決して楽ではない独立という道
「なんとも……」
「いやはや……」
日本とヒノモトの代表者は、そろって腕を組み、しかめっ面をしていった。
彼らの前にはユーラシア大陸の地図と、そこに書き込まれた戦況がおかれている。
「これは、なんとも……」
「どうしたものか……」
戦況はヒノモト側の優勢。
ウラル山脈の東側はほぼ制圧。
各地の独立を臨む勢力がここぞとばかりに独立を宣言していっている。
それ自体は喜ばしい。
しかしだ。
「誰が支援をするんだ?」
「考えたくもないですね」
現実にこれからを考えると頭が痛くなる。
ロシアによる侵攻で始まった戦闘は、なんだかなんだで半年ほど続き。
その間にヒノモト側の軍勢は西へ西へと進んでいった。
その進軍速度は常軌を逸しており、ヒノモト側も驚くほどだった。
そして、ロシア軍が追い出され、残った地域は独立を求める者があふれる。
予想通りである。
だが、誰がこれらを支援していくのか?
ヒノモトも日本も出来ればこれらを救ってやりたい。
彼らに自治独立をしてもらいたい。
そして責任を背負っていってもらいたいとは思う。
だがそれが出来るまでどれだけの年月がかかるのか。
誰が自立と独立が可能になるまで世話をするのか。
それが出来るのは、当然ながらヒノモトとこの周辺国しかない。
その為の出費と手間を考えると頭が痛くなる。
もちろん、ヒノモトも日本も手助けは最低限。
基本的には自分でやれという考えだ。
おんぶに抱っこなど許すつもりはない。
各国各地域の独立運動の代表者にも伝えている。
勉強のためにフィリピンや台湾、満州などを見学してもらい、独立の難しさを伝えてる。
それでもだ。
誰かの支配などうんざり。
収奪される世界などこりごり。
そんな者達が独立を求めている。
それはそうだろうと思うのだが。
「まあ、ここは厳しく対応するしかないですね」
「全く」
希望は受け入れる。
だが、甘やかしはしない。
そんな気持ちを確認して、日本とヒノモトの関係者はため息を吐く。
こんな会話が日本とヒノモト、そしてこれらの関係各国・各地域で行われる。
ヒノモト・満州の両国が進軍した地域。
これらの独立は祝ってやりたい。
しかしそれは、独立に必要な努力をした場合だけ。
実際に独立にあたって大変な苦労をした各国は、これが生やさしい道でない事を理解してる。
だから、たんに独立したいというだけの考えには厳しい目を向けている。
だが、ロシアが撤退した空白地帯を放置も出来ない。
統治とはいわなくても、ある程度の世話も必要だ。
この地域の産物や資源を得るためには。
このため、日本とヒノモト、そして関係各国は動いていく事になる。
最低限のインフラをととのえ、各地の自治が出来るように必要な事を伝えていく。
そのために人も物も必要だが、どちらも圧倒的に足りない。
熱意だけではどうにもならない現実がある。
だが、この現実と向かい合う者達も確かにいる。
これらが空白地帯となった場所の代表者として各地域をまとめ上げていく。
実際に自治が出来るようになるま10年20年という歳月必要になる。
独立となると数十年はかかるだろうか。
それでも、ウラル山脈に東側は確かに解放された。
これがよりよい結果になるよう、あとは誰もが励むしかない。
だが、この地域の、ロシアの敗退が列強各国の警戒心を危機感に変えた。
圧倒的だったヒノモトの兵器と軍隊。
これが自分たちに向かってきたらどうなる?
そう考えた列強各国は、なりふり構わぬ行動に出ていく事となる。
中華民国と朝鮮による満州国への侵攻。
シナ事変と呼ばれる国境紛争。
あるいは国境戦争の始まりとなった。




