兄様は時々体調を崩すらしい
ある日。
添い寝していたはずなのに目覚めると自室で寝ていた。
これはどういうことかと混乱したが、そこにいつものお目付役の彼がきた。
曰く、兄様のお身体が優れないためこのような形になったとのこと。
…つまりどういうことでしょうか。
「…キューケン様がいらしてからしばらくは、大変にお身体の調子が良くこのようなことはなかったのですが」
「前から兄様が体調を崩すことはあったんだね」
「…はい。秘密にしていたわけではないのですが、もしや治ったのではないかと思って」
「なるほど」
兄様は身体が弱かったのか。
「ゴッドリープ様は、赤子の頃より頻繁にお身体の調子が悪くなることがありまして」
「頻繁に?」
「はい。キューケン様がいらしてからしばらく体調が良い日が続いたのは、奇跡と言っていいほどです」
そんなに身体が悪いのか。
気付かなかった自分が情けない。
「でも、一人じゃ心細いんじゃないの?どうして私を部屋に戻したの?」
彼は少し言い淀む。
言いづらいことなのか。
「ゴッドリープ様は…理由は誰にも打ち明けられませんが、体調を崩した際には絶対に人を寄せ付けないのです」
「え」
「部屋にこもり、何も飲み食いせず。しかし次の朝には元の元気なお姿を取り戻されていますが…」
…それは、体調不良ではなくて別の何かでは?
いやいや、でも一人で邪魔されず懇々と眠ることによって体力を回復させてケロッと良くなるのかも。
いずれにしろ、私がいては困るからとここに戻されたのか。
…兄様の私への愛は、疑いの余地すらない。
だから邪魔者扱いされているわけではなく事情があるからこそのこととはわかるが…ショックだ。
「キューケン様…」
「ショック」
「その」
「変な意味じゃなくて、兄様は疑ってない。ただ、肝心な時に兄様の役に立てない私自身がショック」
そう。
兄様にとって、役立たずになるのが嫌だった。
「キューケン様…」
「でも、兄様がそこまでするって相当。普段キューを手放したがらないから」
「そう、ですね」
「そうしなきゃいけないほどのことなのはわかるよ。キュー、邪魔しちゃいけない」
彼は控えめにこくりと頷いた。
「でも、ずっと一緒だったから。一日でもお顔が見られないのは、やっぱり寂しいな」
しょぼんとした私に彼は慌てる。
大丈夫だよ、と言ったが彼は悩んでくれて。
悩んだ末に菓子をくれたのには笑ってしまった。
幼子にはとりあえず菓子を与えておけというのは、どの世界でも共通認識らしい。
笑ったら元気が出たのだが、本当はこの菓子も兄様と一緒に食べたかったな。




