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プロローグ:英雄は散り、再びの転生

俺はとある世界の命運を賭けた戦争で戦っていた。


初めの頃は名無しに等しかったが、決して屈することなく人を助け、自らを鍛え続けた。


そして、俺は英雄となり、仲間のために剣を振るうこととなった。


俺は英雄として、そして敵の命を刈る者として幾多もの敵を斬り伏せ、今、最後の敵と刃を交えていた。


その敵は神とも言えるほどの圧倒的な力で俺たちの軍を薙ぎ払っていた。


その力は強大で、俺も追い込まれるほどだった。


意識が途切れそうだ…体全体の感覚がなくなってきた…それに…体のあちこちが斬られていて自らの血で濡れている。


だけど、倒すまでは絶対に諦めるつもりは絶対にない。


俺は皆の想いを胸に…皆のため…そして、散って逝った仲間のため、皆と共に戦っている。


何度も体を斬られ、血もかなり失ったのだろう…俺はもう僅かな時間しか立つことができないだろう。


だから、この一撃に全てを込めることにした。


その決意に呼応するかのように剣が光り、自らの全てが力となって白い刃を形成した。


俺はその白い刃を上に構えて躊躇うことなく剣を振り抜き、全てを込めた最後の一撃を放った。


俺が放った捨て身の白撃は僅かな時間で周囲を真っ白に染める。


敵は俺のその一撃を防ごうとして、武器を頭の上に構える。

互いの刃が競り合おうとするが、その一撃は敵の防御も虚しくその刃を断ち斬り、そのまま胴体を切り裂いた。


切り裂かれた敵の体からは白い魔力のような者が噴き出してきた。


だが、最後の一撃による衝撃でそれすらも白き光に飲まれる。


気づいた時には、敵はもう既に塵も残っていなかった。

俺は、ついに最後の敵を討ち取った。


俺はそれを確信して勝ち鬨を上げようとした。


だが、それと同時に意識が黒く塗りつぶされる感覚が襲ってきた。


俺がもう助からないことは、もう分かっていた。


全身に力が入らなくなった。


すぐに視界が揺らぎ、体の感覚もわからなくなってきた。


俺は必死に立とうとするが、その根性も虚しく、俺の体は突然力が抜けたかのようにゆっくりと力無く倒れ伏した。


俺の何かがプツンと切れたような気がした時には、もうとっくに何も感じなくなっていた。









____________________________________








ここは…どこなんだろう…


僕は体を動かそうとするが、全く動かない。


辺りを見渡すと、現実では全くあり得ないような幻想的な星空と花畑のような大地があった。


そうか…僕は…死んだのか…


僕はいつしか消えるのだろうか…僕がそう思った時、頭の中に声が響くような感覚があった。


今の僕に頭があるのかはわからないがそんな感じだ。


だが、その声は神秘的というには程遠く、恐怖すらも感じるほどに厳かなものだった。


そして、周りの景色が突然真っ暗になった。


先ほどまで見えた花畑の花は、光を放ち、辺りを照らしている。


空は、光のない夜よりもはるかに深い闇になっていた。


そしてその恐ろしい何かが見えてきた。


それは圧倒的な威厳を持ち、神秘的な雰囲気を漂わせる男だった。


そして、彼はとある言葉を放つ。


「…我が下に魂が来たか。」


彼はそう言い品定めでもするかのように僕をみた。


「何者にも侵されぬ程に白く、そして一切の濁りが見えぬほどに透き通る純粋な魂だ…」


僕はそうは思えない。


僕は、これまでに幾多もの人を傷つけ、殺めてきたのだ。


過去の責任の重圧がのしかかり、先ほどの発言に喜ぶことはできなかった。


そう思っていると、彼は再び言葉を発した。


「其方の名を答えよ」


(僕の名前はアレクだ)


「そうか…アレクか…」


(それで、僕になんの用が?)


「実は、複数の世界に歪みが起こっているのだ。そして、その歪みが起きた影響で天変地異や時空の変異が起こっているのだ。」


(突拍子のない話だな…それで、僕は何をすればいいんだ?)


「其方には歪みが起こっている世界へと転生し、歪みを打ち払ってもらいたいのだ。」


(僕にそんなことができるのだろうか…)


「其方は前世にて数多くの者を率り、その歪んでしまった世界を元通りの姿へと戻してくれたのだ。」


確かに、前世でも何かがおかしかった。

空に突然モザイクのような何かがかかったり、その世界には無いはずの異形が現れたりしていた。


(前世でも何かがおかしかった気がしたけれど…そういうことか…)


「そうだ。それが歪みというものだ。だが、世界の歪みを正すだけでは、他の世界も影響を受けてしまうだろう。」


(つまり…世界の歪みの根源を断つのが僕、いや、僕たちの役目だということか…?)


「その通りだ。だが、その根源については未だに何もわかっておらん。唯一判っているのはその歪みが人為的に引き起こされているということだけだ。」


(もし、それが僕が知る以上の上位存在だったとしたら、それに対抗する手段はあるのか?)


「ある。だが、その力は我のような神には扱うことができん。その上、強き魂を持っている者でなければ、その力を手にすることはできん。」


(つまりは僕はそれを満たしていたからここにきたということかな?)


「ああ。だが、その力を手に入れるには我が其方に試練を与え、其方がそれを乗り越えなければならん。」


(その試練というのは?)


「試練を受ける覚悟があるとするのならば、其方の能力を大いに縛らねばならん。その上、その力を手に入れようとする者の運命は歪んでしまうのだ。だが、何故か違和感を感じているのだ。」


(違和感?それは一体…)


「本来ならばその運命の歪みは起こるはずのないものないものだ。だが、歪みが起きてから試練を与えた者たちは、いずれも残酷な運命に蝕まれれてしまった…」


(だったら、今は試練を受けている人はいるのか?)


「其方以外にもその試練に立ち向かう者が何人かいる。其方にもその覚悟はあるのか?」


自らの力や立場を縛って生きろということか。だけど、歪みが起きている今は、不確定要素が非常に多く、過酷になるだろう。でも、歪みを見過ごすわけにはいかない…だから…


(覚悟はできているさ。)


「そうか…覚悟ができているのなら良い。では、これから其方に新たなる生を与える。覚悟を決めし者よ、最後に聞きたいことがあるのなら、我はそれに応えよう。」


彼がそう言った時、僕の周りが白く光り出した。


(あなたは…いったい何なんだ?)


僕がそう問うと


「…我は、其方が次に行く星で魔神と呼ばれている存在だ。今はそれだけしか言うことはできん。だが、時が来れば、いずれ話す時が来るだろう…。その時まで其方は自らの道を征き、生き続けよ。」


彼がそう言った時、僕の視界が真っ白に染まっていき、少しずつ暗くなっていった。

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