、初めて後退する。


 わずかに。


 だが。


 確実に。


「……危険」


 その言葉に、恐怖が混じる。


 グレンが呟く。


「……引いたぞ……」


 レイヴンが笑う。


「やっぱりな」


 ナナが言う。


「……成立してる」


 セラが楽しそうに笑う。


「いいね」


 カイルは、止まらない。


 さらに前へ。


 進む。


 その瞬間。


 空間が、完全に揺れる。


 世界が。


 外側が。


 そして。


 本体が。


 同時に、歪む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ