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新兵器と提供した機器のもたらす成果

 とはいえヒノモトが離反を促してるというわけではない。

「いきなりは無理だから、まずは自治州から初めてはどうか」

 このような穏当なところから促している。

「たとえ独立しても、経済的に立ちゆかない。

 それに、経済的にうまくいっても、政治的に独立を保つのも難しい。

 自分たちで統治する経験がまずは必要だ」

 このため、自治州として宗主国の一部として活動する事をすすめてる。



「各宗主国も、こうした地域の気持ちをくんで、一度いくらかの自治を認めてはどうか」

 こういった余計なお世話もついてくる。

 言ってる事はごもっともだが、それが出来ないのが宗主国である。

 自治から分離独立まで爆発暴走されてはたまらないというのが本音だ。



 ただ、こうした宗主国の主張が正しいかというとそうでもない。

 植民地統治や維持のための出費も馬鹿にならない。

 下手すると赤字になりかねない場合もある。

 たとえ資源や産物を得る事が出来ても、出費が上回れば意味が無い。



 なので、自治州化というのはそう悪くない方法ではあった。

 これらが離反しなければ。



 しかし、ここでこれまでの積み重ねが出てくる。

 統治が穏当で平穏だったならば、離反する地域も属国も出てこなかっただろう。

 だが、苛烈な植民地統治である。

 宗主国から離れたいと考える者が大半だ。

 例外は、宗主国にこびへつらって、自国民から収奪してきた支配者や有力者である。

 有力者には、商人やヤクザなども政治権力とは別の利権を持つ者も含まれる。



 こういった者達が分離独立を嫌い、植民地のままでいようとする。

 おかげで植民地では、同じ民族、同じ国民で争い合う事にもなっている。



 こんな状況で自治州化しても、離反を求める声が消えるわけもない。

 穏当に解決するならヒノモトの言うとおりにした方がよいにしてもだ。

 その穏当は、結局は植民地喪失になる。



 おかげで植民地をもつ列強の宗主国は各地の自治を認める事も出来ず。

 さりとて植民地経営の維持費にも悩まされ。

 にっちもさっちもいかなくなっていた。



 こんな状況にたえかね、いっそヒノモトを叩き潰してしまえという気持ちも膨らんでいく。

 これを最初に仕掛けてきたのはロシアだった。

 ウラル山脈の東側の各地でおこる独立運動。

 これらの震源地がヒノモトである。

 ましてロシア領土(というのも厳密に考えると問題が出てくるだろうが)の東端はヒノモトに奪われている。

 あろう事か、この地域のほとんどは独立、ないしは独立に向けた準備中。

 これにいまだロシア領である各地域が追随するのは当然。

 各地の独立運動は確かに活気づき、ヒノモトと協調しようとしている。



 ましてロシアは相当な痛手をこうむっている。

 日露戦争による賠償金と領土喪失。

 これによってロシア帝国の国力と財政は大きな痛手を受けた。

 この頃から反乱勢力は活気づいている。

 特に共産主義者などが。



 第一次世界大戦の負担が、ロシア帝国にさらに大きな負担を残した。

 皮肉な事に、ヒノモトの参戦のおかげでロシアは延命する事が出来た。

 史実では、この第一次世界大戦の負担のせいで、ロシア国内での反乱や反発は増加。

 ロシア革命に至る事になる。



 こうした事がこの世界のロシアには起こってない。

 しかし、日露戦争の痛手は大きく、第一次世界大戦の負担も解消出来てない。

 国内の共産主義者はシベリアに追放してるが、追い出した先でさらに活発に布教活動にはげんでる。

 このままではロシアは潰えてしまう。



 そんなところで朗報が入った。

 共産主義者がヒノモトの勢力圏の北東ユーラシアに入った。

 この反乱分子討伐を理由に、ロシアは軍勢を進める事とした。

 もちろん、そのままヒノモトの勢力圏に向けて侵攻するつもりで。



 この目的のため、ロシア軍の動きは実にゆっくりと慎重なものとなった。

 共産主義者を東に追い出すために。

 そしてこれらがヒノモトの勢力圏に入ったところで、一気に国境を超える。



 大雑把で杜撰な作戦である。

 だが、よくあるマッチポンプの手法だ。

 これをロシアは使ってヒノモト勢力圏に攻め込んだ。



「よーやるよ」

 そんなロシアの動きを上空からの偵察で見ていたヒノモト空軍偵察隊は呆れて見ていた。

 96式艦上戦闘機から枝分かれして開発された軽戦闘機に乗って。



 史実と違って早期に空軍が発足していたヒノモト。

 陸軍航空隊を母体としたこの戦闘機集団は、海軍機とのある程度は共通していた。

 偵察に出ていた96式戦闘機を元にした航空機もそれだ。

 1式戦闘機、隼。

 1000馬力級のエンジンを持つ、比較的軽量の戦闘機だ。



 これの2人乗り用の訓練機を改造して作った偵察機が、平原を走るロシア戦車隊を撮影していた。。

 後部座席に座る撮影手による日本製一眼レフによって。

 操縦手が機体を傾けてカメラで撮影しやすくして。

 カラー写真用のフィルムに被写体が撮影されていく。



 写真を撮り終えると、偵察機は基地へと戻る。

 後部座席では撮影手が基地へと通信を送っていく。

「敵戦車発見。

 位置は────」

 手にした情報を伝え、偵察機は急いで撤退していく。



 発見された敵に対して、満州国とヒノモトは即座に対応していく。

 満州国は周辺各国・各地域の政府・自治体に非常事態を告げ、防戦体制を促す。

 同時に軍勢を繰り出して、迫る軍勢に対処していく。



 駐留していたヒノモト軍も同時に動く。

 主力は満州軍になるが、ヒノモトとてそれなりの兵力を駐留させている。

 最悪の事態にそなえて。

 そんな事が起こらないよう願っていたのだが。



 両軍の最初の衝突は空において行われた。

 さらに言うならばそれ以前の段階で。



「敵軍、レーダーにとらえた」

 ユーラシアの空の上。

 二つのエンジンでプロペラをまわした二つの翼を持つ比較的小型の飛行機。

 背中にレーダーを背負った、この世界ではありえない機体。

 99式早期警戒管制機は、レーダーで敵戦闘機の群れをとらえていた。



 空母運用をするために複葉機となった全長14メートルの飛行機。

 これは空を飛びながら敵の姿を発見し、通信機の届く範囲にいる味方に指示を出していく。

 通信を受けた戦闘航空隊は、真っ正面から。

 そして左右に分かれて敵空軍を囲んでいく。



 この警戒管制機による誘導で、ロシア空軍は初戦の優位を失った。

 前から、横から、上から、次々と満州空軍とヒノモト空軍が襲ってくる。

 数においては勝るロシア空軍だが、姿を先に見つけられて不利を強いられる。

 最初に敵を攻撃されてかなりの損害を出してしまう。



 おまけに、機体の性能差が大きすぎる。

 既に時速600キロに達してる戦闘機に対して、ロシアの戦闘機はようやく500キロが出せるかどうか。

 この世界において、100キロの速度差はあまりにも大きい。



 かき集めた200機のロシア戦闘機隊は、併せて50機の満州・ヒノモト空軍に撃墜された。

 ロシア側は、どうにか130機が撤退。

 満州・ヒノモトの損害は0。

 圧倒的な勝利となった。



 地上戦でも同様。

 ロシアの戦車はこの時期、まだ発展途上。

 馬力は足らず、装甲は薄く、砲の威力は低い。

 相手が人間や装甲を持たない車両ならともかく、装甲を持つ戦闘車両と戦うのは不利。



 対する満州が、そしてヒノモトが配備する戦車は対戦車戦闘を目的としたもの。

 速度、装甲、砲撃においてロシアを上回る。

 また、通信を使った連携も行える。

 大小様々な800に及ぶロシア戦車隊は、総数200の満州・ヒノモト戦車隊に撃破されていく。



 同時に進行した歩兵や野砲も壊滅していく。

 歩兵は戦車に蹂躙されるのはもとより。

 さらにトラックに牽引された大型迫撃砲や、自走化された迫撃砲によって砲撃される。

 場所によっては、牽引野砲の火力で粉砕される。


 この世界の95式軽戦車を使った自走迫撃砲。

 砲塔をとっぱらい、迫撃砲を据えただけのものではあるが。

 それでも、戦車とともに移動して、長距離砲撃を加えられるのは大きな強みだ。



 また、日本が提供した4トントラックや、技術支援を受けてヒノモトが製造したトラック。

 これらが大型野砲や大型迫撃砲を牽引し、砲兵陣地を迅速に展開する。

 その早さに、装甲化されてない部隊は次々に粉砕されていく。



 歩兵同士の戦闘においても、満州・ヒノモト軍はロシアを圧倒する。

 これらが4トントラックなどで高速展開するのは当然として。

 さらに軽トラックによる少人数の分散展開が歩兵を追い詰めていく。



 小型だからどんな地形でも走る事が出来て、数人の歩兵なら簡単に乗せる事が出来る。

 しかも荷台には予備の弾薬や食料、迫撃砲などの大型の武器も乗せる事が出来る。

 こんなものに追いかけ回されては、足での移動しか出来ない歩兵が勝てるわけがない。



 しかも歩兵が装備してる武器もちょっとした改善がなされている。

 基本的には38式歩兵銃なのだが。

 この銃床を現代のフレーム、銃床型の台座に置き換えてる。

 アルミなどの軽量金属で作られたフレームは軽く、射撃の反動を吸収出来るようになってる。

 このため、射撃精度が高くなる。



 また、ドットサイトや低倍率狙撃鏡なども装着可能。

 これにより、比較的近距離の狙いがつけやすくなる。

 命中率は通常の歩兵銃を使う兵士とは比べものにならない。



 そして、弾倉は着脱可能な10連装の箱形弾倉になってる。

 1発ずつ手込めをせねばならないこれまでと違い、弾倉を交換するだけで次の弾丸を込められる。

 これだけで連射能力が格段に上がる。



 加えて個人用装備として。

 暗視装置によって夜でも戦えるようになり。

 防弾チョッキのおかげで負傷を軽減出来る。

 傷も日本が提供した応急治療セットで、ある程度の治療は出来る。

 当然ながら通信機も装備。

 日本では市販品のトランシーバーだが、この世界の歩兵装備としては破格の性能を持つ。



 戦闘に関わる部分だけでもこれだけの違いがある。

 同じ数で戦えば、敵の損害が一方的に増える事になる。



 こうした戦闘力の違いにより、攻め込んだロシア軍は全滅というほどの損害を受ける事になった。

 それも軍事的な意味での全滅ではない。



 通常、軍隊は10~20パーセントも兵士が死ねば戦闘能力を失うとされる。

 これが大抵の場合の全滅となるのだが。

 満州とヒノモト軍が発生させた全滅はそうではない。

 敵の軍勢の70パーセント以上が死滅している。

 よくても50パーセントの損害を受けている。

 文字通りこれだけの数の軍勢が消滅したのだ。



 それでもなんとか逃げ出した兵士はいる。

 しかし、ロシア軍はこの損失を回復するのに多大な年月と資本を投入せねばならなくなった。



 史実であればノモンハンの戦いと同じであろう戦闘。

 しかしその結果は、満州・ヒノモトの圧勝。

 侵攻したロシア軍部隊の消滅という結果に終わった。



 なお、この戦闘は実際の戦いだけで決したのではない。

 むしろそれ以外の部分における差が勝敗を決める要素となった。

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