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19 【二】レオン ―貴族の仮面の裏で―

王宮の書斎。

レオンは机に肘をつき、考え込んでいた。

蝋燭の揺れる灯火が、彼の揺れる心を映しているようだった。


岬の真っ直ぐな瞳。

あの夜、強く何かを決意したような目で、自分に向かって言った。


「父を探したい。自分の過去を知りたい。……ここに残りたい」


(……あの瞳に、嘘はなかった)


けれど、それを嬉しく思う心と、恐れてしまう心がある。


(私は……君を守りきれるだろうか)


岬が“亜雷”の娘であると知ってから、

彼女が背負うものの大きさに気づいてしまった。


(王家の血筋である私と、敵対関係にあった一族の娘――)


もしそれを他国の貴族に知られたら?

宮廷内の勢力争いに巻き込まれたら?

いや、そんなことより何より――


(私は……君を“ただの仲間”としては見られなくなっている)


岬の前では、冷静なふりをしてきた。

だが内心では、彼女の一挙手一投足に心を奪われている自分がいる。


(この想いは、君を守る強さになるか。それとも、弱さになるのか)


蝋燭がパチリと音を立てた。

揺れる炎の先に浮かぶのは――岬の横顔だった。

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