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14 ◆遊天の心の中 ――「名前を呼ぶたび、心が軋む」
……岬。
なんでそんなに無防備なんだよ。
なんで、そんなに笑えるんだよ。俺に対して。
“妹かもしれない”って、それが俺の中にずっと引っかかってるのに。
お前の声を聞くたび、名を呼ぶたび、心の奥がキリキリと軋むんだ。
血が繋がってるなら、守らなきゃいけない。
でももし、そうじゃなかったら――?
だったら俺が、こんな風に見てるのは……間違いか?
どっちだって、苦しい。
守りたい。でも、手を伸ばしたら壊してしまいそうで怖い。
俺の手は、護るためにあるのか、奪うためにあるのか。
分かんねぇよ。もう、分かんねぇ。
だけど一つだけ確かなのは――
お前が泣く顔は、もう絶対に見たくねぇってことだ。