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6 エピソード②
山間の狭道を抜けた先、森の中で突如、魔獣と呼ばれる異形の獣が襲いかかってきた。さらに、それに便乗するように山賊が出現。
遊天は敵を引きつけつつも、敵の数に押されはじめる。
「遊天、下がって!」
「な――! バカ、お前何して……!」
その瞬間、岬が山賊の一人の前に立つ。
前の街で買った軽めの剣。構えは低く、無駄がない。剣道仕込みの動きで、相手の懐に入り込む。
「……めっ!」
乾いた音と共に、相手の手からナイフが飛び、あっけなく地面に落ちた。
「なっ……このガキ、ただの小娘じゃ――!」
「うるさいっ!」
気迫と技術に、山賊は怯み、次々と倒されていく。
魔獣も遊天が止めを刺し、ようやく戦いは終わる。
「岬……お前、剣のセンス、すげぇな……」
「……部活だけどね。でも、やっててよかった……!」
岬の目に、確かな自信が宿っていた。
そして遊天は気づく。彼女はただ守られる存在ではない。
時に、自分をも支えてくれる力を持っていると。