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偏差値70なのに恋愛経験0の二人の理性が崩壊するまで〜財前慶一郎と伊集院桜子の恋  作者: 間宮芽衣


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第二十八話◇合宿初日、嵐の予感。〜伊集院桜子視点


◇◇伊集院桜子視点


「…桜子。女子校だから、体育の時何も言ってなかったけど、その。上に何か着た方がいいかもね。」


朝学校指定の短パンとTシャツを着て、琵琶湖ランに行く準備をしていると、朱里様がそんな事を言ってきました。


「…え?でも、夏ですし。」

「だって、桜子、胸の発育が良すぎるんだもん。」


私が困惑していると、朱里様が溜息を吐きます。


「──なっ、」


思わず赤面すると真顔で言われました。


「走ったらきっと揺れるじゃん?男子もいるからさ。一応、念の為に!!暑くなったら脱げばいいから。」


そう言われて、渋々ウィンドブレーカーを羽織りました。


「…じゃ、行こうか。」


そう言われて私達は集合場所に向かいます。


 すると、色んな高校の男女がもう大勢いらっしゃいました。


 私と朱里さんが輪に混ざると、何故かザッと周囲から視線を感じて困惑してしまいます。


「──桜子さんっ!!」


すると、慶一郎様が私の方に駆け寄ってきて下さり、ホッとしてしまいます。


「慶一郎様。おはようございます。」


思わず笑顔を向けると、後ろから四之宮と和田さん、そして宮西さんもいらっしゃいました。


「すっげー、菊乃森のジャージえろい…!ありがとうございます…。」


そう言って拝んでくる宮西さんと和田さんに慶一郎様が顔を引き攣らせます。


「…あんまりジロジロ見るな。」


すると、引率の先生が厳しい顔で叫びます。


「そこ!!私語は慎め!!

 ──いいか!!受験に向けて体力を持たせるためには適度な運動が不可欠である!

 受験に勝つつもりで願掛けしながら一心不乱に走れっ!!…それではストレッチをする。」


そう言ってストレッチを始めます。


(…わ、慶一郎様、凄い筋肉ですわ。)


後ろから見える、背中のしなやかな筋肉に思わず目を見開いてしまいます。


「ほらー、桜子、やっぱり周りにガン見されてるよ。よかったね、上着着てきて。」


すると、小声で朱里さんが耳打ちしてきます。


(──そういう朱里さんも見られてるような気がしますけど。)


何人かの男子生徒が朱里さんに熱い視線を向けています。


「今日、朱里さんとは違う授業ですね…。」


「うん。桜子が国立大文系で、私は英語とか小論文が中心だしね。でも、ランチは一緒に食べようね。

 四之宮君や財前君達も理系国立大だしあんまり授業では絡めないかもね…。」


そんな事を話していると、先生が大声で叫びました。


「よーし!準備体操終わり!じゃあここから3キロ先の吉川先生が立っているところまで全員全力で走れ!」


そう言われて全員が一斉に走り出したので、慌てて私達も走り出します。


「はぁっ、はぁっ、」

1.5キロくらいでもう疲れてきてしまいました。


(…確かに体力を付けないといけませんわね。)


「桜子、大丈夫?」


朱里さんが心配そうに見てきます。


「…だ、大丈夫です。」


周りを見ると女生徒ばかりになっていました。


「いやー、やっぱり男子は速いね。あっという間にいなくなっちゃった。具合悪くなったらいけないから一緒にゆっくり行こ。」


そう言って頂けたので、朱里様となんとか3キロ走り切りました。吉川先生がみんなに水を渡して下さいます。


 汗を拭っていると、先生が叫びます。


「よーし、全員来たな!!じゃあそこの裏道を通ってロッジに戻って着替えて準備しろ!各自ロッジでの朝食が終わったら授業開始だ!」


そう言われて、慌てて皆さんがロッジへと戻っていきます。


「…行こっか。」


私達はロッジに戻り、ジャージを部屋に備え付けの洗濯機に入れます。全自動なので、干す必要がなさそうです。


 大急ぎでシャワーを浴びて、授業で使うものを準備して、ロッジの朝食会場に行きました。


「──なんか、やっぱり女子だけだと落ち着くね。」

「…そうですね。」


二人でパンと牛乳とフルーツとサラダ、それにひき肉とチーズのオムレツの乗ったお盆を受け取って席に着きます。


「あ、まぁまあ美味しいじゃん。」

そう言ってオムレツを食べた朱里さんが頰を緩ませました。


「本当ですね…。四宮さんが期待出来ない、なんて言ってましたけど。」


「言ってたー!!四之宮君って本当面白いよね…。」


そんな事を言いながら楽しく朝食を摂りました。


◇◇


「それじゃ、あとでねー!!」


朱里さんにそう言われて手を振ります。


 授業は予備校の方で借りている講堂の沢山ある建物で行われることになっています。


 それぞれ合宿に参加している生徒達が自分の授業を受ける教室に入っていきます。


(…一人だと少し心細いですね。)


そんな事を思いながらテキストに目を通していると、声をかけられました。


「──ここ、空いてる?」

「…はい。」


返事をしながら顔を上げると、そこには天宮さんと、ご友人だと思われる男性が二人いらっしゃいました。


「…天宮さん。」

 

思わず目を見開くと天宮さんがフッと笑いました。


「えー、伊織、この子誰?超可愛いじゃん。」


そう言われて、なんと答えていいかわからず困惑してしまいます。


「この前たまたま知り合いになってね。

 そうだよね、同じ志望校と学部だから全部同じ授業か。──宜しくね。桜子ちゃん。」


「…はい。宜しくお願いします。」


私が答えると、先生が教室に入ってきました。


「はーい!!じゃあ、授業始めるぞ!!ここは国立大文系コースだ。文系とは言っても共通試験では数学も求められる。特に経済志望の学生は大学に入ってからもデータを読み解く力なども求められるからな。心して臨むように!!では、まずは古文の授業だ!!」


そう言って、先生が講義を始めます。


 隣をチラリと見ると、天宮さんは真剣な顔で授業を受けているようでホッとしてしまいます。


(そうですよね。流石に授業中までは絡んで来ないですよね。)


「じゃあ形容詞!腹から声を出して覚えろ!

 かろ・かつ・く・う・い・い・けれ!」


先生の言葉に教室の中にいる皆さんが続けます。


「「かろ、かつ、く、う、い、い、けれ!!」」


(な、なんか皆で唱えると新興宗教みたいですわね。)


「続いて、形容動詞!だろ・だっ・で・に・

だ・な・なら!!」


「「だろ、だっ、で、に、だ、な、なら!!」」


そんな声が響く中、合宿一日目が始まりました。


◇◇


 キーンコーンカーンコーン…


ようやくお昼休みになりました。ちなみにこの音はアナウンス室で流しているようです。


(はぁ、なんだか慣れない環境で10分休憩のみで続けて授業があると、疲れますわね。)


席を立とうとしていると、天宮さんに話しかけられました。


「ねえ、桜子ちゃんってお昼誰と食べるの?誰かと約束してる?」


「はい、お昼ご飯は、同じ高校の友人や、慶一郎様達と食べますわ。」


私がそう答えると、天宮さんは少し残念そうな顔をしました。


「…そっか。仲良くなりたかったから、残念。まあしょうがないね。それじゃ、また午後の授業で。」


そう言われて軽く会釈をすると、食堂の方に向かっていきます。


(あ、朱里さんですわ。)


──丁度朱里さんをみかけて声をかけようとしたその時です。


「なぁ、朱里。いいじゃん。俺達アメリカにいた時からの付き合いだろ?」


そう言って朱里さんに付き纏う男子を発見してしまいました。


「…私、友達とお昼食べる約束してるから。それに、もう大和やまとと仲良くするつもりもないし。」


その光景を見て思わず目を丸くしてしまいます。


「──朱里さんっ!どうしたんですか?!」


私が声をかけると大和と呼ばれた男子生徒が顔を綻ばせます。


「…何、友達ってこの子?凄い可愛いじゃん。それならこの子も一緒に…。」


「──だから!私貴方とはランチに行きたくないんだってば!」


朱里さんが声を張り上げたその時です。


「──何の騒ぎだ?」


声をかけてきたのは四之宮さんでした。



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