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神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました  作者: 下菊みこと


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以前の主人の今を知る

乳母を辞め、退職金をたくさんいただき。


家族と穏やかに、けれど途方も無い罪悪感を抱えて生きてきた。


そして今日、天罰が下った。


「キューケン様の乳母だった者で間違いないな」


「え、はい」


「自分のしたことは…わかっているな?」


買い物を終え、一人で帰路に着いた。


そこで知らない人に話しかけられる。


その言葉に、とうとう因果が巡ったと悟った。


「…はい」


「貴様の家族にまで責は及ばない。これはキューケン様と同じ年頃の子供がいると調べがついているからだ」


「ありがとうございますっ…」


「だが貴様のしたことは重い。お咎めなしとはいかない」


「はい、存じております」


家族を助けてくださるだけで十分。


どこの誰かは知らないが、キューケン様のことを慕っていることでおそらくパラディース教の者だろうとわかる。


キューケン様はおそらく、教主と同じ色を宿しているからと拾われそこでは慕われているのだろう。


つまり、今は幸せに暮らしていらっしゃるのだ。


場違いにも、そして筋違いにもほどがあるが…心底ほっとした。


「…覚悟が出来ているだけマシだな。お前の家族との穏やかな別れは期待するなよ。悪いがこのまま連れて行く。お前の受ける罰は、愛した家族との言葉も交わせないままの今生の別れだ」


「…はい」


「ああ。家族に責は及ばないと言ったが、因果は巡るな。お前という家族を突然失うことになる」


「…」


家族には申し訳ないが、しかし受けるべき罰ではある。


だから、ごめんなさい。


「…さ、行くぞ」


「はい」


抵抗もせず、男について行く。


連れていかれた先は、村から遠く遠く離れた町の炭鉱。


家族ではもう私を見つけられないだろう。


「ここで、大人しく名前を変えて生きること。それがお前の受ける罰だ」


「はい」


ここでどう生活すればいいのだろう。


「ここの坑夫たちは皆若い。そして寮生活だ。だがここは、それなりに待遇は良い鉱山だ。寮母は坑夫たちに快適な生活を送ってもらえるよう誠意を持って働かねばならない。頑張れよ」


「え」


つまりは寮母になれと。


一度は乳母でありながらキューケン様を山に捨てた私に、若者たちを世話しろと。


ああなるほど、罪悪感を抉り続ける素晴らしい罰だ。


「過去を捨て、己を捨て、人に尽くして生きよ。過ぎた罰だと思うなよ。貴様は幼子を山に捨てたのだから」


「はい…」


家族には申し訳ないが。


私はここで、己の罪を清算する人生を送り続けよう。


ああ、せめて家族に高額な退職金を残したまま家を出られたのが救いだろうか。


ごめんね、あなた。


ごめんね、息子たち。


「…けれど、私は許されないの」


自分の犯した罪も告白出来ぬまま、出て行ってしまってごめんなさい。


…そして、キューケン様。


貴女が無事で良かった、人から慕われていてよかったなどと筋違いにも安心してしまって申し訳ありません。


幼い貴女にあのような仕打ちをしたこと、本当に申し訳ありません。


ここで、人生をかけて精一杯罪を償います…。

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