オレの番に擦り寄るな
珍しくキューがオレより先に起きていた。
可愛い顔でオレに朝の挨拶をしてくれるキューに、今日も癒される。
しかしその後に続いた言葉に、オレはクソギツネに対しての怒りを覚えた。
『今朝もお狐様に夢の世界に連れて行かれたよ』
それだけでもムカつくのに、クソギツネはどうやらオレの番に擦り寄ったらしい。
キューがクソギツネを庇う。
『すまなかった、余計なお世話を焼いてしまったって反省してたよ』
『お狐様、現世では声が届かないんだって』
オレの番に擦り寄るな。
その言葉をぐっと飲み込む。
キューにかっこ悪いところは見せられない。
怒りの感情くらい、キューの前ではコントロールしないと。
でも、その分どうかオレを癒して。
『兄様ぎゅー』
キューと抱きしめ合う。
この子は、オレが目を離すとすぐに危ない目に遭うんだから。
やっぱり、この子はオレが守ってあげなくちゃ。
『キュー、愛してるよ』
『私もだよ』
愛を告げながらキスの雨を降らせる。
刺青だけではダメだとわかったので、マーキングだ。
オレの匂いが顔中に、身体中に残ればいいのに。
『兄様、心配しなくてもキューはずっと兄様と一緒にいるよ』
キューの言葉が今でも耳に残る。
どうか本当にそうであってほしい。
その後はいつも通りの一日を過ごした。
今度こそキューがクソギツネに攫われないことを祈って。




