インド解放、戦争の終わり
このヒノモト軍を迎え撃つ列強軍は悲惨な事になっていった。
イギリス軍を中心としたフランス・オランダなどの宗主国軍は敗退に次ぐ敗退を重ねる。
撤退ではない、負けて退くのだ。
正面から戦っても勝てない。
作戦でしのぐ事も出来ない。
思いつくあらゆる手段を使っても確実に負ける。
それでも広大なインドを舞台に、どうにか引きずり回そうとしても。
それすらも阻止される。
作戦の中心となる拠点を見つけられて攻撃され、何も出来なくなる。
これが何度も続くうちに、列強軍はインドそのものから退くハメになっていく。
特に致命的だったのが、インド人による蜂起。
独立を求める者達があちこちで動き出す。
これらが草の根の活動として情報をヒノモト軍に渡していく。
列強軍の動きは筒抜けになり、勝てるものも勝てなくなる。
なにせインド人全員が諜報活動してるようなものだ。
隠れようにも隠れきれない。
陸上だけではない。
海においても同じ事になっていく。
インド洋に展開する列強宗主国の海軍は、負けに負け続けていく。
衛星写真に航空偵察。
これらによって列強艦隊の位置は筒抜け。
唯一例外の潜水艦も、ヒノモト艦隊に近づけば即座に撃沈される。
艦隊戦を挑んでも結果は同じ。
空母から飛び立った戦闘機はほぼ確実に撃墜される。
艦船同士の戦いも、対艦ミサイルによる長距離攻撃で一方的に負ける。
ならばと艦砲射撃による達攻撃で、沿岸部にいるヒノモト軍を叩こうとしてもだ。
飛び立ってくる戦闘機の爆弾で撃沈される。
そもそも、火の元空軍の戦闘機にはミサイルが搭載されている。
胴体延長して射程を伸ばした歩兵用携帯対空ミサイルだ。
最大射程15キロにもなるこれは、列強の戦闘機を機銃の射程外から撃ち落とす。
戦闘らしい戦闘も出来ずに、列強の戦闘機は撃墜されていく。
仮に格闘戦になっても、列強の空軍機に勝ち目はない。
時速600キロで飛ぶ戦闘機に対抗できる機体はない。
更にヒノモトはより高速な戦闘機も投入していく。
2000馬力のエンジンをもち、時速700キロで飛ぶ新型戦闘機。
これが出てきてしまったら、もう対処のしようが無い。
しかも。
列強軍が相手をするのはこれだけではない。
日本が派遣した空母艦隊もいる。
スキージャンプを備えた2万トンの空母から発艦する可変翼の単発ジェット。
T4練習機を母体として開発された日本の戦闘機。
全長14メートル、翼幅最大11メートルのこの戦闘機が戦場を荒らしていく。
飛び立った可変翼ジェットは列強の戦闘機を攻撃していく。
どこにいるかは複葉機の早期警戒管制機が教えてくれる。
この指示に従ってAAM4やAAM5といった
対空ミサイルを放つ。
100発100中のミサイルは、放った数の分だけ列強戦闘機を撃墜していく。
また、機首の3砲身小型ガトリングは、1分間に500発の20ミリ機関砲弾を放つ。
切り替えれば1200発を1分間に放てるが、相手の速度を考えると、そこまでやる必要がない。
音速を軽く超える速度で列強のプロペラ戦闘機を引き離し。
そして逃げようとする戦闘機は圧倒的な速度で追いかける。
たとえ敵が逃げても、レーダーで見つける事が出来る。
16機の空母艦載虚空である可変翼ジェット。
彼らは数倍いる列強戦闘機隊を圧倒していった。
こうして列強海軍はどうにか撤退した一部を除いて撃沈されていった。
インド洋はヒノモトの海となっていく。
また、インドが制圧された事で中華民国への補給は潰えた。
武器や弾薬、その他の物資を失った中華民国と朝鮮は、戦う事も出来ずに行動不能になっていく。
北は満州国が。
東はヒノモトが。
南は台湾・フィリピン・タイが。
そして、西はインドが。
この巨大包囲網の中に中華民国と朝鮮はとらえられた。
包囲をするヒノモトとヒノモトとの協力国は、この包囲網の内外を完全に封鎖していった。
中から外に出さず。
外から中に入れず。
海外在住の両国人の帰国は認めたが。
むしろ、積極的に帰国を促していった。
移動用の手配すらもして。
ただし、出国は一切ゆるさなかった。
当然、様々な資源や産物の輸出入も。
また、戦争の終わりを決める講和会議なども行わなかった。
物資不足によって中華民国と朝鮮からの攻撃はなりを潜めたが。
書類上は戦争が続いた状態になる。
それでかまわないとヒノモトも協調国も判断した。
むしろ、終わらせる気がなかった。
戦争が終われば、包囲を解除する必要がある。
そうなれば、また戦争の原因を作り出す。
海外との交易などで必要なものをそろえて。
それを許すつもりはヒノモトと周辺国にはなかった。
だから戦争を書類上でも継続した。
戦闘のない戦争を。
冷戦に近いかもしれない。
しかし、やってる事は苛烈だ。
必要なものを何一つ手に入れられなくするのだから。
当然産業が成り立たなくなる。
高度な文明を保つには、様々な資源が必要だ。
それが一切入らなくなる。
たとえ広大な面積を持つ中華民国といえども、全ての資源を自国でまかなえるわけではない。
手に入らない資源は海外から輸入するしかない。
なのだがこれが出来ない。
当然、作れないものが増えていき、自然と科学技術の水準は落ちていく。
蒸気機関くらいはどうにかなるかもしれないが、それ以上を保つ事が出来ない。
あらゆる産業が衰退していく。
知識や技術があっても、必要になる資源がないから作れないからだ。
結果はすぐにあらわれる。
工業だけでなく農業にすら影響が出る。
生産力が落ちて、人口を養えなくなる。
1年、2年と経つごとに人口が減っていく。
さすがにこれでは命にかかわると思った者が国外に逃げようとするが。
築かれた国境封鎖の壁が行く手を阻む。
ほとんどが堀と土嚢を積み重ねた壁であるが。
行く手を阻むには十分だった。
おまけに武装した兵士が巡回している。
国外脱出をはかる者は見つかれば射殺される。
中華民国と朝鮮とは戦争継続中だ。
最前線にいる者は戦闘員として処分されていく。
民間人に見えても、そう見える偽装をしたゲリラ兵の可能性があるからだ。
区別する方法はないし、捕まえて確かめる手間もかけない。
そこまでする理由がない。
こうして中華民国と朝鮮の国境は封鎖され。
両国は着実に衰退していく。
これは終わることなく今後も延々と続いていく事になる。
そして、包囲をしている各国はヒノモトが中心となってまとめていく。
ヒノモトが制圧した国や地域は、これまで通り保護国となり独立へ向かっていく事になる。
また、この国々は国際連盟とは違う地域の交流圏を作っていく。
これは主に経済的な繋がりを胸としたものになる。
軍事的な連携も考えられたが、まずは交易や貿易が先となった。
出来あがった広域経済圏。
これは共栄圏と呼ばれるようになった。
1945年8月15日の事であった。




