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38 即位の儀式 ――未来を照らす王と、その隣に立つ者
王都の広場に、太陽の光が差し込んでいた。
かつて陰に閉ざされたこの場所も、今では民の笑顔が溢れている。
その中央に、金の装飾が施された儀式壇。
白と金の衣を纏ったレオンが、静かにその頂に立っていた。
「……ここに、我レオン=アルセイロスは、
王国の未来を導く“光の継承者”として、民の誓いを受け入れる」
司祭の声が重々しく響き、天からの光が神殿のステンドグラスを貫く。
やがて、儀式壇の階段を、静かに一人の少女が登ってくる。
それは、かつて“異邦の者”と恐れられた岬。
だが今、彼女の肩を覆う純白の外套は、王国が与えた“守護の象徴”だ。
民は息を呑んだ。
そして次の瞬間、レオンは彼女の手を取り、壇上に引き上げる。
「彼女は、私の隣に立つ者。
王としての私を支え、未来を共に選び抜く存在だ」
ざわめきが、祝福に変わっていく。
花が舞う。笑みが交わされ、涙を拭う者もいた。
誰もが知っていた。
この瞬間が、王国の“再生”の始まりだと――。