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神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました  作者: 下菊みこと


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フラッシュバック

ムーンリットが来る日だから、一応気をつけて。


兄様にそう言われた。


ムーンリットのこと告げ口してないのによくわかるなぁ、と思って。


そして、まあ滅多なことは起きるまいと油断して普段と変わらず境内に出ていた結果。


襲われた。


「…っ、キューケン様!」


「え?どうした、のっ…!?」


「このくそ女ぁっ!!!」


そこには髪を振り乱し、私に掴みかかってくる少女。


そこに子爵家の娘としての品格もなにもあったものではなく。


正気さえ失った様子で、一心不乱に私を傷つけようと暴れる。


その様に、前世の記憶を…死に際、通り魔に刺されたことを思い出し。


腕に引っかき傷を付けられた、そのくらいのことだったのに。


「…はっ…はぁっ…」


過呼吸、というものを初めて引き起こしてしまった。


「…キューケン様?キューケン様っ」


ムーンリットを押さえていた教徒が、私の様子に気付き取り乱す。


その隙にムーンリットは暴れて教徒の手から逃れ、そのまま下山したらしい。


私は落ち着かない呼吸に苦しむ。


「キューケン様、お気をたしかにっ」


教徒が一生懸命に声掛けしてくれるが、前世のことがフラッシュバックしてそれどころでなくて。


赤い血が。


滴る赤に。


血の気がどんどん引いていく。


それでもなお意識を手放さないのは。


「兄様…っぁ、はっ…はぁっ…」


兄様に心配をかけたくない、その一心で。


ああ、あの時。


兄様みたいな人が『私』にもいれば、生き残れたのかな。


いや、そんなもしもがあったら今の私はいなくて…兄様に出会えてないのか。


なら、やっぱりあそこで死んだのにも意味があったのかな…なんて。


「ふぅっ…ふっ…」


くだらないことを考えて、自分を納得させたからか。


あるいは時間経過のおかげだろうか。


少しずつフラッシュバックは収まって、代わりに兄様の顔が浮かんで。


ああ、そうだ。


あの人を心配させちゃだめだ。


「…ふぅーっ」


うん、落ち着いた。


と、思う。


怖かったけど。


「…キューケン様、大丈夫ですか?」


「うん、キュー落ち着いたよ。でも、ちょっと疲れた」


「お部屋に戻ってお休みください…お守り出来ず、本当に申し訳ございません…」


「ううん。キューね、ちゃんと声聞こえてたよ。お返事できなくてごめんね。すごく助かったよ」


嘘。


聞こえてたけどそれどころじゃなくて。


でも、この人はちゃんと守ってくれた。


怪我はしちゃったけど。


パニックになったのは、私の問題。


「だから、気にしないでね」


「キューケン様っ…」


教徒は、疲れ切った私を抱っこして部屋に連れて帰る。


部屋でぐったりして休んでいた私の元に、兄様が血相を変えて飛び込んでくるとは思わなかった。

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