公子・荒喪女(きみこ・アラモード)
公子さんの過去の話し
ぐわっほん……。ではでは。
荒れに。荒れた。荒ぶる女。荒み喪女である。アラサーのわたし事。佐倉公子さんの。荒れに。荒れた。荒れ狂った。狂ってクルッと終わった……。
終わってしまった公子ちゃんが。公子さんに終わってしまう。お話しを、しようと思いま~す。
公子ちゃんが家出をしたのは、18。まさきが中学を卒業してすぐだった。
中学卒業から、この頃まで。まさよと。まさきの食費は、公子ちゃんがバイトをしたお金でまかなっていた。
両親がお金を家に、置いて行かなくなったからだ。
高校の試験には、全部落ちた。
私は……頭が悪い。……だから、一生懸命。働いた。昼は子供の面倒……。夜はコンビニのレジ打ち……。年を誤魔化して働いた。
バレてはいた。と思うけど……。夜勤の人出不足で、何も言われなかった。
ある日。コンビニでお金が無くなった。貧乏人の私が、真っ先に疑われた。公子ちゃんは反論したが。クビにする。と言われ……公子ちゃんは謝った。
ある日……。お金が出て来た。でも、あの男は……公子ちゃんに謝らなかった。許せなかった。けど。クビにはなれなかった。だから、正義執行しなかった。偉いだろ?
私は、お金を貯めて家を出た。
1人で行くつもりだった。だけど、まさきもついて来た。まさきも高校に落ちた……。馬鹿だった。
まさよを泣かせたのは、この時だ。
お金を貯めたとは言ったが……所持金は8万円……。
子供の生活費。雑貨。給食代金等々……。自分の食費を切り詰めて、頑張った。貯めるのに3年かかった。
家出をした日……。ホテルに泊まった。何年かぶりに公子ちゃんはゆっくりと寝た。
その後……。家を探したが。見つから無かった。
そして……。公子ちゃん達はホームレスを始めた……。本当にお馬鹿だったのだ。川の魚や、海老。廃棄弁当で日々しのいだ。
「ちょっと……佐倉さん……。お風呂貸したげるから、入りにおいで。臭いよ」
コンビニの店長にそう言われた。風呂に……入りたかった……。公園の水じゃ無くて、暖かいお風呂に。
洗濯もいいよ。と言ったので洗濯物も持って行った。
公子ちゃんは、いいヤツじゃんと思った。そして……犯されかけた。
金玉を蹴り上げて逃げた。気持ち悪い感触だった。
そして……。接客業には。汚くて。臭い物はいらない。と言われ。公子ちゃんは、仕事をクビになった。
次の日。まさきが正義執行した。
男を半殺しにして。りゅうきと山に埋めた……。それから3年。まさきは帰って来なかった。
公子ちゃんは、こうして洋服もまさきも失った……。
「アンタ……。汚いわね……。来なさい。お風呂。貸してあげる」
夜中にゴミ箱を漁っていたら。オカマに声をかけられた。
本名は知らない。キャミと呼べと言われた。なので公子ちゃんはそうした。
知ってる?5日飯食わねぇと、ふらふらしてさ。身体が重く感じるんだ。それで、本能って言うんだろうな?ゴミでも何でも、食べたくなるんだ……。……限界だった。
犯される覚悟は。もうしてた。どうなってもいいやって……。家には、戻りたく無かった。負けたく無かった。両親にも……。自分にも……。帰る位なら。死んだ方がマシだって……。本気でそう。思ってた。
でも。キャミは優しかった。見た目。ゴツいオッサンなのにな!
ぶっは!化粧するんだから!面白かったよ!本当にいいヤツだった……。
「さっさと。仕事探して出て行きなさい!邪魔だから……」
そう言ってキャミは、公子ちゃんをアパートに置いてくれた。
「アンタ!ちょっと!話しくらいは聞きなさい!」
酔っ払うと話しが長かったが……。嫌では無かった。
「グハハハハ!公子ちゃんアンタ!馬鹿ねぇ!」
「だっは!公子ちゃん!馬鹿者すぎるわよ!」
「グフフ……。公子ちゃんは。いちゅ大人になるのかちらね~。ちょっと~!痛いじゃない!オカマなめんなよ!グフフ……」
「公子ちゃん!聞いて聞いて!私!好きな人が出来たのよ!グフフ……!あ!ちょっと!聞きなさいよ!ほら!お酒!買って来たから!だっは!アンタ!素直ね~……本当……いいこ……」
「公子ちゃん!彼!いいって!お付き合いしてくれるって!ぎゃ~!嬉しい!今日はお祝いよ!飲みましょ!え?毎日飲んでるって?だっは!いいのよ~う!ほらほら!かんぱ~い!」
キャミの家に住み始めてから、よく飲んで。よく食べた。うるさかったけど……楽しかった。
「ちょっと!扉を開ける時は!ノックをしなさい!このトイレ!鍵が、かかんないのよ!笑い過ぎよ!アンタ!あぁ!もう!引っ込んじゃったじゃない!グハハハハ!」
「鍵?かけないでいいわよ……。アンタ早く終わったら。家に入れないじゃない……。あ、ここ。ガタガタずれば開くから。開いてない時はここから入んなさい……。今日は~、おデートなの。グフフ……」
この頃から、キャミの紹介してくれたスナックで公子ちゃんは働き始めていた……。
ママも親切だった……。
「これ、あまったから……。公子ちゃん。持って帰って食べて」
「そう……。色々大変ね。何でも相談してね……。力になるから……」
キャミと夜に働いて……。昼に寝て、休みの日には飲んで寝る……。そんな生活を送っていた。悪かった。普通じゃ無かった。でも。楽しかった。面白かった。
「こら!アンタ!ちゃんと止め打ちしなさい!」
「目押しをちゃんとしなさい!」
「へったくそね~!アンタ!今日ビール抜きよ!グハハハハ!」
酒も煙草もパチンコも、キャミが公子ちゃんに教えた。悪い大人の見本だった。
「普通?そんな事考えてたら、アンタ生きてけないわよ?馬鹿じゃない?いいから飲みなさい!グハハハハ!今日は勝ったんだから!」
普通を馬鹿にする。悪い大人……。公子ちゃんは。その普通じゃない。悪い人間が……。好きだった。
「公子ちゃん!キャミが!」
初雪でも降りそうな日……。その日……キャミが死んだ。
「ご家族の方ですか?」
公子ちゃんはそう聞かれて……。嘘を……ついた。
『ごめんね。公子ちゃん。やっぱり私。普通じゃ無いの。こんな私とお友達になってくれて。ありがとう。毎日。楽しかった。でも、もう無理みたい。普通じゃ無い私は普通に生きられないの。ごめんね。私を許してね。ごめんね。このお部屋の物も、通帳のお金も全部公子ちゃんにあげるわ。だから、私の分も幸せになってね。普通に生きて。公子ちゃん。ありがとう。ごめんね。サヨナラ
PS・お部屋も使っていいわよ!って、オカマが死んだ部屋なんて。イヤよね~。じゃ。お元気でね。 』
謝り過ぎ……。と思った。
天井から、ぶら下がるキャミの下には、ブルーシートが広げてあった。
だっは!見栄えを気にしたんだろうね!バッチリ化粧してたんだ。だっはは!……。綺麗だった。キャミ……格好いいと思った……。
グハハハハ!って。今にも起きて来そうだった……。
だっは!思い出した!キャミさぁ!ファブリーズ置いてたんだ!新品の!ブルーシートの横に……。そんなもんじゃ。何にも消えないだろうにね……。グフフ……。キャミも……。お馬鹿だったんだ。
そして。正義の公子ちゃんは。怒った。そして、キャミが死んだ原因が。ある男のせいだと知った。男を探して……殺してやろうと思った。
そして、見つけた。
公子ちゃんは正義執行!……しようとして……逆にボコボコにされた。鼻とあばらの骨が折れた。……途中でママが止めてくれなきゃ。死んでたと思う。
だっは!だって。公子ちゃん。金属バットで。キャミを気持ち悪い。って。フッた男の頭をかち割るんだもん。
公子ちゃんは心が……熱かった……。燃えてた。メラメラと……。ギラギラと……。本当に……。殺そうと思ったんだ。
最後まで、人に気を使って死ぬ様なヤツが!気持ち悪い訳ねえだろって!何で!あんなに優しいキャミが……!?
おっと……。……すまんすまん……。
まぁ、そんなこんなで、普通じゃ無い。悪い大人のキャミは、死んじゃったんだ。
それから、公子ちゃんはキャミのアパートを巣穴にした。
そしてある日……。ママに売られた。
あ、いや。未遂な。未遂……。良い客がいてさ~。酒。ガンガン呑まされて。お持ち帰りされたんだ。
でさ~。これは。夢だったと思うんだけど……。ホテルで寝てたら。キャミが起こしに来たんだよ。
「馬鹿!この!馬鹿者!さっさと起きなさい!お馬鹿!お家に帰るわよ!」
ってさ……。人が気持ち良く寝てるのに。馬鹿馬鹿やかましい!って思って起きたら。変なオヤジが、入れようとしててさ……。グフフ……。金玉を本気で蹴って。逃げた。
その後……。ママが自分から謝って来たから……。許した。
そして。何か、家に……。帰りたいなぁ。って突然思ったんだ。
あれだけ嫌だったのに……。勝手だよなぁ。公子ちゃんは……。甘えん坊なんだ。本当は……。子供なんだよ……。
それで。お家に……帰ったんだ……。
「はぁ。で?結局。帰って来たの?3年も遊び回って。連絡もよこさないで。妹を置いて出て行って。まさきも結局捕まっちゃったし、本当に馬鹿ね。アナタは一体何がしたいの?」
「まぁまぁ、いいじゃないか。帰って来たんだし。まさよももうすぐ、中学で手がかるんだし……丁度いいだろ?」
「それは……そうだけど、公子!聞いてるの?本当に馬鹿なんだから!まずは、迷惑をかけて。すいませんでした!くらい言ったらどうなの?」
「………………。すいませんでした」
この時……消えたんだ。
遊んで。遊んで。遊び疲れた。公子ちゃんは死んじゃった。
燃えて。燃えて。燃え尽きた。公子ちゃんは灰になった。
「その後は、巣穴で。じり貧貧乏暮らし。最近、ここに来るまでは独りぼっちで、キャベツかじってたんだ。グフフ……」
まぁ、一時期は違ったけど……。あの話しはしない。
「そんなの。知ってる……。大体は……お兄ちゃんに聞いたし」
「は?」
え?アイツ……いつの間に!
「だから!何が言いたいのよ!」
「ご、ごめんね。怒らないで……。ね?」
何が言いたいって……。貧乏は良くない。普通がいいよ?あれ?
「だから!何で!いつも。いつも。そうなのよ!」
「え?なにが?ってか。みるく離れろ……。暑苦しい……」
まさよこそ。何が言いたいんだ?
「無理……」
「いつもいつも謝って!私が悪い事したんでしょ!じゃ!怒りなさいよ!」
「いや……。でも……」
え?どういう事?
「私を勝手に加害者にしないで!いつも!お兄ちゃんばっかり!ズルい!私とも遊んでよ!私は家族じゃ無いわけ!私はお姉ちゃんの嫌な記憶の思い出なの!」
「……………………」
そっか。今回も私が……悪い……。
「公子ちゃんだろうが。公子さんだろうが、どうでもいいし!お姉ちゃんは私のお姉ちゃんでしょ!ここにいる私は、お化けじゃ無いんだからね!今の私を見てよ!!!」
「グフフ……。面白い事言うじゃないか」
あぁ、熱い……。何て熱いのか……。この妹は……。
「大体が!約束破ったとか。いつの話しよ!キャメルのバックも。デズニーランドも。温泉も。京都観光も!帰って来る度に!連れてくって言ってそのまま!どうせ!お兄ちゃんと一緒に行ったんでしょ!ズルいわよ!いつも。いつも。お酒飲んで帰ってくるし!」
「……………………」
あれぇ?いつも?8年帰って無い……ハズなんだけれども?
「この前も!花火!私も行きたかったのに!行きたかったけど!一緒に行く友達いないし!お兄ちゃんから電話があったから、誘ってくれるのかな~。と思ったら!警察署て!どういう事よ!?それで何!?友達と騒いでケンカ!ズルいわよ!何で誘ってくれないのよ!海も行ったんでしょ!」
「……ごめん。次から誘う……」
本当にごめん……。お酒……。本当に少し控えよう。
「そういっていつも!ほったらかし!私も!遊びたい!」
「うん。一緒に遊ぼ」
私も……。まさよと遊びたい……。
「…………やっぱり……敵だったわね……あの小娘……」
「は?みるく……何か言ったか?」
敵?
「ん~ん……。大丈夫……。あの娘も……丸め込めばいいのよね……」
「丸め込む?」
何かコイツ、また目が漆黒色に……。
「気にしないで……。さ!ご飯作るわ!オムライスよね?」
「うん」
確かに腹減った……。
「え~。お姉ちゃんが作ったのがいい」
「え?そう?じゃ……。作ろっかな~グフフ……」
え~……。久しぶりだな~。ちっちゃい頃作ってあげてたもんな~。
「わ、私も食べたい!」
「みるくさん……。自分で作ればいいじゃん……」
「……。ちょっと……。まさよちゃん。後でお話しがあるわ……」
「嫌よ……。お姉ちゃんの前で、話せば良いでしょ?」
「へ、へぇ~。良い度胸してるわね……アナタ……」
「もう、お前らケンカするなら作らんぞ?やめなさい」
さて……。うが!冷蔵庫に食材が何かいっぱいある!
「「はーい」」
何て事は無い……。まさよが求めていたのは、普通でもなく……。真面目な大人でも無く。ただのお姉ちゃんである。私だったのだ。
蠱毒な私の独り相撲が。荒ぶる妹の可愛い、仕返し。のおかげで……今……。終わった。
「あ、おい。まさよ……。そう言えば……盗撮ってなんだ?」
SNSがどうとかって、言って無かったか?
「え!?」
「き、公子ちゃん!違うわ!特撮!特撮!ウルトラマン!好きなのよね!」
「そ!そうそう!好きなの!ジュワッって!アハハ~」
「そうなのか……。じゃ、今度、お姉ちゃんと、ウルトラマンショー。見に行こう!」
特撮か~。へぇ~。今時の女の子はそんなの見るのか~。
「わ。わ~い……やった~……」
(ちょっと!おばさん!もっとマシな言い訳あるでしょ!)
(あら……。良かったじゃない……。ウルトラマンショー……。フフフ……。私も行くけどね!)
(はぁ?1人で行きなさいよ!私がお姉ちゃんと行くんだから!)
(フフフ……。小娘……。私にはお金があるのよ?ウルトラマン!ここに呼べるんだから!お出かけ自体。無くしてやろうかしら~?)
(うざ!薄々は解ってたけど!アナタ変態ね!絶対にお姉ちゃんはあげないから!1人ボッチにして。私だけのお姉ちゃん!にしようと思ってたのに!)
(フフフ……。甘いわね。公子ちゃんは……。私だけのお友達!なんだから……。もう、結婚式場も決めてあるの!フフフ……)
(何言ってんのアンタ!この変態!お姉ちゃんから離れろ!)
(アナタこそ、姉離れしなさい!この!甘えん坊の小娘が!)
「は~い。お待たせ~。久々で、あんまり美味く無いかもだけど……」
どれくらいぶりだろう?5~6年前に作ったっきりかな?
「え!うそ……。美味しい」
「みるく。お前失礼な反応だな。これでも家出るまでは、毎日作ってたんだぞ……」
まさきとまさよの為に、めずらしく勉強したのだ!
「懐かしい……。味。変わってない」
「そ、そうか?足りなかったらーー」
「ーー公子ちゃん!おかわり!」
「このおば……!みるくさん、食べるの早いのね~。……………………。お姉ちゃん!私も!おかわり!」
「おいおい~。ゆっくり食べろよ……。グフフ……。まったく。仕方ないな~」
たまには。作ってみるもんだな~。
(お姉ちゃんは……)
(公子ちゃんは……)
((絶対!渡さない!!!))
あれ?そんな事いたっけ?と思う事って結構ありませんか?自分はありますw
お酒は程々にw
自分は気にしてても、相手はそうじゃなかったりするんですよね……。まぁ逆もしかりですがw
ブクマ:評価:コメント等等お待ちしております(*^_^*)