表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/20

公子・荒喪女(きみこ・アラモード)

公子さんの過去の話し

 ぐわっほん……。ではでは。


 荒れに。荒れた。荒ぶる女。荒み喪女である。アラサーのわたし事。佐倉公子さんの。荒れに。荒れた。荒れ狂った。狂ってクルッと終わった……。


 終わってしまった公子ちゃんが。公子さんに終わってしまう。お話しを、しようと思いま~す。


 公子ちゃんが家出をしたのは、18。まさきが中学を卒業してすぐだった。


 中学卒業から、この頃まで。まさよと。まさきの食費は、公子ちゃんがバイトをしたお金でまかなっていた。


 両親がお金を家に、置いて行かなくなったからだ。


 高校の試験には、全部落ちた。


 私は……頭が悪い。……だから、一生懸命。働いた。昼は子供の面倒……。夜はコンビニのレジ打ち……。年を誤魔化して働いた。


 バレてはいた。と思うけど……。夜勤の人出不足で、何も言われなかった。


 ある日。コンビニでお金が無くなった。貧乏人の私が、真っ先に疑われた。公子ちゃんは反論したが。クビにする。と言われ……公子ちゃんは謝った。


 ある日……。お金が出て来た。でも、あの男は……公子ちゃんに謝らなかった。許せなかった。けど。クビにはなれなかった。だから、正義執行しなかった。偉いだろ?


 私は、お金を貯めて家を出た。


 1人で行くつもりだった。だけど、まさきもついて来た。まさきも高校に落ちた……。馬鹿だった。


 まさよを泣かせたのは、この時だ。


 お金を貯めたとは言ったが……所持金は8万円……。


 子供の生活費。雑貨。給食代金等々……。自分の食費を切り詰めて、頑張った。貯めるのに3年かかった。


 家出をした日……。ホテルに泊まった。何年かぶりに公子ちゃんはゆっくりと寝た。


 その後……。家を探したが。見つから無かった。


 そして……。公子ちゃん達はホームレスを始めた……。本当にお馬鹿だったのだ。川の魚や、海老。廃棄弁当で日々しのいだ。


「ちょっと……佐倉さん……。お風呂貸したげるから、入りにおいで。臭いよ」


 コンビニの店長にそう言われた。風呂に……入りたかった……。公園の水じゃ無くて、暖かいお風呂に。

 洗濯もいいよ。と言ったので洗濯物も持って行った。


 公子ちゃんは、いいヤツじゃんと思った。そして……犯されかけた。


 金玉を蹴り上げて逃げた。気持ち悪い感触だった。


 そして……。接客業には。汚くて。臭い物はいらない。と言われ。公子ちゃんは、仕事をクビになった。


 次の日。まさきが正義執行した。


 男を半殺しにして。りゅうきと山に埋めた……。それから3年。まさきは帰って来なかった。


 公子ちゃんは、こうして洋服もまさきも失った……。


 「アンタ……。汚いわね……。来なさい。お風呂。貸してあげる」


 夜中にゴミ箱を漁っていたら。オカマに声をかけられた。

 本名は知らない。キャミと呼べと言われた。なので公子ちゃんはそうした。


 知ってる?5日飯食わねぇと、ふらふらしてさ。身体が重く感じるんだ。それで、本能って言うんだろうな?ゴミでも何でも、食べたくなるんだ……。……限界だった。


 犯される覚悟は。もうしてた。どうなってもいいやって……。家には、戻りたく無かった。負けたく無かった。両親にも……。自分にも……。帰る位なら。死んだ方がマシだって……。本気でそう。思ってた。


 でも。キャミは優しかった。見た目。ゴツいオッサンなのにな!

 ぶっは!化粧するんだから!面白かったよ!本当にいいヤツだった……。


 「さっさと。仕事探して出て行きなさい!邪魔だから……」


 そう言ってキャミは、公子ちゃんをアパートに置いてくれた。


 「アンタ!ちょっと!話しくらいは聞きなさい!」


 酔っ払うと話しが長かったが……。嫌では無かった。


「グハハハハ!公子ちゃんアンタ!馬鹿ねぇ!」


 「だっは!公子ちゃん!馬鹿者すぎるわよ!」


 「グフフ……。公子ちゃんは。いちゅ大人になるのかちらね~。ちょっと~!痛いじゃない!オカマなめんなよ!グフフ……」


 「公子ちゃん!聞いて聞いて!私!好きな人が出来たのよ!グフフ……!あ!ちょっと!聞きなさいよ!ほら!お酒!買って来たから!だっは!アンタ!素直ね~……本当……いいこ……」


 「公子ちゃん!彼!いいって!お付き合いしてくれるって!ぎゃ~!嬉しい!今日はお祝いよ!飲みましょ!え?毎日飲んでるって?だっは!いいのよ~う!ほらほら!かんぱ~い!」


 キャミの家に住み始めてから、よく飲んで。よく食べた。うるさかったけど……楽しかった。


「ちょっと!扉を開ける時は!ノックをしなさい!このトイレ!鍵が、かかんないのよ!笑い過ぎよ!アンタ!あぁ!もう!引っ込んじゃったじゃない!グハハハハ!」


「鍵?かけないでいいわよ……。アンタ早く終わったら。家に入れないじゃない……。あ、ここ。ガタガタずれば開くから。開いてない時はここから入んなさい……。今日は~、おデートなの。グフフ……」


 この頃から、キャミの紹介してくれたスナックで公子ちゃんは働き始めていた……。


 ママも親切だった……。


「これ、あまったから……。公子ちゃん。持って帰って食べて」


「そう……。色々大変ね。何でも相談してね……。力になるから……」


 キャミと夜に働いて……。昼に寝て、休みの日には飲んで寝る……。そんな生活を送っていた。悪かった。普通じゃ無かった。でも。楽しかった。面白かった。


「こら!アンタ!ちゃんと止め打ちしなさい!」


 「目押しをちゃんとしなさい!」


「へったくそね~!アンタ!今日ビール抜きよ!グハハハハ!」


 酒も煙草もパチンコも、キャミが公子ちゃんに教えた。悪い大人の見本だった。


「普通?そんな事考えてたら、アンタ生きてけないわよ?馬鹿じゃない?いいから飲みなさい!グハハハハ!今日は勝ったんだから!」


 普通を馬鹿にする。悪い大人……。公子ちゃんは。その普通じゃない。悪い人間が……。好きだった。


「公子ちゃん!キャミが!」


 初雪でも降りそうな日……。その日……キャミが死んだ。


 「ご家族の方ですか?」


 公子ちゃんはそう聞かれて……。嘘を……ついた。


『ごめんね。公子ちゃん。やっぱり私。普通じゃ無いの。こんな私とお友達になってくれて。ありがとう。毎日。楽しかった。でも、もう無理みたい。普通じゃ無い私は普通に生きられないの。ごめんね。私を許してね。ごめんね。このお部屋の物も、通帳のお金も全部公子ちゃんにあげるわ。だから、私の分も幸せになってね。普通に生きて。公子ちゃん。ありがとう。ごめんね。サヨナラ


 PS・お部屋も使っていいわよ!って、オカマが死んだ部屋なんて。イヤよね~。じゃ。お元気でね。        』


 謝り過ぎ……。と思った。


 天井から、ぶら下がるキャミの下には、ブルーシートが広げてあった。


 だっは!見栄えを気にしたんだろうね!バッチリ化粧してたんだ。だっはは!……。綺麗だった。キャミ……格好いいと思った……。


 グハハハハ!って。今にも起きて来そうだった……。


 だっは!思い出した!キャミさぁ!ファブリーズ置いてたんだ!新品の!ブルーシートの横に……。そんなもんじゃ。何にも消えないだろうにね……。グフフ……。キャミも……。お馬鹿だったんだ。


 そして。正義の公子ちゃんは。怒った。そして、キャミが死んだ原因が。ある男のせいだと知った。男を探して……殺してやろうと思った。


 そして、見つけた。


 公子ちゃんは正義執行!……しようとして……逆にボコボコにされた。鼻とあばらの骨が折れた。……途中でママが止めてくれなきゃ。死んでたと思う。


 だっは!だって。公子ちゃん。金属バットで。キャミを気持ち悪い。って。フッた男の頭をかち割るんだもん。


 公子ちゃんは心が……熱かった……。燃えてた。メラメラと……。ギラギラと……。本当に……。殺そうと思ったんだ。


 最後まで、人に気を使って死ぬ様なヤツが!気持ち悪い訳ねえだろって!何で!あんなに優しいキャミが……!?


 おっと……。……すまんすまん……。


 まぁ、そんなこんなで、普通じゃ無い。悪い大人のキャミは、死んじゃったんだ。


 それから、公子ちゃんはキャミのアパートを巣穴にした。


 そしてある日……。ママに売られた。


 あ、いや。未遂な。未遂……。良い客がいてさ~。酒。ガンガン呑まされて。お持ち帰りされたんだ。


 でさ~。これは。夢だったと思うんだけど……。ホテルで寝てたら。キャミが起こしに来たんだよ。


「馬鹿!この!馬鹿者!さっさと起きなさい!お馬鹿!お家に帰るわよ!」


 ってさ……。人が気持ち良く寝てるのに。馬鹿馬鹿やかましい!って思って起きたら。変なオヤジが、入れようとしててさ……。グフフ……。金玉を本気で蹴って。逃げた。


 その後……。ママが自分から謝って来たから……。許した。


 そして。何か、家に……。帰りたいなぁ。って突然思ったんだ。


 あれだけ嫌だったのに……。勝手だよなぁ。公子ちゃんは……。甘えん坊なんだ。本当は……。子供なんだよ……。


 それで。お家に……帰ったんだ……。


「はぁ。で?結局。帰って来たの?3年も遊び回って。連絡もよこさないで。妹を置いて出て行って。まさきも結局捕まっちゃったし、本当に馬鹿ね。アナタは一体何がしたいの?」


「まぁまぁ、いいじゃないか。帰って来たんだし。まさよももうすぐ、中学で手がかるんだし……丁度いいだろ?」


「それは……そうだけど、公子!聞いてるの?本当に馬鹿なんだから!まずは、迷惑をかけて。すいませんでした!くらい言ったらどうなの?」


「………………。すいませんでした」


 この時……消えたんだ。


 遊んで。遊んで。遊び疲れた。公子ちゃんは死んじゃった。


 燃えて。燃えて。燃え尽きた。公子ちゃんは灰になった。


「その後は、巣穴で。じり貧貧乏暮らし。最近、ここに来るまでは独りぼっちで、キャベツかじってたんだ。グフフ……」

 まぁ、一時期は違ったけど……。あの話しはしない。


「そんなの。知ってる……。大体は……お兄ちゃんに聞いたし」


「は?」

 え?アイツ……いつの間に!


「だから!何が言いたいのよ!」


「ご、ごめんね。怒らないで……。ね?」

 何が言いたいって……。貧乏は良くない。普通がいいよ?あれ?


「だから!何で!いつも。いつも。そうなのよ!」


「え?なにが?ってか。みるく離れろ……。暑苦しい……」

 まさよこそ。何が言いたいんだ?


「無理……」


「いつもいつも謝って!私が悪い事したんでしょ!じゃ!怒りなさいよ!」


「いや……。でも……」

 え?どういう事?


「私を勝手に加害者にしないで!いつも!お兄ちゃんばっかり!ズルい!私とも遊んでよ!私は家族じゃ無いわけ!私はお姉ちゃんの嫌な記憶の思い出なの!」


「……………………」

 そっか。今回も私が……悪い……。


「公子ちゃんだろうが。公子さんだろうが、どうでもいいし!お姉ちゃんは私のお姉ちゃんでしょ!ここにいる私は、お化けじゃ無いんだからね!今の私を見てよ!!!」


「グフフ……。面白い事言うじゃないか」

 あぁ、熱い……。何て熱いのか……。この妹は……。


「大体が!約束破ったとか。いつの話しよ!キャメルのバックも。デズニーランドも。温泉も。京都観光も!帰って来る度に!連れてくって言ってそのまま!どうせ!お兄ちゃんと一緒に行ったんでしょ!ズルいわよ!いつも。いつも。お酒飲んで帰ってくるし!」


「……………………」

 あれぇ?いつも?8年帰って無い……ハズなんだけれども?


「この前も!花火!私も行きたかったのに!行きたかったけど!一緒に行く友達いないし!お兄ちゃんから電話があったから、誘ってくれるのかな~。と思ったら!警察署て!どういう事よ!?それで何!?友達と騒いでケンカ!ズルいわよ!何で誘ってくれないのよ!海も行ったんでしょ!」


「……ごめん。次から誘う……」

 本当にごめん……。お酒……。本当に少し控えよう。


「そういっていつも!ほったらかし!私も!遊びたい!」


「うん。一緒に遊ぼ」

 私も……。まさよと遊びたい……。


「…………やっぱり……敵だったわね……あの小娘……」


「は?みるく……何か言ったか?」

 敵?


「ん~ん……。大丈夫……。あの娘も……丸め込めばいいのよね……」


「丸め込む?」

 何かコイツ、また目が漆黒色に……。


「気にしないで……。さ!ご飯作るわ!オムライスよね?」


「うん」

 確かに腹減った……。


「え~。お姉ちゃんが作ったのがいい」


「え?そう?じゃ……。作ろっかな~グフフ……」

 え~……。久しぶりだな~。ちっちゃい頃作ってあげてたもんな~。


「わ、私も食べたい!」


「みるくさん……。自分で作ればいいじゃん……」


「……。ちょっと……。まさよちゃん。後でお話しがあるわ……」


「嫌よ……。お姉ちゃんの前で、話せば良いでしょ?」


「へ、へぇ~。良い度胸してるわね……アナタ……」


「もう、お前らケンカするなら作らんぞ?やめなさい」

 さて……。うが!冷蔵庫に食材が何かいっぱいある!


「「はーい」」


 何て事は無い……。まさよが求めていたのは、普通でもなく……。真面目な大人でも無く。ただのお姉ちゃんである。私だったのだ。


 蠱毒な私の独り相撲が。荒ぶる妹の可愛い、仕返し。のおかげで……今……。終わった。


 「あ、おい。まさよ……。そう言えば……盗撮ってなんだ?」

 SNSがどうとかって、言って無かったか?


「え!?」


「き、公子ちゃん!違うわ!特撮!特撮!ウルトラマン!好きなのよね!」


「そ!そうそう!好きなの!ジュワッって!アハハ~」


 「そうなのか……。じゃ、今度、お姉ちゃんと、ウルトラマンショー。見に行こう!」

 特撮か~。へぇ~。今時の女の子はそんなの見るのか~。


「わ。わ~い……やった~……」


(ちょっと!おばさん!もっとマシな言い訳あるでしょ!)


(あら……。良かったじゃない……。ウルトラマンショー……。フフフ……。私も行くけどね!)


(はぁ?1人で行きなさいよ!私がお姉ちゃんと行くんだから!)


(フフフ……。小娘……。私にはお金があるのよ?ウルトラマン!ここに呼べるんだから!お出かけ自体。無くしてやろうかしら~?)


(うざ!薄々は解ってたけど!アナタ変態ね!絶対にお姉ちゃんはあげないから!()()()()()にして。()()()()()()()()()!にしようと思ってたのに!)


(フフフ……。甘いわね。公子ちゃんは……。()()()()()()()!なんだから……。もう、結婚式場も決めてあるの!フフフ……)


(何言ってんのアンタ!この変態!お姉ちゃんから離れろ!)


(アナタこそ、姉離れしなさい!この!甘えん坊の小娘が!)


「は~い。お待たせ~。久々で、あんまり美味く無いかもだけど……」

 どれくらいぶりだろう?5~6年前に作ったっきりかな?


「え!うそ……。美味しい」


「みるく。お前失礼な反応だな。これでも家出るまでは、毎日作ってたんだぞ……」

 まさきとまさよの為に、めずらしく勉強したのだ!


「懐かしい……。味。変わってない」


「そ、そうか?足りなかったらーー」


「ーー公子ちゃん!おかわり!」


「このおば……!みるくさん、食べるの早いのね~。……………………。お姉ちゃん!私も!おかわり!」


「おいおい~。ゆっくり食べろよ……。グフフ……。まったく。仕方ないな~」

 たまには。作ってみるもんだな~。


(お姉ちゃんは……)


(公子ちゃんは……)


((絶対!渡さない!!!))

あれ?そんな事いたっけ?と思う事って結構ありませんか?自分はありますw

お酒は程々にw


自分は気にしてても、相手はそうじゃなかったりするんですよね……。まぁ逆もしかりですがw


ブクマ:評価:コメント等等お待ちしております(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ