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神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました  作者: 下菊みこと


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クマを奉る

宿敵ムーンリットへの制裁の根回しも済み、穏やかな日々が戻ってきた。


キューケン様はあれ以来フラッシュバックや過呼吸などの発作が見られることもなく、ゴッドリープ様のもと幸せそうに笑っていらっしゃるのを見て我々としても安心している。


ゴッドリープ様も今回限りは少しばかり苛烈な面を見せられたかと思ったが、その後は穏やかないつもの様子に戻られた。我ら教徒に寄り添い、救いの手を差し伸べてくださり、そしてキューケン様を何よりも愛するいつものゴッドリープ様に他の教徒もほっと息を吐いた。


そんな中で、数ある教徒の中でも我々にだけ下賜されたものがあった。


『クマさん!あげる』


そう言ってキューケン様がくださったのは編みぐるみ。手作りだと一目でわかる、少し作りの粗いそれ。


『可愛い可愛いキューからの先程まで特別な任務についていたお前たちへの労いであり、共に秘密を共有するお前たちへの信頼の証だ。そして、普段の感謝の気持ちでもある』


キューケン様の前世の記憶。


その秘密を守る証。


何より大切にするべき宝。


『貴方は茶色で、貴方は黒!私と兄様ちょっと違って、クマさんじゃなくてキツネさん。兄様が黄色で私は白い子!』


なるほど、ゴッドリープ様とは特別なお揃いにしたかったのだろう。


本当にキューケン様はお可愛らしい。


色がそれぞれ違うのもこだわりなのだろう。


それに、キツネは我らがパラディース教の主神たる豊穣の神の化身とされる。


幼いながらにキューケン様はよく物事を見ていらっしゃる。


「兎にも角にも、この素晴らしい宝であるクマさんは部屋にて奉り拝さねば」


部屋の一角にお祈り用の場所を確保し、クマさんを安置する。


本当のお祈りの時間は、お祈りのための部屋まで出向いて行う。


だが、これは神にではなくゴッドリープ様とキューケン様に捧ぐ祈りだから別枠なのだ。


「きっと、我らが神もわかってくださる」


ふと、視界の端に黄色い尻尾が映った気がした。


もちろん、幻覚だったようで見れば跡形もなく消えているが。


なんだか、我らが神にお許しを受けた気がして嬉しくなる。


「これから先も、ゴッドリープ様とキューケン様の穏やかな日々がずっとずっと続きますように」


そんなささやかな願いを、クマさんに託す。


ゴッドリープ様とキューケン様の心温かな触れ合いを見ていると心が洗われるようで。


そんな幸せをくださるお二人だから、我らもその幸せを守りたい。


合同部屋を使う手と足に痺れがある相方も同じ思いらしく、同じことを隣で真剣に祈っていた。

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