ゴーストバスター公子ちゃん
ぴよの家の話
「うちの者どもが。本当に申し訳ありませんでした!これ……慰謝料です。どうか、お納めください。これで……昨夜の事は……なにとぞ穏便に……」
「あ、いえ……。ありがとうございます」
まじ?100万もろたんだが……。みるく……。お前。親父さんに何いったんだ……?
パチンコ負けた日の夜……。みるくと勉とみるくの親父さんが謝罪に来て……金とみるくと勉をおいて帰った……。
まぁ、警察沙汰や世間体を守る為に、金を持ってきた来たのだ……。
え……。怖いんだけど……100万とか……。
お金があると不安で寝られんのだけど……。でも、パチンコ以外で使う事はねぇし……。どうする?とりあえず、机の隠し引き出しに隠しておこう……。遺書と一緒に。
それから……2週間……。ギブスも取れ……。出勤出来る様になったのだが……じいさん達が帰って来ない……。
「みるく何か聞いてる?」
「何か、世界一周してくるっていってたわよ?凄く嬉しそうに。仕事は好きなときに出勤しなさい。だって。今は筋美先生が変わりにやってるそうよ?」
「そう……」
筋肉か……。あんまり会いたくない。
「公子ちゃん……。仕事したくないなら、言ってね……。私……。持ってきたから……きゃっ」
「だから……。それは、勉とお前で使え」
コイツはまったく……。
仕事はしないとな。本当に人生転落してしまいそうだ……。と言う訳で久々の出勤なのだが……。みるく……。なんで、ついて来てんだ!
「ここが、公子ちゃんの職場なのね……。それで私は、何すればいいの?」
「いや、家に帰って、家事だろ?お前はあの家のメイドだろ?」
何で手伝う気、満々なんだよ?
「だって、あの家……。出るんだもん」
「何が?」
「女の子のお化け……。書斎から時々覗いてるの……いたい……何で叩くの?」
「お化けなんて、気のせいだ……。そして、その子は良い子かもしれんだろ?」
「そう……かも知れないけど……。怖いわよ……」
「……。てか……見えるの?」
いや、やべえだろ……。さくらちゃん……成仏してねぇんかい!まぁ、そらそうか……。
「うん……。時々だけど」
「そう………………。今日から一緒に寝てあげるから、家に帰りなさい」
うん。一生懸命、仕事するには、ご褒美は必要だろう。
「ほ、本当!わかった!じゃ、お仕事頑張ってね!」
「うん」
だから……。手を振らなくていいって……。さてと……。昼まで、ゲームの時間だな。
「公子さん。お帰り~」
「あぁ。ふゆきか……。お前の教室は向こうは反対側だろ?何でここにいるんだ?」
「朝、勉に聞いた~」
「そうか、仲良くしてんのか?」
「うん。してる。でさでさ!公子さんって今日、何か予定ある?」
「予定は……あるな。予定がありすぎるが、一応。何で、予定を聞いたか聞いておこうか……。予定はあるがな……」
私にだって予定くらいはある……。
パチンコ行って、帰って。ご飯を食べて寝る。うん。完璧だ!充実し過ぎじゃないか?私の最近の生活。
「ハハハッ!予定予定言い過ぎだって、やっぱり、公子さんおもしろ」
「で、何なんだ?さっさと話さないなら、教室へ行け!ってか、話さなくて良いから教室へはよ行け」
とっくに授業始まってるだろ。
「あのさ……ピヨの事なんだけど……。ちょっと……。匂いが気になる。っていうか……」
「はぁ?おまえ、何をカミングアウトしとるのだ?私は、百合なら行けるが、BLはほとんど知らん。匂いフェチでもない」
本当に、何を言ってるんだコイツは?
「いや、何言ってんの?公子さん?BLとか俺も知らんし。匂いフェチでもない。最後まで話し聞いてから言ってよ」
「チッ。違うのかよ?つまらん。続けろ」
まったく。少し、お?っと思ったじゃあないか……。
「いや。舌打ちって……。それで……。何か、風呂もあんまり入ってないみたいでさ……。この前、放課後学校で服洗ってるの見かけて、気になって……」
「それで?何で、それを私に言うんだ?」
水道が止まった時は、公園の便所でパンツとか普通に洗うけど、なんかアドバイスでもすれば良いのか?
「いや~。公子さんなら、理由聞けるかな~って」
「は?なんだそれ?私にはデリバリーが無いとでも言いたいのか?シバくぞお前」
一応、気を使うくらいは出来る。したくないってだけだ。
「デリカシーでしょ?いや。まぁ、それもそうなんだけど……いて!、ごめんごめん。売り物で叩かないで……。俺って、ほら……。親戚の家に居候してんじゃん」
「じゃん。って……知らんけど」
何で最近のヤツらは、自分のこと知ってるでしょ?って感じで話してくるのだ?
「でさ……。その、ピヨが困ってるなら、風呂とか貸してやって欲しいな~って」
「風呂ねぇ……。ふゆき。想像がゆたかなのはいいが、ピヨはそれで。困ってるのか?私も夏になったら、ワキが匂うから時々便所で洗うぞ?」
「え?……。マジ?」
「おいおい、お前、夏場の体臭舐めんなよ」
一日パチンコ打った後はヤバいぞ?でも。なんか自分の匂いって臭くないんだよな。何でだろう?
「舐めてないけどさ……。公子さんはそれで良いかもだけど……。それでピヨ……。クラスで……はぶかれててさ……。それで、いつもここにいるっぽいんだ」
「…………」
先にそれを言え馬鹿者。私が臭い体。臭体の醜態ばなしをする前に……。
なんだっけか……するめハラスメント?臭いセクハラ。コンビニの店長が臭かったからわかる……。あれは、自覚するべきだ。
私もそれなりに臭いが、自覚してる。だから便所で洗う。ピヨも自覚してるから洗うんだろう。
貧乏少年……。我が友よ……。可哀想にあの年で……。
体臭の濃いお姉さんが、先輩としてしっかり、アドバイスしてやろうではないか……。
「公子さん……。その……。ありがとうございました。お金……。何かあったら、言って下さい!何でもお手伝いします!」
「気にするな……ピヨ」
ん?そこまで臭くないじゃないか。私の脇の半分も匂わんぞ?これで、こんなに良い子をハブとか……クラスの奴ら正義執行してやろうか?
「……。やっぱり……。臭いですか……。僕……」
「え?何で?」
「怖い顔……してたので……」
「え?いや、お前をハブにした奴らをどう、処刑しようかと考えてたんだ」
ベットボトルロケット爆弾ぶち込み作戦の辺りで、顔に出たか……。
「ちょっと、公子さん……変なことはやめてね。本当にやりそうだから……いた!」
「やらんわ。勉、やっぱり気になる?ピヨの匂い?」
私は本当にあんまり気にならん……。私をクビにしたコンビニ豚のおかげかな?
「うーん。時々?でも、そんなの人それぞれだし、パチンコから帰ってきた時の公子さんの方が、煙草の臭いも混じっててくさ……いった!グーで叩かないでよ!もう!」
「女性に臭いとか言ったら、こうなる事を覚えておけ」
まったく。自覚はしているが、言われたら腹が立つのだ。
「ごめん悠人君……僕のせいで……」
「気にするなピヨ。勉の自業自得だ。なんだ勉?何か文句あるのか?そうか、ないか、よろしい……」
子供は素直なのが一番だ!
「うち……。貧乏でその……。電気止まってて……」
「ピヨ!それ以上は言わなくていい!いいぞ!わかるから。良く言った!ウチも良く止まってたからな……。人に言うのは恥ずかしいよな……。よし!ウチで風呂入れ!洗濯もだ!」
家庭の事情は色々ある。だが……ぴよが困っていたら、助けてやらねば!人生の……。いや、貧乏生活の仲間……。私は貧乏先輩なのだから!
「で、でも。ご飯代まで貰っておいて……」
「子供が大人に気を使うな!この貧乏先輩に任せておけい!」
今日はみるくに、迎えに来て貰お……。
さてと……。そろそろ来るかな……。
「お待たせ!こんにちは!悠人の母のめぐみです。どうぞ、遠慮せずにのってのって、今日はね!悠人のお友達が来るって聞いてね。美味しいお菓子買ったの!」
「あの……。春山勇気です。よろしくお願いします」
「俺、木下冬樹です。よろしくお願いします。スゲ~、ベンツとか初めて乗った。シートふわふわ……。うわスッゴ」
「何で、お前もいるんだ?私が招待したのは、ピヨだけだぞ?」
シートの上でボヨンボヨンするんじゃない!私も最初したけど。
「え、友達だから?まぁ。いいじゃん」
「悠人……。こんなにお友達が……。お小遣いもっとあげなきゃ……。ねぇ?あなた達、月額いくらでお友達やって……きゃっ!?」
「馬鹿者。コイツらはレンタル品じゃないんだ。さっさと行け」
この女はまったく……。
「公子さん……。大人にも容赦ないのかよ……」
「フフフ……。いいの!公子ちゃんはお友達!だからお金がかからないお友達!なのよフフフ……」
「え?お金がかからない……。お友達……?」
「ふゆき。気にするな……。コイツは夢の世界の住人なのだ……。麺ラーなのだ」
家の中でもかまって貰おうと色々するから、ツッコむのにも疲れた……。
「メンラー?メンヘラってこと?」
「もう、違うわよ!私お友達なのよ!だって、今日もお菓子買って来たの。プリン!公子ちゃん好きでしょ?プリン!」
「…………。あ、そうだ。勉は?」
「私の自転車で、後から帰って来る」
みるくタクシーを呼んだのはいいが、明日の足が無いと困るからな。
「え?ひどくね……?」
「いいのよ。冬樹君、あの子。私が公子ちゃんに買ってあげたゲーム機。とっちゃったんだ……いた~い」
「はよう行け……」
とったんでは無くて、スウィッチは私があげたのだ。いっぱい買って貰い過ぎて、怖くなって。罪悪感を勉にプレゼントしたのだ。
「は~い……」
「何か、公子さん……ヤバ……」
私では無く。私の周りがおかしいのだ。
家に戻って、勇気に風呂と洗濯機を貸してやり。夕飯を食わせた……。ふゆきも一緒に食った。
あつかましいヤツだな。と思ったが。勉も合流して楽しそうなので、まぁ良いだろう……。
日も陰り出したので……。それぞれをみるくタクシーで送た。
「おい、ぴよ。これ……親に渡して電気代払って貰え。電気無いと勉強も洗濯も風呂もできんだろ」
親はどうでもいいが、子供に罪は無いし、100万あってもどうせ、パチンコに消えるからな。目の前にいるコイツに募金してやろう。
「5万円も……。でも……僕……。返せない……」
「返さなくていい。返したいなら、大人になったら返しにこい」
うわ!私……。なんか格好いいな!
まったく、泣くなよぴよ。ボッチの森の貧乏仲間だろ。貧乏でも気高く強く生きるのだ!
「ありがとうございます」
「おう!」
しかし……。台風が来たら吹き飛ぶんじゃないのか……このボロアパート。ってか長屋式の家ってまだあるんだな……。
そして……。勇気を送り届けたのまでは、良かったのだが。その次の日から……。勇気が学校に来なくなってしまった。
借りパクか!この野郎!と最初思ったが……。ぴよはそんな子供じゃない。風邪か病気だろう。と私は思っていた。
しかし……。全然違った。この私……。公子さんはまた、やってしまったのだ。
「いたよ!勇気……。中央駅近くの……。パチンコ屋近くの橋の下に、一人でいた!」
「そうか!すぐ行く!逃がすなよ!」
勇気の馬鹿が!お金の事なんか気にするなって言ったのに……。
私は勇気が来なくなって3日目の仕事終わり。勇気の住むボロアパートに、ヤクルトを買ってお見舞いに行った……。
親父と暮らしてると言っていたので、親父は留守だろうと思っていたのだが……。
私の予想は外れ……家にいた。一人で家にいた。
私の予想は、最初の始めから……大ハズレだった……。
親子2人寄り添って、懸命に頑張っているのだろう。と勝手に思っていた。人の話は最後まで聞こう……。まったくその通りである……。
「アンタ……。誰だ?」
お前が誰だ?と聞きたかったが、この家も鍵をかけないお家の様で、勇気の返事が無かったため、死んでんじゃないか?と思い。勝手に入ったのだ。驚くも無理はない。
住人の不法侵入者へ対しての反応は……。正しかった。正しかったのだが……。
「私は……。勇気君の知り合いの佐倉公子と言います。勇気君は……?」
髭……何年そって無いんだ……コイツ……。きばんだランニングに……だるだるのジャージ……。私よりもガリガリだし……。酒くせぇ……。
「あぁ~。公子さんですか……。お金ありがとうございました……。実はあのお金……借金取りに持って行かれまして……なので……まだ電気通って無くてですね……その、返せと言われましても……」
台所には……積み上がった弁当ガラ……。それにたかるゴキブリ……。たまった生ゴミに……。これ、ペットゲージか……?何かのクソがそのまま……。本体がいない……。そして、部屋中に散乱するゴミと……。酒パックにカンカン……。奥が勇気の部屋か……。大きな仏壇があるけど……。アイツ仏壇と一緒の部屋なのか……?
「あ。仏壇、気になります?これ……妻のなるみです。コイツにいいの買ってやろうと思いましてね」
「そ、そうですか……」
コイツって……それ、骨壺……。頭元に置いてんのか……?
「あの……。煙草1本貰えません?」
「は?」
何を言ってんだコイツ……。
「あ、いえ。その前ポケットの膨らみ……煙草かな~と思いまして……。あ!ありがとうございます!…………。いやぁ、美味いなぁ!いい人ですね公子さん!本当にいい人だ!いや~いい人っているんですね~、もう、金貸してって言っても、誰も貸してくれないし、勇気に学校やめさせようか。と思ってたんですけど、今時、高校位は行っとかないとでしょ?だから、貧乏だけど、つつましく…………」
「貧乏だけど……ね……」
公子ちゃん……。怒りたいのはわかるけど……。これは人様のお家の問題だから。ね。とりあえず……勇気を探すのが先決だろ?
「ハハハハハ!煙草も買えないんですよ~。お金無くて……。ほら、ウチ……生活保護でしょ?だからお金無いんですよ~。やっぱり、お金は大事ですよね~」
「お金は……いいので……。勇気君どこ行ったか知りませんか?」
でしょ?って。知らん……。金金かねかねカネカネ……うるせえなコイツ……。
「え?お金……。返さなくていいんですか?ハハハハハ!冗談ですよ。勇気ですよね?知りませんよ。学校でしょ?行って無いんですか?たっかい金払ってんのに?アイツ帰ってきたら、説教しなきゃいかんな!ハハハハハ……」
「わかりました……。失礼します」
説教ね……。もう無理だ……。さっさと帰ろう……。勇気は寝るときにだけ帰せばいいじゃない……。だから、もう帰ろう公子ちゃん……。
「あのぉ~……。公子さん……。1000円貸して貰えません?煙草買いたくて……」
「ぁぁあああああああん!?てめぇ!!!自分の煙草の前に、子供の心配しろや!ゴラァ!」
偉い!偉いよ公子ちゃん!ビンじゃ無くて、パックにしたのは英断!多分ビン投げたらコイツ死んじゃうし、私達も世間的に死んじゃう……。
「な、なにするんですか!け、警察だ!警察!呼んでやる!」
「おい、じじい。この部屋と生活を見ろ。これは子供虐待だ。犯罪だ。私は困らん。警察?好きに呼べ……」
いや、不法侵入。お酒のパックでも投げたら罪にはなるんじゃない?呼ばれたら困るよ?
「虐待?アンタは何を言ってる?僕は子供を叩いて無いぞ!?」
「話しにならん。アンタに何があったかは知らんし、興味無いけど……。この部屋で腐るんなら、一人で死ね。勇気を巻き込むな。アイツは私が貰う」
もらうって……。公子ちゃん……。
「おい!アンタ!何を言ってるんだ!おい!」
あの部屋に武器が無くて良かった……。
さて、勇気を探さないと。あの酒カス親父は学校に行ってるって思ってたし。
夜、は帰ってるのか。あの酒カス……追ってもこねぇし……。
しかし……。追って来られても面倒だな……。家に1万投げ入れとこ……。示談金は大事だ。
とりあえず、レインのブロック解除して……。
「ふゆき。勉と一緒に勇気を探せ、今すぐにだ。理由は後で教える」
そうして……ふゆきが勇気を見つけた。
もちろん、私も探した……。自分が学校をサボって行きそうな。ゲームセンターや、本屋、等々……。真夏に外にいるとは思わんだろ。
私は、勇気達と合流して勇気に学校を休んだ理由を聞いた。
あの後勇気は、私が渡したお金を素直に親に渡し。酒や煙草。飲みに行く軍資金として全部。酒カス親父に使われてしまったらしい。
「公子さんに合わせる顔が無くて……。ごめんなさい」
学校に来られなくなった理由……。それは、私が勇気に渡した……お金だった。
「いいから、帰るぞ……。もう泣き止め……。家にプリンあるから」
ごめんな勇気……。私が中途半端な事して……追い詰めちゃったんだな……。
その後、私と勇気はふゆきとわかれ、家に戻った。
そして誰に聞かれる訳でもなく。プリンを食べながら、母親が死んでからの話しをぽつりぽつりと勇気は始めた……。
流石の私も興味無い。とは言えなかった。
「本当は、優しくて。真面目なんです。お父さん」
それは、優しく……真面目な男が。愛した妻を失った悲しみで……闇に落ちていく話しだった。
私にも心の痛みはわかった……。だが、同情は出来なかった。
一時期腐りかけたが、今私は生きている。そして……。子供を巻き込むのは、間違っていると思ったのだ。
「と言う事で、一時ここから学校に行け。ぴよ。お前の親父には言ってある」
もらう。って言ったから、大丈夫だよな。1万置いて来たし。
「でも……」
「お前の事が心配で……必要だったら。その内……。お前の親父が迎えに来るだろうさ。その時はふたりで家に帰ればいいさ」
死んだ人間にこがれる男じゃ無く……。お前のお父さんが来たらな。
「うん……。ありがとうございます。公子さん……」
「あ~、もう!泣き止め!泣き止まんと、プリン!もうやらんぞ!」
まったく、すぐ泣きやがってからに!グフフ……。まだまだ、子供よのう……。
子供だから、大人が作ってやらねばいかんのだ。子供の安心して過ごせる逃げ場所を……ばあちゃんが私に作ってくれてたように……。
セルフネグレクト~ネグレクト~。お互いに自覚が無くてもハタから見たら。世界が全然違うんですよね。
次回は……。まだ考え中ですw
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