カモメの公子さん
えっと……、はい。こうなりました。
「姉姉……。どこ行くの……?」
「ちょっと、おでかけ……。冷蔵庫に、ご飯……。あるから……」
秋が……涼しくて……。よかった……。
「また!まーくんばっかり!ズルい!」
「今度……。遊んであげるから……。ね、まさよ……。泣かないで……。ほら、約束……」
ごめんね……。
「うん……。約束……えへへ……」
はぁ……。最悪だ……本当に私……最悪……。
この夢を見ると、二度寝できん。それも、最悪……。
…………そして……コイツ……みるくも……。
なぜ、コイツは私のベットに……素っ裸で入ってくる様になったんだ?
祭りに行ったあの日から、変だ……。元々変だったが、もっと変になった。
特に飯の時……。変だ。
「……………………」
「何だよ、そんなにジッと見て?」
スパゲッティーの汁でも、服についたかな?
「ううん……。まだ、足りないかしら?」
「…………?」
何がしたいのだコイツは……?
しかし、今日は何かコイツ……。食べ方が汚ぇな……。口の周りがベトベトじゃねえか……。
「ど、どうかしら?」
「はぁ?どうって……。汁が、いっぱいついてるな……」
いい加減ふけよ……。
「そうなの!いっぱいついてるの!そうなの!」
「……………………?」
まぁいいか。コイツは元から、変だし……。
「…………。お酒がいるのかしら……。公子ちゃん!お酒飲まない?おビールあるわよ?」
「え!?飲む!……あ、いや……。この後パチンコ行くし、いいや……」
飲酒をしてから行くのは、マナー違反だ。
「…………。そう……」
あの日、あの後は……帰って寝た……。
まさよに会った……それ以外はほとんど覚えていない。何か、いっぱいやらかしたらしいから、みんなには、ちゃんと謝った。
あの日から、コイツだけ変なのだ……。
「あ……。公子ちゃんおはよう……」
「うん。おはよう……。とりあえず、離してくれる?煙草すいたい……」
がっちりとホールドされてる……。
「うん。めずらしいね、いつも遅いのに……」
「まぁ……ね。……。早く離しなさいって」
ジーっと、見るんじゃない。チューするぞ?
「フフフ……朝ご飯……何がいい?」
「…………。卵焼き……。甘いの……」
コイツのご飯……美味いんだよな~。
「うん。わかった。フフフ……」
はぁ……。私は、男なんじゃないかと、たまに……。いや……頻繁に思う。
そして、みるくみたいのが……女。なんだろうな……。
まぁ、私は、人間であれば何でもいいわ……。
はぁ。朝焼けを見ながら吸う煙草……いいもんだ……。
その後……。朝食を食べ終わった私は、家を元気よく飛び出し、いつものお店へと向かったのだが……途中の川のベンチで、なおちゃんを見つけた。
「どうしたんだい?なおちゃん?今日もアイツらと勉強だろ?」
「あ、公子さん、おはようございます。……あの、実は……」
「ふ~ん。いいんじゃない?ふゆきが好きって、何が悪いの?」
はぁ~、若いっていいね~。なんかキュンキュンするわ~。
「いや……。私は男だし……。気持ち悪いでしょ?……ふゆき君に申し訳無くて……」
「何で?別に好きになってもらって、嫌な気分になるヤツはおらんだろ?」
人間嫌いな、私みたいなヤツ以外はね。
「でも……」
「もっと自信もちなさいな、なおちゃん!そんなに可愛いんだから!」
しかし……。ほほそめる美少女……。いいね~。
「そ、そんな……。フフフ……。何か、公子さんと話してると、元気が出ます」
「だはっ!そうかい?そりゃ、よかった!じゃ、私は行くよ。なおちゃんも暑さで死ぬ前に行きなね~」
青春もいいが、はよいかにゃ、新台がうまるのだ。
「はい。ありがとうございます」
いや~。しかし、神様も残酷だね。あんな女の子の中の女の子を、男として生み落とす何て……。
残酷かぁ~。そうだな……。ざぁ~ん~くぉ~くぅ~なぁ~天使のふふんふん~♪
おし。今日は新台じゃ無くて、エヴァだな!
「は?ふゆき……何でお前ここにいるんだ?未成年はパチンコ駄目だぞ?」
未成年のおさけとギャンブルは、駄目だ。絶対。
「いや、ちょっと、相談があって……」
「え~……。もう、開店時間なんだけど……。と言いたいが。お前には、何だかんだ世話になってるしな。いいぞ聞いてやろう」
コイツがこう言う話しするの珍しいしな。
「迷惑かけてる、自覚はあるんだ……。ビックリ……」
「もういい。またな」
「うそうそ。ごめん……」
「で、何だよ?早くいえ」
まったく……。こっちは時間が無いのだ。
「実は……」
「ほえ!お前も、なおちゃんが好きって事か……。で……相談ってなんだ?」
ひゃ~。両思いか~、いいね~で?自慢か?
「お前も?」
「いや、何でもない。で、相談って?」
「いや、だから……。俺って、その。親から虐待とか色々されてたからさ……。女が怖くて……。普通の恋愛とか無理。って思ってたんだけど……。なおちゃんなら、大丈夫ぽくて……でも……」
「でも?何だ?」
「でも、それって、なおちゃんが……。男だから大丈夫って事で……。男が好きとか、俺、おかしくなったんじゃ無いか?と思ってさ……」
「それで?」
「それで……。どうしたらいいか、わかんないんだ……」
「わかんないって、何が?好きなら告れよ。お前男だろうが、情け無い」
何を悩んでんだコイツは?
「いや、なおちゃんも男じゃん。普通、おかしいだろ?」
「ふゆき……。普通ってなんだ?」
私は普通じゃないから知らんけど。
「そりゃ、男が女を好きになって……キスしたり……その……いった!何でたたくんだよ」
「すまん、私のお花畑注センサーが反応した」
まったく……。何でも、おセッセに結びつける人間は、私の1番嫌いな人種だ。
「何だよお花畑センサーって……」
「いいことを教えてやろう。人間はセックスせんでも死なんし、男と女だからって、一生一緒にいるとも限らん」
私は今日も、元気いっぱいだ!
「いや、そうだけど……」
「男と男でも女と女でも、好きなら、お前の好きにすればいいだろ?お前の恋愛に、人の目がいるのか?」
人の目。私はクソほどいらん……。邪魔だ。
「いらない……。けど……。普通は……いたっ!」
「普通なんか、知らん。ふゆき。私が普通の人間に見えるか?」
「見えない……。いった!グーパンはやめろって……。自分で聞いてきたんじゃん」
「そうだが、何かムカついた」
あれ、前もこんなの無かったか?まぁいいや。
「いって~。で、続きは?」
「私は普通じゃないが、楽しく生きてる。そう言う事だ」
うん。いいことを言った。
「はぁ?なんだよそれ?」
「お前にぶいな~、お前がいいなら、それでいいんだよ。女が怖かろうが、男が好きだろうが、それを我慢して生きていこうが、お前の自由だ。自分で考えろ」
なので、私も早く、自分の未来のことを考えたい。まだ、空いてるかな?
「結局は、自分で考えろって……」
「まぁ、人様に迷惑をかけないのであれば、何でもいいんだ。お前が一人になったら、私が遊んでやるから、安心しろ」
コイツは、何だかんだで役に立つからな。
「いや、つっこみドコロしか無いんだけど……。公子さん有言実行って言葉知ってる?しかも、遊んでやるって……迷惑かけられる気しか……いって!」
「ムカついたら殴る。有言実行だ」
グフフ……私は賢いのだ。
「なんだよそれ……。まぁ、いいや。なんか、色々とふっきれたよ。ありがとう」
「おう、何か知らんが、頑張れ」
私は私で頑張る!
さてと……。お!空いてる。エントリープラグ接続!公子ゲリオン!発進!
5万円通過……。公子……活動限界です……。
何で、残酷な歌しか流れねぇんだよ!やってんだろ!この店!ダミーシステムに切り替えて、無慈悲に破壊するぞ!この野郎が!
あ、そうだ……。ダミーシステムならぬ。ダメーな弟にダメ出しをせにゃいかんかった。
……。まぁ、今度でいいか……あれは、私が悪いし……帰ろ……。
「ただいま~」
はぁ、腹減った。夜7時まで持っただけ、よしとしよう……。
「お帰り~。公子ちゃん!ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た・ーー」
「ーーめし」
戦いの後に、疲れる質問をしないでくれ……。
「そ、そう……。今、準備するわね!」
「ありがとう……。みんな帰ったの?」
悠人は、部屋か……。
「うん。悠人は、部屋で勉強してるわ。フフフ……。大学……。みんなで同じ目指すんだって」
「ほえ~。また、すごい事始めたな」
私は高校さえも、考え無かったぞ。
「役に立たない。って言われたのが、効いたみたい」
「え?そんなこと誰が言ったんだよ?酷いだろ。あんなに良い子なのに」
私だったら、そんなヤツはビンタだぞ。
「フフフ……。はい、お待たせ」
「ありがとう!いただきます!」
うむん!うまし!みるくの作る、この肉のタレ。美味いんだよな~。
「そう言えば、ふゆきくんとなおちゃん……。あの……何て言うか、お付き合いしてるのかしら?」
「ん?なんで?」
お、さっそく行動したのか。若いって本当にいいね~。
「何か、ふいんきがね。カップルのそれっていうか……。いいのかしら……。その、同性でお付き合いなんて……」
「いいんじゃないか?好き同士、誰も困らん……」
コイツも普通とか言い出す……。つもりじゃ、無いらしいな……。
こっちをジッと見過ぎだって……タレ落として無いだろ?
「そ、そうなの?公子ちゃんも?そうなの?」
「ん?あぁ、まぁ……。どうだろうな。好きになったら、仕方ないんじゃないかな?知らんけど」
どうなんだろ?百合か……。
だっは!まぁ私は、あんな華やかな物にはならんな。
「そ!そうなのね!アリなのね!あ!おビールあるわよ!おビール!飲むわよね!おビール!」
「え?うん。ありがとう……」
どんだけ、ビールあるんだよ……。かぁ!うめ!
「つ、ついであげるわ!」
「お!サンキュー」
気が効くではないか~。
まったく、あの七三眼鏡は勿体ない事したね……。みるくの様な気づかいは、私には、無理だ。
さてと……。風呂風呂……。
「かむぉ~め~の公子ちゃん♪かむぉ~め~の公子ちゃん♪短い足、短い手手、ちちゃいムネ~♪今日~も、パチンコ負けちゃった~♪だっは!なんじゃそりゃ!あ~、飲み過ぎた~!ブハハハハハ!い~い湯だな!はははぁ~ん!」
あ~、気持ち~。ここで寝ていいかちら?
「き、公子ちゃん……。い、一緒に入っていい?背中流そうと思って……」
「え~、いいよ~ん。おいで~」
急に入って来なくなったのは、偉い!
「うん!今、行くわ!すぐ行く!きゃ!」
「だっは!コケるなよ!だっふんだ!つって!ブハハハハハ!」
あ~、ゆかい、ゆかい!ダイヤモンドゆか~い!つって。ブハハハハハ!
「お、お待たせ……」
「はぁ~……。でけぇな……。おし!今日はおじさんが、洗ってやろうではないか!日頃に礼だ!ほら!すわれ!」
ったく、エロいからだしおってからに、その肉まん少しよこせ!
「え!わ、私が……ひゃっ……」
「お姉ちゃ~ん……。ええ体してまんな~。ぽよんぽよんですがな~」
うわ~、本当はこんなに、やわらかいんだ……。くそ、なんか、腹立つな……!
ぽよんぽよん。ツールツル。ぽよんぽよん。ツールツル。ブハハハハハ!なんかおもろいなこれ!
「公子ちゃん……。ちょっと……もう……いいから……」
「お?どうした?私のテクニックで気持ちよくなったか?ほれほれ~」
ブハハハハハ!ういやつよの~う!
「……………………」
「ど、どうした?急に黙って……。怒った?ごめんって……。ほ、ほら……シャワー浴びて……お風呂入ろ……ね」
またやっちゃった……。
「……………………」
「……………………」
き、きまず……。はぁ、お酒……やめようかな……。
ってか、コイツが自分から入って来たんだし、私悪くない……わけないか……人の体で遊びすぎだ……。
「公子ちゃん……。もう、無理……。私……。我慢できない……」
だっは……。そりゃそうだ……私だって、私は無理だ……。こんなヤツの友達なんて……世話なんて……やってられない……。
「そっか……。ごめん……。大丈夫だから……もう……無理しなくてもいいよ。今まで、ありぉぉぉぉ!?」
おい!みるく!急にかかえるな!?
ど、どこ行くんだ!げ、げろが出そうだ!す、捨てに行くのか!私を!キミ捨て山に捨てに行くのか!?
「い、いいのよね!?き、公子ちゃん!いいって、言ったわよね!?無理よ!もう!とまんないから!」
「え、へ?……。あわ~ぁあ!な、なに!してんの!?」
ぐはぁ!か、体が言うことをきかん!ぎゃ!そ、それは、ダメだ!ち、ちく……うはぁ!
「好きよ!公子ちゃん!愛してる!はぁはぁ……。公子ちゃんの全部が欲しい……。私の全部をあげたい……。はぁ……愛してるわ……」
「お、おいそ、そこは……。未開封……ぐはぁ!?」
目、目が……。すわっておられる……。こ、これは、アカン……。アカァァァァァン!!!
結論……。星3ツでした……。
朝チュンは逃げ。私もそう思うが……。ナメナメこりこり……。お上手でした。としか、言えない……。
「お、おはよう……。公子ちゃん……。フフフ……今日は、何食べたい?」
「…………。オムライス」
どうしよう……。
「うん、わかった……。ねぇ……。チュウしていい?」
「…………うん」
みるくが……。
「ちゅ……。えへへ……じゃ、行ってくるね……」
「うん……」
可愛く見えるんだが……。
う~ん……どうしよう……。
ん?何を?ん?何を?どうするんだ?別にひとりでする事を。二人でやったってだけ……か?
愛とかはわからんけど、別にみるくを嫌いじゃないし、美人だし。飯も美味いし。気が利くし。優しいし。お金持ちだし……。
はて?何を?どうするんだ?
「公子ち~ゃん。悠人~。準備出来たよ~」
まぁ、いいや。ご飯食べてから考えよ……。
「あ、あのさ……。二人が、仲が良いのはいいんだけど……。もうちょっと声抑えてもらっていい?」
「あら……。ごめんね悠人……。その……お母さん嬉しくて……。つい……フフフ……」
「いや……。わかってくれれば……いい……」
「……すまん……」
いいのかい!
と、とりあえず!避難しよう!いつものお店で一回、思考をリセットしよう!
うわぁ……。これ、完全にヤバいんじゃないのか?普通に……。がぁぁぁ!普通ってなに!?わからぁ~ん!!!
「あ、公子さん……おはようございます」
「お、おはよう……。公子さん」
「お、ふゆきになおちゃん……。お!お手々なんて、つないじゃって~。もしかして~」
「うん……。その……。付き合い始めた……」
「ありがとうございます。公子さん……」
「あ~、ノロケは結構です。だっは!人生は短いのだ!今を楽しめ!若者よ!」
いや~、何か嬉しいな!今日は勝てそうだ!
「ハハハ……。なんだよそれ。それに公子さん、若者じゃないのに、毎日楽しそう……いて……」
「やかましい。人生楽しんだもの勝ちなのだ!だから、私は今を全力で楽しむのだ!」
楽しまんと、やってけねぇわ!
「まったく……公子さんらしいや。あの……。本当にありがとうね……。俺、なんか、わかんないけど、俺らしく頑張ってみるよ」
「わ、私も……。頑張ります」
「え?頑張らんでいいだろ。自然にしてろ。その内なんかわかるだろ……。知らんけど」
私は未だに、なんもわからん。
でも、まぁ、今日がいい日であるのはわかる。人生そんなもんだろ!
普通とは。その人達が生きる自然体の生活である。という事で許してくださいw
公子さんの普通は毎日パチンコに行って負けるですw
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