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神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました  作者: 下菊みこと


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兄様は平気なんだろうか

「じゃあ、キュー。申し訳ないけれど、オレはそろそろ神の子としての仕事があるから」


「お仕事?」


「うん、この総本山には今まさに困っている人たちしかいないからね。そのお悩みを聞いてあげるのがオレの役目なんだよ」


…聞いてどうするんだろう。懺悔的なことなんだろうか。それともアドバイスでもしてやるのか。


「話を聞いて寄り添ってやることで、気持ちを軽くしてやるんだよ」


…なるほど。カウンセリングみたいなものか。


「それに、多少冷静になることで見えてくるものもある。話しているうちに自分がどうしたいか分かってくるものだよ」


うん、たしかに大事かもしれない。


「兄様」


「うん?」


「兄様は、平気?」


私が問えば兄様はきょとんとする。


「どういう意味?」


「人のお悩みを聞いて寄り添うのは、体力がいる」


気力を削がれるから。


「あー…やっぱりキューは賢いね」


頭を撫でられる。幸せ。


「でも、大丈夫だよ。それがオレのお役目だから」


「…無理はしないでね」


懇願するが、お役目だと思っているのなら兄様は変わらず無理するかもしれないなとも思う。


「…ありがとう、キュー。キューが妹になってくれてよかったよ」


本当に嬉しそうな表情で言われる。


やっぱり、神の子兼天主という役割は兄様のような幼子に押し付けるものではないと思う。


けれどパラディース教を心の拠り所としている人たちにそれを言うのは酷なのだろう。


兄様の庇護から自立の促しまでの仕事を考えるに、パラディース教は地の底まで落ちてしまった人たちの最後に縋る宗教なのだろうから。


その宗教がどんどん拡大していくことを考えると、この国大丈夫かなぁとちょっと心配になるけど。


「兄様」


「うん?」


「キューは、兄様の味方だからね」


「…本当にありがとう。じゃあ、今日の仕事が終わったら甘えにくるね」


「うん」


それでいいと思う。


どう甘えてくるのか、私が甘やかしてあげられるのかわからないけど。


普段縋られ与えるだけの人なのだろうから…これからは、せめて私だけでも何かを与えてあげられたら良い。


もしこの色に生まれた、前世の記憶を持ったまま生まれた意味があるのなら…きっと、この孤独な少年のためなのだろう。


今は、人が思うよりよほど辛いだろうその仕事へ向かう小さな背中を見てそう思ってしまうから。


「…兄様、自分のことも大切にしてね」


小さな呟きは、多分兄と呼ぶことになったその人には届いていないだろう。


それでいい。

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