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偏差値70なのに恋愛経験0の二人の理性が崩壊するまで〜財前慶一郎と伊集院桜子の恋  作者: 間宮芽衣


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第十九話◇ πは無限、恋はきっと収束する。〜財前慶一郎視点


◇◇財前慶一郎視点


「あの、手を太ももに置くの、やっぱりちょっと…やめて頂いてもいいですか?」


――その瞬間、僕は電撃が落ちてきたかのように衝撃を受けた。


(…や、やってしまったーーーーー!!!)


泣きそうな顔で言う桜子さんに、僕は見た目は少し眉を寄せるぐらいになんとか取り繕った。


 だが、内心は絶望で打ちひしがれそうになっていた。


「どうしてですか?

 …嫌でしたか?」


声が震えそうになりながら、なんとか気力を振り絞って尋ねる。


(こ、これで嫌われたら洒落にならないんだがっ!!)


すると、桜子さんが耳元で囁く。


「ち、違います!

 そのっ!!…へ、変な声が出てしまいそうで…。

 全然勉強に集中出来ないんです…。」


その瞬間背筋がゾクゾクとし、顔にどうしようもない程熱が集まってくる。


(へ、変な声って…!)


「っ、それは、失礼しました。」


――弾かれたように手を離した瞬間。 


「…あっ、」


桜子さんが艶かしい声を上げた。


「――っ、」


(一体僕をどうさせたいんですかっ!桜子さんっ、)


危うく公共の場で理性が崩れかけてしまったが、何とか僕は彼女の耳元で囁く。 


「…じゃあ我慢します。

 その代わり、勉強が終わったらキスしてもいいですか?」


すると、桜子さんが目を潤ませながら頷く。

「はい…。」


(うおおおおおおおお!!!!)


僕はめちゃくちゃ壁に頭を打ち付けたい衝動に駆られた。だが、なんとかギリギリの理性で我慢した。


(きっと、頭を壁に打ち付けたら桜子さんに引かれてしまう!!)


今まで頭を打ち付けたくなるのは、納得出来ない時だけだと思っていたが、感情が昂った時もそうなるのだと知るのは新たな発見だった。


 だが、破壊出来なかった僕の煩悩は膨らむばかりだった。


 僕は冷静に数式を解くのは厳しいと判断し、英文法を復習し始めた。


 ちらりと横を見ると彼女の長いまつ毛が影をおとしている。そして、何かを考え込んでいるのか百面相していた。


 『素』の桜子さんの表情が可愛すぎて悶えそうになった。


(はっ!?まずい、集中しなければ!)


僕はカリカリとシャーペンで要点をまとめる。

………………………………………………

・what is+比較級「さらに〜」

 例文:

 She is cute, and what is more, she is beatiful.

(彼女は可愛らしい、その上、美しい。)


・A is to B what C is to D「AのBに対する関係は、CのDに対する関係と同じ。」

 例文:

 Sakurako is the love of my life―what pi is to a circle.

(僕の人生に桜子さんが不可欠であるように―円にπが不可欠である。)

………………………………………………


(…?!何を書いているんだ!僕は!!)


暫くして無意識に桜子さんに関する例文ばかり書いていることに気が付き、慌ててルーズリーフを隠した。


 ――どうにか勉強時間が終わり、僕達はお互いの成果を解説し合った。


「私は今日は漢文を勉強しました。

 使役の句法を見抜くことで選択問題の選択肢を大幅に減らす事が可能です。判断する方法としては…」


かき上げた髪を耳にかけながら俯きがちにノートを示す桜子さんに僕の目が釘付けになる。


(ああ、なんて美しいんだ。

 …πは無限に続くけれど、僕は桜子さんとの恋という答えにいつか絶対に辿り着きたい。)


「…?どうかしました?」


黙り込んでしまった僕に桜子さんがキョトンとした顔をした。ちなみにそんな顔も最高に可愛い。


「いえ、何でもありません。とても分かりやすくて理解しやすかったです。」


僕の言葉に桜子さんはホッとした顔をした。


「そう言って頂けて何よりです。

 あ、もうこんな時間だったんですね。」


スマートフォンを見ると12時を回っていた。


「桜子さん、お昼ご飯は何が良いですか?」


僕が尋ねると、彼女が何故かモジモジしている。


「…あの!今日の朝、山内さんと一緒にお弁当を作ってきたんです。周りにあまりに飲食店がなかったので。


 良かったら公園で一緒に食べませんか?」


(なん…だと?桜子さんの手作りの料理…だと?)


僕は再び頭を壁に打ち付けたくなったがなんとか堪えた。


◇◇


 桜子さんの作ってくれたお弁当は一言で言うと、最高だった。


(こんなに幸せでいいのだろうか。)

 

カツサンド、卵サンド、フルーツサンドがどれもデパ地下並みのクオリティだったのもそうだが、何より桜子さんが作ってくれたと思うだけで嬉しすぎた。


「とても美味しかったです。

 桜子さん、ありがとうございます。」


僕がお礼を言うと、桜子さんが恥ずかしそうに笑った。


「まあ、早起きして良かったです。」


(あー尊い尊い尊い…)


昼食を食べ終わり、隣接している庭園を手を繋いで歩く。


 新緑の隙間から日光が差し込んでいるのが見え、凄く癒される。


「っきゃ!」


滑ってしまったのか桜子さんが転びそうになったので慌てて抱き止めた。


「危ないっ、」


その瞬間、桜子さんの柔らかい身体の感触と甘い匂いに理性が焼き切れそうになった。


「っ、ありがとうございます。」


真っ赤な顔で顔を上げた桜子さんが僕の方をジッと見つめてくる。


「――っ、」

 

ドクンドクンと胸が高鳴り、そのままの状態で暫く見つめ合う。


 ――僕と桜子さんの顔が徐々に近づいていく。


 …唇がつくか付かないか…という時だった。


 ガサガサ!!


「っ?!」


僕達が慌てて離れると柴犬が地面に落ちた葉っぱをほじくり返して遊んでいた。


「ワンワンッ!!」


(犬ーーーーー!!)


「すみませーーーん!!コラ!豆太っ、勝手に走って行ったらだめじゃない!!」


飼い主が走ってきて平謝りされた。


「いえ…、あの、大丈夫です。」


桜子さんが顔を真っ赤にしながら苦笑いしている。


「ほらっ、行くよ!おうち帰ったらオヤツあげるからっ!」


「ワンッ!!」


犬は元気よく吠えると飼い主と一緒に行ってしまった。


 僕達の間に沈黙が落ちる。


「…そろそろ戻りましょうか。」

「そうです、ね。」


僕達は手を繋いで館内に向かう。


「そういえば今更ですけど、桜子さんってどこの大学を志望されていらっしゃるんですか?」


「そうですねぇ。第一希望は帝都大学の経済学部で、第二希望がW大の政治経済ですね。」


(なん、だと?!)


「…本当ですか?僕も帝都大の工学部が第一志望で。

 もし二人とも第一志望に受かったら同じ大学に行けますね。」


その言葉に桜子さんの顔がジワジワと紅潮していく。


「…え?!受かったら、じゃあ同じ大学に通えるって事…ということになりますね。」


「…そうですね。」


僕の脳内に桜子さんと手を繋いでキャンパスに向かう妄想が浮かぶ。

 …そして、授業が終わると同じマンションに戻り、二人で風呂桶を持って銭湯に行くのだ。


(…いいっ!!あと、実は自転車の二人乗りというものをやってみたかった!

 …あ、だが、道路交通法違反だな。桜子さんに怪我をさせたくないし、タンデム自転車を購入した方が良いだろうか。だが、それでは密着が出来ない!)


そんな妄想を振り払うように僕は尋ねる。


「…桜子さんはてっきり世界遺産や和歌に興味をお持ちなので文学部かと思っていました。経済学部なんですね。」


すると桜子さんは恥ずかしそうにはにかんだ。


「…私も慶一郎様と一緒に会社を支えていかないといけないですから。

 和歌は自分でも勉強出来ますので。」


その言葉にどうしようもないくらい胸を打ち抜かれる。


「…ありがとうございます。」


僕がお礼を言うと、桜子さんが少し恥ずかしそうに笑った。


「…早く毎日慶一郎様と一緒に過ごせるようになりたいです。」


その言葉で危うく僕の理性が再び崩れ落ちそうになってしまった。


「そうですね…。」


僕達は手を繋いで館内に戻った。

参考:ちょいデブ親父の英文法

https://choidebu.com/bunpou/hs/?amp

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