目が覚めると、いつも通り
「…んぅ」
眩しさに目が覚める。
夕日が差し込んでいた。
身体が楽だ。
…ああ、寝ていたのか。
軽くなった身体を起こす。
「おはよう、キュー」
「兄様、もしかしてずっと居てくれたの?」
「今日の仕事は終わらせてあったからね」
なんて優しい兄だろうか。
そう思ってふと思い出した。
先程お目付役の彼を庇わなければと、混乱する頭で要領を得ないことを言った。
その中で前世の記憶があると伝えてしまっていた。
兄様は優しく接してくれたけれど、本当に大丈夫だろうか。
「…兄様」
「うん」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「さっきの話の続きしてもいい?」
私の言葉に、兄様は微笑む。
「もちろんいいよ」
「兄様は、前世の記憶を信じる?」
「キューが言うことは信じるよ。キューはそんな嘘をつく子ではないと知っているからね。それに、すごく怖かったのだろうと伝わってきたから嘘なわけない。けれど、もしかしたらその記憶自体はキューの妄想から生まれたものかもしれないとは思ってる」
兄様は誤魔化さず、正直に言ってくれた。
それにほっとする。
「そっか。そうだね」
「でも、偽の記憶でも本当に前世の記憶があるとしても。キューがそれに苦しんできたのだからそれを笑うつもりも否定するつもりもない。そして、偽の記憶でも本当の記憶でもオレはそれを悪いとは思えない」
「…悪いとは思えない?」
「だって、それごと丸っと含めて全部がキューそのものだから」
…兄様は、血の繋がりなんてないのにどうしてこんなにパーフェクト兄様ムーブが出来るのか。
兄様だからだな、うん。
「…兄様、大好き」
「オレは愛してるよ」
眠る前に色々口走っていたが、結局私の世界はいつも通りだった。
「あ。兄様は偏見はないけど、あの二人以外の他の教徒の前では前世のことは隠しておきなよ。キュー、崇め奉られるの嫌でしょ」
「うん」
「じゃあ…四人の内緒ってことになるのかな。二人は今席を外してるけど、口止めは既にしてあるし」
「そっか」
ということで、兄様への秘密が減ったと思ったら兄様との秘密が一つできた。




