31 ◆ 第一幕:感情のぶつかり合い ―― 夜の庭園にて
王都の外れ、月の照らす静かな庭園。
岬は剣の型を繰り返していた。無心になることで、不安や恐れを打ち払おうとしていた。
そこへ、レオンと遊天が、別々に現れる。
三人が揃った時、空気が張り詰めた。
◇ 遊天 → 岬へ
「……なにやってんだよ。こんな夜中に、剣なんて振って」
「自分で立ちたいの。……もう、誰かの影に隠れてるだけの自分じゃいたくない」
「でもよ、それで傷ついたら意味ねぇだろ。俺がいるのに、なんで全部一人で背負おうとすんだよ」
「……兄さんこそ、全部抱え込もうとするじゃない!」
遊天は言葉に詰まり、視線を逸らす。
「……違う。俺は、お前に笑っててほしいだけだ」
岬は小さく息をのんだ。その瞬間、レオンが静かに口を開く。
◇ レオン → 遊天へ
「――君も、私と同じだな」
「は?」
「君も岬を“守りたい”という顔で、彼女を縛ろうとしている。彼女の中に芽生えた強さを、無意識に否定してる」
「っ……それを否定だなんて言うのかよ」
「ならば問おう。もし、岬がこの先、王族や敵と刃を交えると言ったら……君はそれを、止めずに見届けられるのか?」
沈黙。
遊天は拳を握る。レオンの言葉は、痛いほど真だった。
◇ 岬 → 二人へ
「ねえ、二人とも……もうやめてよ」
岬は静かに言葉を続ける。
「私ね、最初はただ、父を探すだけの旅だった。でも今は……この国の未来を知ってしまった。私が選ばなきゃいけない道が、あるのも分かってる。だから……歩かせて。私自身の意思で」
レオンと遊天は、視線を合わせた。
そして――