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私には前世の記憶がある  作者: ハシドイ リラ


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4/7

抜け出すチャンスは逃さない

「何故あれほどお願いしたのに話しかけたのですか?」


「え、だって担任から外れてもう半年も経ってるんですよ。そろそろ大丈夫かと思って。そして元担任として体調はどうかと気にしていたんですよ!」


あの親子は何をしてあげても悪く取るからタチが悪い。元気にしてる?って話しかけることの何が悪いの⁉︎


「お母さん、本当に申し訳ありませんでした。本人にも今後関わらないよう重ねて指導いたします。」


「本当にお願いしますね。帰ってきてからもずっと怖がってそのことばかりだったので。先生、何が悪いかまだ分かってらっしゃらないみたいですけど、先生に肩パンされたり鬼の形相で罵られ続けたりって半年くらいで忘れられるもんじゃないんですよ。そもそもこう言うのは、加害者がもういいんじゃないかとか水に流すとかを提案するものじゃないんですよ。」


そうもいかないのだ!あんたたち親子のせいで今年のクラスの親たちはちょっとしたことで噛みついてくる。

何かあるたびにまた暴力を振るうのでは?と疑われるのだ。

だから去年のことは行き違いがあっただけで、お互いもうわだかまりがないところを見せないといけないのに。


「それに聞いてますよ。未だに大きな声で威嚇したりしてるらしいじゃないですか。反省してやめたんじゃなかったんですか。この間も、罵った挙句廊下に立たせたんですよね。息子がその瞬間を見てしまって動揺して教えてくれました。せっかく担任を離れていただいても、相変わらずそういうことをしているってのは目につくものなんですよ。」


そうだ、あの日は最悪だった。

「なんでそんなことばっかり言ってるの?そんなに嫌なら教室から出てっていいよ。廊下で立ってたら?」

ちょっと当てこすった程度のことで大袈裟に騒いだから!そう言って教室から追い出したのだ。

それを廊下でまた大騒ぎしたせいで隣の担任に知られてしまった。


「しかもそれだけじゃなくて、放課後になってお母さんに電話して気にかけるどころか」


"いつも少しのことでキーって叫び始めて話になりません。一度知能面での検査を受けられた方がいいんじゃないですか"


「って言ったらしいですね。その子、近所の子なんでよく知ってますけど、普段キーって叫んだりなんて一切しませんよ?いつもって言うのは先生が関わる時はいつもってことですか?」


「お、お母さん。決して担任の味方をするわけではありませんけども、発達の具合を見て専門家を紹介することはありますよ。」


「そんなの当然知ってますよ。私が言ってるのはこんなセンシティブなことを、電話でーしかも喧嘩腰だったそうじゃないですか。もし私が同じ立場なら、もう少し配慮した環境で伝えると思いますよ。…まさか校長先生もこんな大事なこと電話で告げて平気なタイプの人なんですか?」


「いえ、そんなことは。確かに配慮が足りませんでした。」


校長!非を認めたらこういうモンペは図に乗るんですよ!毅然としてよ!


「まあいいです。そちらは当事者同士で解決してください。ウチとしてはカッとなって何をするか分からない人がウチの子に寄ってこなければそれでいいです。」


そう言ってた癖に。

結局難癖つけてきて教育委員会からの調査が入ることになってしまったのだった。


※※※※※※※


いつのまにかあれだけ目障りだったマクロゴールが消えていた。



マクロゴールが消えてから1週間ほど経ったある日、ファーデン司祭に呼び出された。

結局あの日以降私を咎めるものはいなくなった。涙ながらに悪気はなかった、良かれと思ってを繰り返したらどうにかなったみたい。


と、なると今日は悪い話ではないかも。もしかしたら還俗の話だろうか。そもそも周囲が誤解して勝手に動いただけなのに、生涯修道院で奉仕なんて罰が大きすぎると思っていたのだ。



「ファーデン司祭、お呼びでしょうか」


「ああエステルさん、思いの外早かったですね。では早速ですがステアリン殿。」


「ここから先は私から説明しよう。」


初めて見る殿方だ。身なりの良い紳士。年齢はおそらく…30歳そこそこかな。

おそらく伯爵以上の貴族だろう。もしかしたらこの方との婚姻の話であろうか。再婚ならばありえる歳周りだ。


「実は婚姻の話を進めようと思っていてね。ずっと年齢が離れすぎていると言って反対されていたんだが、私が昨年侯爵を継いだことで反対の声をやっとねじ伏せることができたんだ。」


侯爵!歳周りが離れているくらい何も問題ないわ!でも初婚ということ?それもかなり以前から見初められていたみたい。もっと早く言ってくれていたらこんなことにならなかったのに。


「歳の差なんて…全く気になりませんわ」

「ああ、そこは私も同じだ。あれだけ苦労の連続だったのに未だ瑞々しさを失わない美貌。いや、見た目なんてどうでもいいんだ。内面から溢れ出るものというか…」


そこまで評価してくださるなんて!


「侯爵様、そこまでお認めいただいていたなんて。わたくし、この話お受けいたしますわ!」



「…ん?」


ん?


「ぶふっ」


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