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16 ◆岬の心の中 ――「私は“誰”としてここにいるの?」
異世界の空は、どこか寂しくて、でも――美しかった。
私がここに来た理由は、父を追って、真実を知るため。
でも、それだけじゃない。
私はこの世界に“私自身の意味”を見つけたかったのかもしれない。
亜雷という名前。
未来を見る力。
過去と縛られた一族の記憶。
それらは確かに私の一部で、でも……私はその“名前”だけで生きていきたくない。
私は、私なんだ。
誰かの娘とか、誰かの妹とかじゃない。
でも、それでも……あの人たちと繋がっていたいと思う自分がいる。
遊天。あなたの瞳の奥に、時々見える哀しみが気になる。
レオン。あなたの声が、どこか遠くから私を呼んでいる気がする。
この胸のざわめきは、何だろう。
惹かれてはいけないと分かっていても、心は勝手に動いてしまう。
私は一体、“誰”としてこの世界に存在してるの?
それを知るために、私はここに残る。
過去を知り、未来を変える。
それが、私が選んだ“今”だから――