異世界の日本、ヒノモト
手をこまねいていても仕方が無い。
転移した日本はこの世界の日本へと外交使節を派遣した。
地球に似た世界の、日本と同じような国。
それでも日本そのものではない。
なにせ名前からして少し違う。
この世界の日本はヒノモトという。
日本という文字を訓読みしたような国名だ。
このヒノモトは、同じようでいて全く違う存在である。
となると、もう歴とした外国としかいいようがない。
そのつもりで、僅かに残った国会議員による内閣は対処していった。
この外交交渉は思った以上に上手く進んでいった。
相手も神を名乗る存在から救いの手がやってくると告げられていたのだ。
半信半疑ではあったが、実際に東からやってきた使者の姿を見ては信じるしかない。
出向けたヒノモトの外交官達は、到着した外交使節団を国会へと招いていった。
外交交渉は円滑に進んだ。
事前に情報を共有していたのだから当然だ。
利害も一致している。
日本は食料や資源が欲しい。
ヒノモトは独立を守るための力が欲しい。
両者ともに欲しいものを提供できる。
そして、他に頼る物が居ないのも同じだった。
「上手くいかないものですね」
「まったくです。
まさか、このような事になるとは」
協力関係がまとまったところで、外交官達は互いの感想を漏らし合った。
「まさか、協調路線が火種になるとは」
「ままならないものです」
異世界の日本であるヒノモト。
この国が世界から敵視されるようになったのは、まさにこれが理由だった。
うかつに敵を作らず。
可能なかぎり協調をしていく。
だが、それは他国にとって危険で面倒な物事をもたらす事になった。
植民地や支配地の独立運動。
これまでのヒノモトの行動はこれを発生させていった。
当然、支配者たる宗主国にとっては好ましい事ではない。
しかも自主独立を求める勢力の多くはヒノモトになびいてる。
そうなれば諸君道の支配者たる列強国はヒノモトを敵視する
ではヒノモトが世界の独立運動をあおったのかというと。
そういうわけではない。
ただ、生き延びるための戦いと、その後の行動が植民地などの独立の機運を高めただけだ。
彼らは圧倒的な力の差を前にして、自主独立など夢のまた夢と思っていた。
しかし、その考えを打ち壊したのがヒノモトだった。




