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41 第一章:新たな旅立ち ――王国の改革と未来への礎
レオン即位から三ヶ月。
王都は、静かな変化の中にあった。
かつて貴族だけに向いていた政策は見直され、
各地の民と話す“巡回の旅”が始まり、
王自身が前に立ち、岬はその隣を歩いた。
「君の話を、もっと聞かせてほしい」
レオンは一人ひとりに膝を折り、民の声を拾っていく。
岬もまた、亜雷族であったことを隠さず、
その力の由来と、どのように王都と歩むのかを、率直に語った。
「過去を断ち切るんじゃない。
過去を“知って”、共に歩くんです」
王都の人々は最初、戸惑った。
だが岬の瞳は、真っ直ぐに希望を映していた。
「……異邦の娘ではない。未来を繋ぐ者だ」
誰かがそう呟き、それが波のように広がっていく。
やがて民たちは、岬の言葉に耳を傾け、
岬とレオンが“未来を選びに来た”のだと気づき始めた。
――改革の風が、確かに吹き始めていた。