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苦手な方はご注意ください。

妃と恋の指南書

作者: 折田高人

 月光が照らすは御桜館。月明かりが映える白い館の中で、一人の少女が鼻歌交じりでシャワーを浴びていた。

 美しい少女だ。金糸の如き鮮やかな髪と、蒼玉のような澄んだ瞳。女神を思わせる豊満な肢体の曲線をシャワーの雫がなぞっていく。

 そんな少女を曇りガラス越しに見つめる瞳があった。

 瞳の主の表情は見えない。ホッケーマスクが顔を覆い隠している。

 顔を隠しながらも、その表情に歓喜の念が浮かんでいるのが見て取れるようだ。

 手には鉈。ハアハアと息を荒げながら、浴室の扉に手をかける。

 まさにその時だった。

 後頭部を鷲掴みにされる感触。

 振りほどこうとする間もなく、凄まじい力で宙に吊り上げられる。

 ホッケーマスクの瞳に映るもの。赤い双眸が彼女を見つめていた。


「いや違うんです。妃姉様に悪い虫がつかないように見張っていただけなんです。決して、決してお姉様の入浴シーンをこの目に焼き付けようなどとは……」

 ホッケーマスクの少女が告げる。白いワンピースの少女だ。ホッケーマスクが絶望的なまでに似合っていなかった。

 そんな少女の頭を鷲掴みにしているのは、メイド姿の白髪の美少女。

 彼女は少女の言い分を聞き流し、窓を開ける。月の綺麗な夜だった。

「え? ここから? ここからですか燈子さん? できれば玄関から放り出していただく……ああああああ!」

 窓からホッケーマスクの少女を投げ捨てる。

 顔面から地面にダイブする少女。倒れ伏したその姿は、夜風に乗って薄れて消えていく。

「ふう。さっぱりしましたわ~! あら?」

 浴室から姿を現す金髪の少女、滋野妃。しっとりと濡れた肌が赤み掛かって艶やかだ。

 そんな彼女の前で、メイド少女は窓をしっかりと施錠していた。

「燈子さん、また何か怪異ですか?」

「いや。虫が一匹紛れ込んでいてな。外に逃がしてやっただけだ」

「まあお優しい」

 燈子と呼ばれたメイドの少女は、肩を竦める。

「ああそうだ、妃。いつもの奴、冷蔵庫に補充しておいたぞ」

「ありがとうございます。燈子さんもそろそろお風呂、どうですか?」

「もう一度館を見てからにする」

 そう言って、燈子は館の見回りに戻る。その足元に、毛むくじゃらの獣が付き添う。

 その後ろ姿を見送りながら、妃はキッチンへと足を運ぶのだった。


 御桜館。見かけだけは豪奢な雰囲気のこの白亜の洋館は、しかし堅洲町最大の曰く付き物件であった。

 過去に事件があったなどという事実がないにもかかわらず、一日に起きる怪異の回数だけが十数回は下らない。正直、こんな館を学生寮として開放している高校の連中は頭がどうかしていると宮辺響は考える。

 もっとも、貸し出す方も貸し出す方なら借りる方も借りる方。一番安く済む寮というだけでこの館に二か月も住み続けているあたり、響も相当に肝が据わっていると言えた。

 ちなみに二か月という滞在期間は、この館が寮として開放されてから最長のものである。見た目と値段に騙されてこの寮を希望した学生の大半が、三日以内に出ていったことを考えると異常ともいえる日数だ。現に響達は、この館を知る学校関係者からは奇異の眼で見られていた。

 そんな館の客間にて、風呂上がり後の響達は読書に勤しんでいた。

 響の手には手書きの分厚いノート。親が保有していた夜音秘抄なる魔導書の写本から、響が自らの手で使えそうな魔術を抜粋したものであった。

「ねえ、環ちゃん? この主人公さん、妹さんが野盗に襲われて亡くなったって前の巻に書いてあったよね」

「そーだよー」

「じゃあ何でこの巻では町長の息子さんに毒殺された事になってるの?」

「分かんなーい。次の巻だと悪い魔法使いの呪いで亡くなったことになってるけど、些細な事だよー」

「ええ……」

 ソファに寝転がりながら駄弁る環に、その隣で礼儀正しく座りながら手にした本の内容に困惑する金髪の少女、遼。

 響がチラと目をやると、遼の前に積まれた本には「黒の伝道師」「黒の貴公子」「黒い狩人」等々のタイトルと共に、剣を持った騎士らしきイケメンのイラストが描かれていた。著者ヘレン・ファウスト、イラスト宿主拳。環が愛読しているライトノベルのようだ。

「やっぱり、お風呂上がりにはコレですわ~!」

 客間に妃が入ってくる。手にしているのは足立乳業の牛乳と一冊の本。

 ソファに腰掛け、本を開く。読み始めたのはロビンソン・クルーソー。普段聞きなれない冒険物語ばかり読む妃にしては、珍しくメジャーな小説である。

 静かに過ぎる夜の一時。燈子が入浴を終えると、ようやく響達は各々が個室へと引き上げるのであった。


「あら? あらあら?」

 しとしとと雨が降る放課後の堅洲高校。

 傘置き場の前で、妃は困惑の表情を浮かべていた。

「どうした?」

「私の傘がありませんわ」

 今日は朝から雨が降っていた。

 当然、響達は傘を差して登校してきたのだ。家に忘れてきたなどありえない。

「困りましたわね……これからマモン協会にお呼ばれしているのですが……」

 そんな彼女の声を聞きつけたのだろう。周辺の男子達が響に群がりだす。

「妃さん! よかったら俺と一緒に帰りませんか?」

「邪魔だ! 滋野さんと一緒に帰るのはこの俺だ!」

「お嬢様! こちらの傘の方が広く快適であります!」

 一瞬で昇降口に人だかりができる。

 帰宅しようとする生徒達の迷惑そうな視線もお構いなしだ。

 何せ、妃は財閥令嬢。彼女と親密になれば甘い蜜が啜れると考える輩は多い。

 そうでなくとも、見目麗しい妃の事を純粋に彼女にしたいと思っている男子もまた多かった。

 そんな男子生徒達に対し、制止の声が飛んだ。

「君達! 昇降口で騒ぎ立てるな! 他の生徒達に迷惑だ!」

 生徒会長、天海光秀の声だった。

 眼鏡の奥に怜悧そうな瞳が浮かぶ容姿端麗な青年だ。

 学年一の頭脳と抜群の運動神経、正義感溢れる言動から女子からの人気が高い男だ。

 生徒会長様相手では分が悪いと悟ったのか、散り散りに去っていく男子達。

 ようやく平穏を取り戻した昇降口で、天海は妃に微笑みかけた。

「災難だったな。相変わらず人気者だね、滋野君」

「もみくちゃですわ~」

 眼を回す妃の呑気な言葉に天海は苦笑した。

「今度は何が原因なんだい?」

 入学式以降、妃が複数の男子生徒に言い寄られることは日常茶飯事となっていた。

 そんな彼女を気に掛けてくれているのか、この三年生の先輩は定期的に表れては群がる男子生徒達を退散させていた。

「私の傘、無くなってしまいましたの」

「何だって? それは大変だ。よかったら私の傘を……」

「ほらよ、妃」

 天海の声を遮って、響は自分の傘を妃に手渡した。

「急ぐんだろ? 私のを使え。寮に戻れば返してもらえるしな」

「でも、それだと響さんが濡れてしまうのでは?」

 妃は躊躇っていた。自分の落ち度のせいで親友が濡れネズミになるのは、気分が悪いのだろう。

「どうしても気になるって言うなら、甘いもんの大判焼きでも奢ってくれ。それで貸し借りは無しだ」

「……有難うございます、響さん。それでは」

 決心がついたのだろう。妃は受け取った傘を差し、急ぎ足で校門を去っていった。

 昇降口で悶着を起こしている内に雨は強くなっていた。響としても、流石に濡れネズミは避けたい所だ。

 響は申し訳なさそうに、隣にいるくすんだ金髪の少女に頼み込む。

「ハル、悪いが一緒の傘に入れてくれ」

「あはは、いいよ。響ちゃん」

 親友同士の微笑ましいやり取りを見たためか、遼の顔は綻んでいる。

 雨の中ではしゃぐ環と共に、響達も帰路に就く。

 昇降口には、傘を貸しそびれた天海がぽつんと佇んでいた。


 雨の中の何時もの帰り道。響達の眼に巡査が男に注意をしているのが飛び込んできた。

 男の手には段ボール箱。雨音に紛れて、時折弱々しい猫の鳴き声が聞こえてくる。

 どうにも猫を捨てようとしていた所を巡査に見つかったらしく、男は厳しい言葉で叱責されていた。

 もっとも、男の表情はどこ吹く風だ。自分は悪いことなどしていないといわんばかりに、巡査の叱責を聞き流している。

「さいってー!」

 いつもは能天気な環の表情が、珍しく憤りに塗れていた。

 こんな雨の日に猫を放置するなど、命をみすみすドブに捨てるような行為であった。なにより。

「あいつ、ここらへんで頭潰しが出るって有名なの知らないの? じょーじゃくだよじょーじゃく!」

「頭潰し?」

 聞きなれない言葉に遼は首を傾げた。

 そんな遼の疑問に対し、響が環の言葉を引き継ぐ。

「何か、このあたりに出る変質者だったな。捨て犬だの捨て猫だのが頭を潰されて殺害される事件が多発しているんだ。実際、私も犠牲になった猫を見たことある」

「そーだよ! そんな危ない所に猫ちゃんを捨てていくなんて、きっと犯人のしんぽー者だ! 猫ちゃんを生贄に捧げているんだ!」

 そんな雑談をしている内に、御桜館の門にたどり着く。

 一歩足を踏み入れると、桜の大樹がお出迎え。根元に死体が埋まっていると噂される大桜も、今では花をすっかり落として緑の装いに包まれていた。

「あ! ハミちゃ~ん!」

 玄関に蹲る黒い塊を見て、それまで不機嫌だった環の顔に笑顔が戻る。

 黒猫だった。環の声に瞑っていた眼を軽く開ける。金色の瞳が覗いていた。

「ただいま! ハミちゃん!」

 環の挨拶に尻尾を一振りするだけで答える黒猫。そのまま瞳を閉じ、雨音を子守唄に昼寝に戻る。

 なんともふてぶてしい態度。同じ黒猫でも、教会で牧師が飼っているオスカーの方は愛嬌たっぷりに懐いてきたものだ。

「ハミちゃ~ん。雨も降ってるし、お家に入ろ?」

 黒猫は答えない。御桜館の怪異を察しているのだろうか。それにしては豪胆だと響は思う。

 この御桜館に住み着いてからこれまで、敷地内では動物の類を見たことがなかった。

 虫は蛙は言うに及ばず、空を飛ぶ鳥ですら敷地の上空にさえ近づかない有様だ。

 唯一の例外がこの黒猫であった。普段から吸血桜の木陰で昼寝をしているこの怪しい黒猫に、環は片喰と名付けて可愛がっているのであった。


「悪かったな。助かった」

「ううん。いいよいいよ大丈夫」

 流石に一人用の傘に二人で入るのでは全身を雨から守る事は出来ず。響は遼と共に濡れた半身をタオルで拭いていた。

 客間でくつろぐ三人の前に、燈子がココアを置く。

「湿度が高いな。こんな日は怪異が多くなるものだが……」

 室内に置かれた姿見に、「そうだね、いやになっちゃうね」と相槌の血文字が現れる。

 あっさり雑巾で拭き取られる血文字。痕跡も残らずピカピカだ。

「手際良いな」

「そういう契約だからな」

 こともなげに対処する真白なメイド少女、楢燈子。

 彼女は人間ではなかった。この館の怪異に対処すべく、響によって呼び出された使い魔である。

 契約に忠実で、この館に呼ばれてからは黙々と怪異の対処にあたっている。

 それに加えて気が利く質らしく、掃除や料理などの家事に関しても、頼まれていないのにも関わらず完璧にこなしている有様であった。

 契約外の事柄にまで手を貸してくれるこの使い魔に、響は頭が上がらない。流石に働きすぎだとも思ってはいるのだが、ついつい甘えてしまう響達なのであった。

「さすがに疲れただろ? 休憩しようぜ」

「そうだよトーコちゃん! ゲームしよゲーム!」

「ふむ。負けんぞ環」

 ようやく仕事を切り上げて、ソファに座る燈子。その足元には犬とも猫ともつかない奇妙な獣が纏わり付いていた。

 燈子はその毛むくじゃらを膝の上に抱え上げる。獣は奇妙な人形を加えて尻尾を振っていた。

「ご苦労、刈萱。お前も休め」

 そういって獣を撫でる。獣は目を細めて気持ちよさげだ。

 刈萱と呼ばれたこの獣もまた、この館に侵入してきた怪異であった。

 当初は契約通り追い出そうと思った燈子であったが、この獣は何故か燈子に懐き、怪異掃除の手伝いを率先して行うようになったのだ。

 元々が脛の辺りをウロチョロするだけで大した害がないこともあり、そのまま放置する事となったのであった。

 燈子は刈萱の加えていた人形を机の上に置くと、環と共に対戦格闘ゲーム「マニトゥ」に興じ始める。

 そんな彼女達を眺めつつ、響はココアを口にしようとする。

 人形と目が合った。否。人形には目がなかった。眼窩が空洞となったおかっぱ頭の和人形。口が三日月にように裂けている。

 なにやら人形から音がした。三日月状の穴からゆっくりと響いてくる。「ホホホ……ホホホ……」と抑揚のない笑い声。

 それに反応したのだろうか。燈子の膝の上にいた刈萱が、机の上に飛び乗って人形でじゃれ始めた。

 再び人形の空虚な瞳と目が合う。助けて欲しそうな感情が伝わってきた。

 勝手に動く人形を見て青ざめている遼を余所に、響は刈萱を摘まみ上げ膝に乗せた。

 玄関の扉から声が聞こえてきた。

「ただいまですわ~」

 妃の帰宅である。

 その手には大量の大判焼きが詰まった紙袋。

「おう、お帰り。どうだった?」

「最高でしたわ! 海賊の秘宝を巡る冒険譚! その中の金貨を見せてもらいましたわ!」

 頬を紅潮させながら、妃は口早に捲し立てた。

「妃、まずは着替えてこい。その間にココアを入れておいてやる」

 対戦相手の続きを遼に任せ、燈子は妃から大判焼きの袋を受け取りキッチンに姿を消した。


 燈子がココアと大判焼きを皆の前に配っていると、着替えを終えた妃が客間に現れた。

 ソファに座ると、さっそく人形に気付いたようだ。相変わらず「ホホホ…」と笑う人形の前にも、何故かココアと大判焼きが供えられている。

「どなたですの? この子」

「知らん。後で人形部屋に放り込んでおく」

 人形室。御桜館の一角にある個室だった。不気味な西洋人形が多数収められているが、現在では環がゲームセンターでとってきたぬいぐるみ達が新たな住人となっていた。

 刈萱を撫でながら、環と遼の対戦を眺めている燈子。本を取り出し読み始める妃。

 いつもの御桜館の午後の風景だった……否、はずだった。

 今度はどんな冒険物の本を読んでいるのか、タイトルを盗み見た響の瞳が驚愕に染まる。

「おい、妃。なんだその本」

「ああ、この本ですか? マモン協会の会長さんがお勧めと言うので買ってみたのです。なかなかに興味深いですわ」

「いや、お前。そういうのに興味あったのか?」

 驚いた様子の響を見て、環達も妃の本を覗き込む。

 タイトルは「恋愛成就! 彼氏と行きたい如月市デートスポット」。

 色恋沙汰に興味がなさそうな妃のまさかのチョイスに、響達は目を丸くする。

「ふえ~。妃ちゃんおっとな~!」

「だだだ誰か意中の殿方が? もう告白ちゃったりとかしたんですかあ?」

 好奇心に満ちた声が広間に木霊する。

 それと同時のことだった。客間の扉を荒々しく開く音。

 ホッケーマスクの少女がそこに立っていた。

「いけませーん! 妃姉様、いけませんいけませんいけません! 私という愛らしい妹がありながら、汚らわしい男に肌を許そうなどと! 神仏が許しても、この早苗が許しません!」


「お前もしつこいな」

 燈子の冷たい言葉が雨の中に染み渡る。

 無情にも玄関の扉はバタンと閉ざされ鍵を掛けられた。

 和香鳥早苗、享年九歳。雨の中で一人佇む。

「……ひどくない?」

 館を叩きだされた少女の言葉に、側で寝ている黒猫は知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。

 長い長い亡霊生活。ようやく見出した妃という理想の姉を手に入れるため、明日も頑張って忍び込もうと誓いを立てる早苗であった。


「秀吉の野郎、私らをパシリに使うなよな」

 渋面を作って独り言つ。

 今、響と妃が向かっているのは学校の図書室だ。

 級友の一人が身内に不幸があって早退することとなり、それを職員室にいる担任の新田秀吉に伝えに行った所。

 担任は机に積み上げられた本を返してきてくれないかと頼まれたのである。

 これが試験や授業に用いるための資料ならば多少は納得もいったのだろう。

 しかし、手渡された本を見てみると、如月市の歴史についての本ばかり。

 担任が趣味で堅洲町の歴史を調べているのは周知の事実となっている。

 この教師、暇さえあれば堅洲町の歴史にまつわる話を聞いてもいないのに語り出し、授業が脱線しがちなのであった。

「まあまあ。大した量でもありませんし、これくらいのことは引き受けてあげませんと」

 妃はこの頼みごとを苦痛にしていないようだ。

 元より秘境の冒険に憧れる少女。伝承交じりの担任の話を真剣に聞いているのは彼女くらいである。

 新田が新たな話のネタを手に入れる手伝いをするとなれば、寧ろ望む所なのだろう。

 前が見えない程に積まれた本を抱えながら、大した量でもないと言い切れるあたり、相当の入れ込み具合だった。

「だからってタダ働きはねーよ。今度秀吉の野郎に何かたかってやる」

「もう、響さんったら……きゃっ!」

 あたりに散らばる本の数々。尻餅をついた妃の目の前には、ガラの悪そうな男が一人いた。

「おいおいおい……何、人にぶつかってきてんだよ。前見えてんのか? あ?」

「痛た……申し訳ありませんわ」

「申し訳ありませんじゃねえんだよ。謝意を示せよ謝意をよお」

「あーあ、やっちまったな姉ちゃん。凡場さん怒らすとこえーぞー?」

「こりゃ、慰謝料としてたっぷり可愛がってやらねーとなあ?」

「ひひひ。そのないすばでーに沢山の忘れられない思い出を刻んでやるよ」

 妃に対してガンを付ける男の後ろから、取り巻きらしき男達がヤジを飛ばす。

「何だこの知能指数の低そうな奴ら」

 下卑たヤジを飛ばす連中への率直な意見。

「てめっ! 宮辺! 俺様の顔を忘れたなんて言わせねーぞ!」

「あ? 忘れてねーよ。端から覚えてないだけだ」

 顔を真っ赤にして怒り出す凡場を後目に、響は妃と共に散らばった本を集める手伝いをする。

「凡場さん? 何なんすか、この生意気そーな女は」

「知り合いっすか?」

「俺だよ俺! 天ヶ瀧の爆弾野郎こと凡場久秀様だ! ヤクザも平伏す天ヶ瀧最強の不良様だぞ? 憶えてるだろ?」

「芸名だっさ。だから誰だよ」

「元級友の顔を忘れんな!」

 こんな奴いただろうか。いたようないないような。響は真剣に中学生の頃の記憶を辿る。思い出せない。

 中学時代、意図的に周囲と関らないように生きてきた響。友人も居らず、自ら孤高を保ったぼっち生活故の弊害だった。

「悪いが芸人志望に興味ねーんだわ」

「芸人じゃねえ!」

「君達! 彼女達から離れたまえ!」

 騒ぎを聞きつけてやってきたのだろう。生徒会長の天海が響と凡場を遮るように立ちはだかった。

「ケッ! 何だよゆーとーせー様。被害者はこっちだぜ? おー、いーてーいてー。追突された際にできた傷が疼くぜ」

「柔い不良だな。頭だけでなく身体まで悪いと見える。もう少し健康に気を遣ったらどうだ? 婦女子とぶつかっただけで傷つくようじゃ、社会の荒波など渡っていけまい」

「ハン! 随分と口が回るじゃねえか。頭パープリンばかり集まる底辺学校でお山の大将気取って楽しいか、ビンボー人?」

 天海が口を噤む。これまでの優等生の仮面を外したかのような悪鬼のような表情。明らかな殺意を向けられているにも拘らず、凡場は気にした様子はない。

 散らばった本を回収する妃の下、凡場は一冊の本が目についた。凡場とぶつかった際に落ちた妃の本だ。

「恋愛成就! 彼氏と行きたい如月市デートスポット~? おいおい何だよ。随分と男に飢えてんじゃねえか。何なら俺が付き合ってやってもいいんだぜえ?」

「ぎゃははは! かっけー! かっけーっすよ! 面と向かっての告白、痺れるっす!」

「お似合いっすよ凡場さん! 稀に見る美談美女カップルっす!」

「おうおう、喜べよ姉ちゃんよう!」

 そんなヤジを飛ばす凡場達。それを見つめる妃の瞳は……歓喜に満ち溢れていた。

「本当ですの?」

 煌めく視線が凡場に突き刺さる。

 思ってもなかった反応にたじろぐ凡場だが、妃の勢いは止まらない。

「本当に私に付き合ってくださるんですの?」

「え? あ……ああ」

「やりましたわ~! では凡場さん! 今日の放課後、早速付き合ってくださいませ! 校門で待っていますわ~!」

 足取りも軽やかにその場を立ち去る妃を見て、呆然とする一同。

 積み上げられた本の山。最早、担任からの頼まれごとも頭から抜け落ちているらしい。

 凡場は放心していた。軽い気持ちで、しかも相手を小馬鹿にするために放った言葉で、何故か告白が成功したことに頭が追い付かない。

 ふらふらとその場を後にする凡場。

「嘘だ! 嘘だあああ!」

「何故ですか妃さん! 何故えええ!」

「ああああああ! あおああああああ!」

 絡まれる妃を救おうと集まるも、不良を恐れて物陰に隠れ窺っていた男子生徒達の嘆きの声。

 どうする? とばかりに困惑の表情を突き合わせる残された取り巻き達と響。

 そして……殺気だった表情で拳を握り締める生徒会長の姿がそこにあった。


 いさぬき公園。鯖江道の住民の憩いの場所に、一人佇む凡場の姿。

 彼は懊悩していた。

 中学時代、悪ぶり偉ぶりやりたい放題していた彼であったが、異性との交際に関してはてんで縁がなかった。

 ましてや、図らずしも口説き落とした相手が財閥令嬢。

 単に中学時代、周囲を見下した態度が気に入らなかった級友をおちょくるために取った行動で、こんなことになるとは。

 凡場も掃き溜めのような堅洲高校に滋野財閥の御令嬢が入学したという話は聞いていた。ただ、顔も知らなかった上、まさかあの陰キャぼっち女がそんな高貴な御令嬢と交友関係を持っているなど露ほども思わなかったのである。

 どうにも落ち着かない。元より恋愛などに興味はなかったが、だからと言って極上の異性に誘われても平然としてられるほど、凡場は大人にはなりきれなかった。

「お待たせしましたわ~!」

 輝く笑顔で駆け寄ってくる妃。少し買う物があると言って、凡場を先に公園に向かわせていたのだ。

「さあさあ、凡場様! こっちこっち、こっちですわ~!」

 有無も言わさぬ勢いで、凡場の手を引き公園の散歩コースを駆け出す。

 色鮮やかな草花が周囲を飾る溜池にて、妃はようやく足を止めた。

「ここですわ、ここ! あの本に乗っていたオススメデートスポットですの!」

「おう、そ、そうか」

 手に残る柔らかな感触にドギマギしている凡場を余所に、妃は鞄から取り出した物。

「じゃじゃ~ん! 使い捨てカメラですわ~! さあさあ、凡場様。溜池をバックにこちらを向いてくださいまし!」

「おう」

 携帯電話のカメラ機能を使えばいいのでは。そんな疑問が生じるも、落ち着いた財閥令嬢には不釣り合いなはしゃぎっぷりに、凡場は口を閉ざす。

 女神の笑顔に促されるまま、ぎこちなくピースサインを作る凡場。

 何枚かの写真を撮った妃は、あのデート本をしばし眺めた後、凡場に近付いた。

「ちょっと失礼しますわね?」

「え? ちょ……!」

 凡場の心臓が大きく跳ねた。甘い香りが鼻孔を支配していく。流れる金糸がこそばゆい。

 妃による突然の抱擁。柔らかな双丘が体に押し付けられているその事実に、凡場の思考がフリーズした。


 溜池の前で抱き合う男女。それを目にして、彼女の脳裏に捨てられたあの日の出来事が思い起こされる。

 この池に身を沈めて幾年月経ったのだろう。

 輝かしき未来に思いをはせる恋人達。

 かつては自分もそうだった。だが今は違う。水底に横たえていた肢体は、当の昔に朽ち果てた。されど、この怨念だけは水の中に霧散することなく死せる魂を繋ぎ止めている。

 憎悪に駆られた死せる女が、溜池から姿を現す。蠢く水死体を思わせる悍ましい姿。抱きしめられる男の後ろに這いずりながら近付いていき……抱擁している女と目が合った。

 何故だろうか。抱擁を続ける少女の蒼い瞳が、嬉しそうに輝いていた。


「最後のスポットはここですわ!」

 まるでテーマパークにやってきた子供のように、ネオン輝く夜のホテルを前にして満面の笑みを浮かべる妃。

 凡場は夢見心地だった。これまで恐怖で相手を屈服させ、跪く連中を見ては悦に入っていた。相手を振り回すのは、常に自分の都合であった。

 そんな自分が、財閥令嬢と楽しくデート。胸の鼓動が激しすぎて、まともに会話もできない有様だったが、そんなことはお構いなしとばかりに目の前の美少女は楽し気に振る舞っている。

 妃と過ごしている内に、ゆっくりと、そして着実に心に余裕が生まれつつある。デートの締めのホテル……つまりはそういうことでいいんだな?

 思い描くのは薔薇色の未来。

 凡場は今、前だけを見ていた。己に訪れるであろう輝かしい未来を。美しい妻。莫大な財産。それらを手にする可能性に脳を焼かれていた。

 それがいけなかったのだろう。彼は振り返るべきであったのだ。さすれば、自分に迫る破滅を察する事が出来たというのに。

 妃と腕を組んでホテルに向かう凡場の後ろ。水に濡れた足跡があった。血に塗れた手形があった。月光を透かす人影があった。そして……。

 夜の帳に凡場の絶叫が木霊した。


 振り下ろした脚が、傘を踏み砕く。

 夜の堅洲高校の校舎裏で、天海はその鬱憤を盗み出していた妃の傘にぶつけていた。

 この程度で絶望は晴れない。あの女、折角自分が目にかけてやったというのに、よりにもよってあんな低能な男と……。

 天海の心を、焦燥が支配する。お山の大将という不良の言葉が何度も繰り返し頭を揺さぶっていた。

 天海の父親は別の女を作って失踪していた。残された母も初めは大切に育ててくれていたが、再婚相手ができてからは、新たに儲けた子供ばかりに愛情を注いでいた。

 それでも、母はまだろくでなしの父親のように自分を捨てたわけではない。今はまだ。日に日に父親に似てきた天海から、母の愛がいずれ完全に消え去るのは目に見えていた。

 捨てられたくない。その一心で、自分の価値を高めるために勉学や運動に励み、認められようと足搔いていた。母は見向きもしなかった。

 再婚相手も自分の種から生まれたわけではない天海を軽んじ、本来望んでいた進学先も学費を理由に断念する。最も安いこの高校だけが、財布を義父に握られた天海が許された唯一の学び舎だった。

 お山の大将。まさしくその通りだ。こんな底辺高校の頂点を取ったところで、自分の価値を認めさせることなど夢のまた夢だ。生徒会長になった。学年一の成績になった。スポーツで活躍した。そんな評価も、母親にとっては無価値だったらしい。冷たい応答が天海の心を幾度となく貫いた。

 初めて状況が変わった。そう思ったのは新入生の中に妃を認めてからだった。

 滋野財閥の令嬢。家柄、容姿、資産……どれをとっても申し分のない相手だ。彼女を射止める事ができれば、彼女の財力を己がものにすれば、流石に母も認めてくれるはずだ。

 それから一か月。彼女を射止めるために、数々の接触を行ってきた。時には足元で無残にも折れた傘のように、彼女を口説くための工作にも力を入れた。

 だというのに。今日、妃は別の男を選んだのだ。

 このままだと捨てられる。無価値と見做され見捨てられる。

 力なく寮への帰路に就いた彼の耳に、微かな鳴き声が聞こえてきた。

 無造作に道に置かれた段ボール箱の中には漸く目が開いたばかりと思われるサバトラの子猫。

 捨て猫だった。

 天海の脳内にトラウマが蘇る。父親に捨てられた過去。母親に捨てられる未来。この子猫は天海にとって正に悪夢の象徴だった。

 悪夢は消さなければならない。何時もと同じ方法で取り除くのだ。

 掌に収まる程度の石を手に取った天海は、弱々しく鳴き声を上げる子猫の頭部に狙いを定め……振り下ろそうとして、気付く。

 自分の背後に月光に照らされた何かが影を落す。

 振り返ると、そこには黄金の瞳が輝いていた。闇に紛れるような黒い体毛が、月光によって輪郭を形作る。巨大な雌獅子の姿がそこにあった。

 獅子が天海に飛び掛かる。開かれた顎に光る牙。天海の視界が暗転した。


 朝食が済んだ後、登校までの僅かな時間。

 今日も今日とて、響は御桜館の客間で本を眺めていた。

 ホプキンスと名が刻まれた革表紙の分厚いノートだ。

 燈子はキッチンに食器を片付けに行って客間に居らず、刈萱だけがはしゃいでいる。

 否。刈萱とじゃれあうもう一匹の毛玉の姿。サバトラの子猫だ。

 今日の朝。何時も通りに響が新聞を取りに行くと珍しいことに、何時もは我関せずで桜の木の下で昼寝に興じる片喰が、響の跡をつけてきた。

 その口に咥えられていたのは一匹の子猫。この小さな客と共に館の中に入ってきた片喰は、仇なす怪異を警戒してか子猫から視線を外さない。

「かわいいね~」

「うん」

 環と遼は、じゃれあう二匹の獣の姿を、蕩けた表情で眺めている。

「それでどうする? そこの黒いのならともかく、家で普通の猫を飼うのはお勧めできんぞ」

 客間に戻ってきて早々の燈子の言葉に、環は自信満々で答えた。

「だいじょ~ぶ! もう引き取り先は見つかったよ! みゃー君のお姉さんが引き取ってくれるって!」

 良かったねえと環は子猫を撫でた。

「ただいま帰りましたわ~!」

 玄関で元気の良い声が響く。

「あ! 妃ちゃん帰ってきた!」

 凡場との一件を響から聞かされていた一同は、己が好奇心を満たすためにぞろぞろと玄関に移動する。

 開かれた扉の前には満面の笑みを湛えた妃……そして放心した様子の凡場の姿があった。

「暑い夜でしたわ! 堪能しましたわ!」 

「本当ですか? デートで朝帰り……大人の階段とか登っちゃいましたか?」

 艶々した表情を見せる妃の姿に、遼の頬が赤く染まる。

「ええ! ホテルの一室で繰り広げられる怪異と亡霊達の大乱闘! この世の秘密を解き明かして、また一つ大人になれましたわ!」

「へ?」

「曰く付きの溜池とかトンネルとかでも沢山写真を撮りましたし、今から現像が楽しみですわ!」

 思ってもいなかった回答に目を丸くする遼。

 よくよく見れば妃の様子は、恋する乙女の表情でなく、何時もと変わらぬ冒険好きな御嬢様のものだ。

「……妃。あの本、ちょっと貸してくれ」

 妃から手渡された「恋愛成就! 彼氏と行きたい如月市デートスポット」を流し読みして見ると、響は目的のページを見つけて頭を抱える。

 覗き込む環と遼。彼女達の目に飛び込んできたのは「破局率100%! カップルで行ってはいけない呪われたデートスポット集!」の見出し。

 以降のページは何処も彼処も男女で赴けば呪われると銘打たれた怪奇スポットだらけ。それこそが妃の求めるものだった。

 上の空のまま微動だにしない凡場を見て、憐みの視線を向ける響。そこに空気を読まない少女の声が木霊した。

「キィエエエ! デート? デートデートデートォ? き、貴様! 妃姉様を汚したな! 私だけの柔肌を汚したな! その汚らわしい股間の腕白息子を今から親離れさせてやる! 死にさらせえええ!」

 どこからともなく現れた、ホッケーマスクの少女。響達が制止する暇もなく、鉈を片手に凡場に突撃する。

 そんな怪異を目撃して、凡場の理性はとうとう限界に達した。

「ぎいいいああああああ……!」

 凄まじい奇声を上げながら、御桜館を走り去る凡場。

 それを追いかける早苗の姿を眺めながら、そろそろ登校時間だなと現実逃避する響であった。


 なんだか体の調子がおかしい。

 あの悪夢の一夜から三日。何とかメンタルを回復した凡場であったが、体の節々で違和感を感じていた。

 首が絞めつけられるように苦しい。腹が切り裂かれたかのように痛い。耳鳴りは酷いし眩暈もする。

 痛む体に耐えつつも、無断で休んでいた学校生活に復帰する。

「ちーっす! お久しぶりっす凡場さん!」

「おう」

 集まってきた取り巻きにぞんざいな挨拶を返す。

 凡場の倦怠感を読み取れない取り巻き達が、今日はどんなことをして過ごそうかと笑いながら話していた。

「そーいや、凡場さん。知ってるっすか? あのゆーとーせーの生徒会長、くたばったようっすよ」

「ほ~ん」

「何でも頭を砕かれた状態で見つかったらしくて。頭潰しが人間を標的にしだしたって専らの噂っす」

「そうか」

 普段ならば大笑いして「ざまあみろ」とでも悪態をつくところであろうが、今の凡場にはそんな気力もない。

「死体の側には段ボール箱が置かれていたらしくて、捨て猫でもかばったんすかねえ。ヒーローらしい死に様に涙が出るっすよ、ぎゃははは!」

 不謹慎な内容の会話で盛り上がる不良達の下に、駆け寄ってくる姿があった。

 それを認めた凡場の背筋に冷たいものが走る。

「凡場様! おはようございます!」

 人懐っこい笑顔を湛えた妃だった。

「おおう! 凡場さんの彼女の御登場だ! 妬けるね~!」

「ホテルでどんなことして過ごしたんすか~? 噂になってますよ妃ちゅわ~ん」

「それはそれはもう! 熱い一時でしたわ~!」

 囃し立てる取り巻き達。それに対して凡場は心臓が締め付けられる思いをしながら、ようやく言葉をひり出した。

「……なんのようだ」

「そう! 凡場様に見て欲しいものがあるのです! よく撮れてますわ~!」

 手渡されたのは写真。それを見て固まる凡場。

 よもや恥ずかしい姿でも撮られたのかと、にやついた様子で取り巻き達は写真を覗き込み……絶句した。

 溜池の写真。凡場に寄り掛かる水死体のような女の姿。凡場の服が池の水で濡れていた。

 雑木林の写真。無数の首だけの女の髪が、凡場の首に巻き付いて締め上げていた。

 トンネルの写真。血だまりの中佇む凡場。その下半身は切り取られたように消え去っており、上半身だけが浮いている。

 目を見張る無数の心霊写真の数々。それを嬉々とした表情で手渡す妃を見て、取り巻き達もようやく目の前の少女がヤバい存在だと認識したようだ。

「それで、今度は何処に行きましょう? まだまだ行ってみたい怪奇スポットは残っていますの? 付き合ってもらえますわよね?」

 極上の笑顔を向ける妃を見て。凡場はゆっくりと校門に体を向けた。

 振り返るその顔には、妃に返す極上の笑顔。

「二度と付き合うかバーカ!」

 子供のような捨て台詞を残し、凡場は学校から走り去る。

 目指すは宝嶺寺。呪いを解いてもらわなければならない。明らかに呪いからくる体の不調にもめげず、寺に向かって全力疾走する凡場であった。

 取り残された妃は困ったような表情を浮かべていた。

「むう……断られてしまいました。どうしましょう? 殿方と一緒に向かわなければ、怪奇現象が起きないのですが……」

 強請る様な視線を取り巻き達に向ける。

 青ざめた彼らは首を必死に横に振っていた。


 以降。妃を口説き落とそうとする男が現れる事はなかった。


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