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明らかにヤバい人達だが、無事に拾われた

前世と今世ともに無宗教ではあった。


けれど別に、宗教にさして差別意識もなかった。


それでも、異常な様子を見てしまうと絶句してしまう。


所謂ドン引きというやつで、実際私の今世の両親は私に対してこんな感情だったのだろうと今になって理解が深まった。


だって考えても見てほしい。


「とりあえず土下座を止めてもらっていいですか…?」


良い歳をした大人たちが、私に向かって急に土下座するんだもの。


いくらなんでも行き過ぎた行為だと思うのだ。


そして全員が同じような服を着ていること、ここで会ったことを考えれば当然彼らはパラディース教とやらの教徒だと理解出来るわけで。


…宗教って、怖いなぁ。


そもそも何故私は土下座されているのか。


「我々は不敬にもあなた様を横切ってしまったことに対して、謝罪しなければならないのです!あなた様の許しがあるまで土下座せねばなりません!」


怖いなぁ、理屈がわからないよ。


「…許します、なので顔を上げて身体を起こしてください」


「なんとお優しい!さすがは天主さまと同じ色を宿していらっしゃるお方だ」


どういうことなんでしょうか。


天主さまとはなんぞや。


「ところで、あなた様は何故このような場所に?いや、その前にお名前は?」


「何故…」


捨てられたから、とは答えにくい。


ああ、そもそも彼らに保護されるのが今の一番の目標ではあるのだ。


適当に合わせて、猫も被っておこう。


「…キューは、キューケンです」


「おお、透き通ったようなお声だ」


「キューは、この先にあるパラディース教に入信しにきました」


「…!なんと、これは目出度い!!!」


パラディース教の教徒である彼らは、盛大に喜ぶ。


「であれば、キューケンさま。どうか私の背中にお乗りください。おぶって連れて行って差し上げます」


「ありがとう。キュー疲れてたの」


…我ながら下手な猫かぶりだとは思うが、幼女の話し方などとんと判らないので許してほしい。


屋敷から出ていないので、幼女と知り合う機会もなかったのだ。


「…キュー、重くない?」


「いえいえ、お気になさらないでください。寝てしまっても構いませんよ」


そのお言葉に甘えて、ぐっすり眠らせてもらう。


だって、疲れてしまっていたから。


乳母に捨てられたのは、私が思うより私にとってショックだったらしかった。

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