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もう一つの歴史

 ヒノモトは日本でありながら日本とは違った歴史を作ってきた国である。

 その最初のきっかけは幕府時代にさかのぼる。



 黒船来航をさかのぼる事100年前。

 この時、出島を通して海外情勢を知った幕府は対策を講じていく。

 海外への調査官の派遣から、商人の展開など。

 社会の上と下の両方から世界を探っていった。

 そして植民地支配の現実を知る。



 これと同時に海外の科学や技術を取り入れていく。

 内外の格差が大きくならないうちにと。



 また、国内の統合を進めてもいった。

 幕藩体制という、藩という独立国家を幕府がまとめる形。

 これを幕府が全てを支配する中央集権体制へと変えていく。

 当然各地の大名は反発……するかと思いきや。

 借金やら何やらでしくはっくしていた大名家の大藩は喜んで権力放棄。

 一部の強行派は輸入した新型銃と大砲で黙らせて完全に統合。



 この時、天皇をいただいて権威付けもして国内統一を果たした。

 天皇が再びヒノモトを統治するという形をとって。

 ただし、公家などは排除した。

 統治の邪魔として。



 そして幕府あらためヒノモト新政府は思い知る。

 輸入した銃器や大砲の威力を。

 それとてもヨーロッパでは旧式であるという事実を。

 ならば標準装備はどれだけなのか?

 ヒノモト新政府、ならびに事情を知る者達は震え上がった。



「急いで国力を高めないと」

 はからずも国内意思の統一がおこなわれる。

 史実よりもはるかに早く富国強兵に臨んでいく事となった。



 追いつけ追い越せと励んだ結果、ヒノモトは躍進し。

 黒船がやってくる頃には、既に海外展開を考えるまでになった。

 その目と手は南へ、台湾、さらにフィリピンへと向かった。

 この島における独立運動を手助けする形で。



 おかげでフィリピンは独立。

 当初は外交と軍事をヒノモトがあずかる保護国として。

 まずは政治体制と国内産業の発展に尽力する事になる。



 間にある台湾は中継地として通り道となる。

 太平洋側にヒノモト出資で港を作っていく。

 ここを支配する清が、化外の地としてほぼ統治を放棄していたからだ。

 ヒノモトが頑張らねば補給や休憩もままならない有様だった。

 おかげでヒノモトは清に過度な期待をするのをやめた。

 頼むに足らずと。



「これでは西洋列強に対抗できまい」

 もっとも身近な大国への幾ばくかの希望は、統治領の台湾の姿を見て消え失せた。



 ここからはほぼ歴史通りとなる。

 フィリピンの発展を促しつつ、北に迫るロシア帝国との衝突。

 そして清の煮え切らない態度。

 朝鮮の扱いも含めて意見が衝突したヒノモトと清は開戦。

 日清戦争となる。



 この戦争に日本以上の勝利を手にしたヒノモトは史実以上の賠償金を手に入れる。

 また、朝鮮の主権を手に入れる。

 台湾も。

 この2国は史実と違い、保護国として外交・軍事をヒノモトがあずかる事となった。



 手にした賠償金は、参戦してくれたフィリピンにももたらされ、発展に寄与する。

 独立を助け、発展に協力してくれるフィリピンは、今が恩を返すときとためらわず参戦。

 日清戦争の勝利に大きく貢献した。

 賠償金を分け合うのは当然だった。



 これで朝鮮北部に布陣したヒノモトは、ロシアとの対決に至る。

 日英同盟の後押しと、

 今回もフィリピン軍は参戦。

 これを見て見て保護国台湾も軍勢を派遣。

 史実よりはるかに優勢な状況でヒノモトは大国ロシアとの戦いに突入し、勝利した。



 ここで多大な出血をロシアに強いたヒノモトは、講和条約で史実以上に大きな要求を押し通す。

 満州だけで無く、日本海とオホーツク海、ベーリング海峡の沿岸州、およびこの地域の内陸部を獲得。

 さらに多額の賠償金を手に入れる。

 史実以上に余裕をもって勝利をしたヒノモトは、かなり無茶と思える要求の全てをかなえた。




 そして手に入れた領地にいる民族や国家を保護国としていく。

 これまで通りに。



 植民地なり併合なりすると面倒が起こる。

 全てをヒノモトが支えねばならず、出費がとんでもない事になる。

 統治のための人材も足りない。

 それならば、現地の人間に自治をさせた方がよいだろうというのがヒノモトの考えだった。

 ヒノモトとしては、手に入れた地域から得られる産物がヒノモトの市場に流れ込んでくればよい。

 それ以上の欲はもってなかった。



 それに、欧米列強の植民地や支配地の現地民の怨嗟の声を聞いている。

 これを伝え聞いてるヒノモトは、他国支配の難しさと面倒さを嫌った。



 ヒノモトのこうした姿勢は、辛亥革命にてより確固たるものとして世界にしめされる。

 清が倒れ、中華民国建国。

 これにより行き場を失った清皇帝を迎え、満州皇帝として復活させる。

「もともと満州は清の父祖の地。

 ここに清皇帝が戻るのは当然のこと」

 ヒノモトの宣言が世界を震わせた。



 また、政治的にも経済的にも自立可能と判断されたフィリピンは、保護国から独立。

 主権国家となった。

 これとヒノモトは即座に国交を結び、軍事同盟も締結。

 そして日露戦争の勝利とともに、戦略的に不要となった朝鮮の権利を放棄。

 朝鮮は名実ともに独立国となった。



 これが領土野心のない国としてヒノモトを示す事になる。

 自然な流れとして、世界各地の独立運動家の注目を集めた。

 ヒノモトならば独立といいつつ傀儡国家にする事はないだろうと。



 この時点で植民地から奪ってる富で国を成り立たせてる欧米列強は危機感をもった。

 だが、それはまだ小さな警戒心程度だった。

 これを覆してしまうのは、次の大きな騒動を経てからになる。

 第一次世界大戦だ。



 この戦争にヒノモトはためらうことなく軍勢を派遣。

 日英同盟に基づいたこの派兵は、壮大な規模になった。

 なにせ海軍の半分。

 陸軍も最大で10個師団にのぼる大規模なもの。



 さらにフィリピン軍と、独立にむけての準備中の台湾軍も参戦。

 まだ体制がろくに固まってない満州国も、わずかながら軍勢を派遣。

 欧州大戦に乗り込んでいく事になる。



 この大規模派遣が応手大戦は史実より短期間で終わらせる事に成功。

 損失損害は、史実よりは小さなものとなった。



 また、大戦において大胆な派兵を行ったヒノモトの発言力は大きなものとなった。

 戦後の講和交渉においてもこれを発揮。

 ドイツやオーストリアなど協商国側への要求を小さくおさえた。

 敗戦国に求める賠償金は戦費程度に。

 オーストリアも解体までいかず、各地の自治権の拡大強化や保護国化による連邦体制にとどめた。

 ベルサイユ条約はこうして結ばれ、世界は対戦の損害からの復興を目指す事になる。



 そして国際連盟が設立され、ヒノモトは理事国となる。

 日英同盟をより強固にしながら。



 なのだが。

 この国際連盟においてヒノモトが提案し採択された条項が決定的な亀裂を生む。

 人種平等条項である。



 いかなる国や地域、人種であろうとも、人の命や尊厳、財産は等しく守られねばならない。

 この条項が植民地を持つ列強各国を痛撃する。

 同盟国であるイギリスも。

 満州をはじめとした東ユーラシアに資本参加してるアメリカも。



 この亀裂は次第に大きくなり、ヒノモトと列強各国との間に修復不能な断絶を生み出す。

 ヒノモトとしては、段階を踏んだ穏健な自治州化。

 あるいは、保護国として宗主国を中心とした連邦化を提案していくのであるが。

 どのみち、植民地からの利益を失う事になる。

 これを植民地を支配する宗主国たる列強が容認できるわけがなかった。



 かくて各地の独立運動家の意見を聞きつつ。

 調整にはげむヒノモトは、列強の強固な反対を前に四苦八苦していく。

 これは独立を求める各勢力がヒノモトの庇護を求めたからでもある。



 また、第一次世界大戦の終了と同時に台湾が独立。

 満州国も清の人材を回収して再度の独立へと向かっている。

 これらを見た列強は、ヒノモトが各地を解放、つまりは列強の権益を破壊すると見て取った。



 かくて欧州大戦から10年を迎えようとする頃。

 日本と日本周辺国や地域は、列強からの有形無形の圧力と妨害を受けるようになった。

 この摩擦と緊張は、次なる戦争を予感させるに十分なものに成長していく。

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