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42 第二章:岬とレオンの婚約 ――民と交わす“誓いの言葉”
「……俺と、共に歩いてほしい」
ある夜、王宮の庭園で、レオンが岬に差し出した指輪は、
かつて王妃だったレオンの母の形見だった。
「私は……亜雷族で、そして、未来の“目”で」
岬は言葉を詰まらせる。けれど――
「それでも私は、あなたの隣に立ちたい」
その瞳には、確かな覚悟があった。
数日後、王都広場。再び民の前に立った二人。
「――岬は、私が選んだ。
王としてでなく、一人の人間として、共に未来を紡ぐ者として」
レオンの言葉は、まっすぐだった。
民の沈黙の中、ひとりの老婦人が歩み出た。
「あなたが岬を信じるのなら、
わたしらも信じるさ。王様の“心”が見えたから」
歓声が、徐々に広がっていく。
「王と、未来の妃に祝福を!」
その瞬間、花が舞った。
岬の頬にこぼれた涙は、安堵と喜びが混ざったものだった。
「……ありがとう、レオン。
今度は、私があなたの光になる番だね」
レオンは微笑み、手を重ねた。
「もうとっくに、君はそうだったよ」