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クソギツネめ
あのクソギツネが、キューに接触したらしい。
短時間とはいえ神隠しされたのがムカつく。
オレの力は強大だが、そもそもあのクソギツネから与えられた力なのであれにだけは勝てない。
しかもキュー曰く、キューを逃がそうとして刺青まで消そうとしたらしい。
「ふざけるなよクソギツネ…」
オレをこんな半分くらい妖…狐に近い性質にしたくせに、番を奪うなんて許されると思うなよ。
「キューはオレの番だ…誰にも渡さない」
この宣言は自分への誓いであり、あのクソギツネへの怒りだ。
「まあ…そもそもキューがオレから離れるなんて、あり得ないんだけど」
キューは前世のこともあってか、オレにものすごく懐いている。
寺の面々も自立したり入ってきたりするからちょくちょく変わるとはいえ、キューは彼らも大切にしているし。
だからキューが自らの意思でこの寺を出て行くなんてそもそもあり得ないのだ。
「けど…クソギツネは絶対に泣かす。いつか必ず泣かす」
オレはそう決めて、風呂から上がった。
あとはキューが入れ替わりで風呂に入って、一緒に添い寝するだけだ。
…今度は、攫われないでほしい。




