異世界転移
「なんとまあ」
日本国民2000万人は同じ思いを抱いた。
「異世界転移か」
「しかも国ごと」
「嘘だろ」
誰もが信じがたいと思っていた。
しかし、事実なのを疑う事は出来なかった。
その日、2000万人に日本人の頭に声が響いた。
穏やかで、しかし芯のとおった男の声だった。
それは淡々とこれから起こることを伝えていった。
「日本は異世界に転移する」
その直後に日本は異世界に転移した。
わかりやすい兆候など何もなく。
大きな地震もなく、空の色が変わったわけでもなく。
しかし、決定的に大きな違いがあった。
近くにいた者達の多くが消えていた。
それが日本を転移させるにあたって省かれた者達であると。
日本を転移させた存在から伝え聞く事になる。
更に、海外にいた日本人も転移して異世界に共にやってきてると。
日本に縁のある者達だけが共に転移してきたのだ。
日本の物とみなされる物資や資源と共に。
また、海外に売却されたものは地球に残されてるという。
おかげで周りに人がいない。
なにせ1億人が消えたのだ。
大都市は閑散としてしまう。
運転手を失った自動車などが道のそこかしこに止まってる。
さすがにエンジンはきってあり、サイドブレーキもかかってる。
動く心配は無い。
これではさすがに信用しないわけにはいかない。
本当に異世界に転移したのかは分からないが、わかりやすい証拠がそこにあるのだから。
「となると」
誰もが転移と共に強いられた仕事に意識を向ける。
天照を名乗る男が告げた事。
それは実に困難な事だった。
「この世界の日本を救うのだ」
その声と共に2000万人の頭にこの世界の状況や情勢がもたらされた。
それを知った日本人のほとんどが、なすべき事の困難さに顔をしかめ、ため息を吐いた。
日本が転移したのは別の世界の地球である。
ただし、少しだけ違った歴史をたどっている。
その経緯は日本にとって理想的で。
しかし、それだからこそ世界は日本の敵に回っていく事になった。
そんなこの世界の日本を救う。
その為に日本は、地球にいた異世界に転移してきた。
この世界の日本の東側およそ200キロの場所に。




