お昼ご飯
「さあ、そろそろお昼だね」
「もうそんな時間かぁ」
「ゴッドリープ様、支度ができました」
「ほらやっぱり。じゃあキュー、部屋に戻ろう」
「うん」
兄様と手を繋いで兄様の部屋に行く。
二人分の豪華な食事の準備ができていた。
ちなみに教徒の皆様は居住区内の食堂で合同で食べるらしい。
「そういえばキュー。嫌いな食べ物やアレルギーは大丈夫?」
「アレルギーはないよ。嫌いな食べ物は…絶望的にまずいご飯以外は大丈夫」
「ふふ、なるほどね。大丈夫そうでよかった」
兄様と一緒に手を合わせていただきますをする。
そしてお箸を持って食べ始める。
この世界は不思議なもので、もしかしたらこの国だけかもしれないけれど和洋折衷な感じの文化だ。
だからこのように和食を食べることもある。洋食のこともあるけれど、パラディース教はなんとなく和っぽい雰囲気だからおそらく和食中心だと思われる。
「わあ、キューはお箸の使い方が上手だね」
「そうかな」
「大人も顔負けだよ」
「兄様もそうだと思う」
「オレはずっとパラディース教にいるからね。まあナイフやフォークも使えるけど」
兄様はなんでもないことのように言うけど、私たちの年齢でそれは本来なら大したことのはずだ。
兄様も転生した前世持ちとかなのだろうか。
なんとなく、違う気がするというか…生まれながらにチートな人な気もするけど。
一応、前世のこととかは兄様にも秘密にしておこうかな。
というか転生してからというもの、人にそれを話したことなどないけれど。
「ふふ。キューには少し量が多い食事かと思っていたけれど、もりもり食べるね」
「キューは結構食べる方」
「それはすごくいいことだね」
「兄様もがっつり食べるね」
「まあね」
そんなこんなで食べ終わり、丁度いいくらいのタイミングで教徒たちが食器を下げにきてくれた。
その後また兄様と二人きりになる。
「ところで、キューはもうトイレトレーニングは卒業済みかな?」
「うん」
「お風呂は?」
「一人で入れるよ」
「夜寝るときは?」
夜寝るときは、乳母が寝かしつけてくれていた。
言い淀む私に、兄様は微笑む。
「トイレとお風呂は大丈夫なようだけど、寝るときは一緒に寝ようか」
「でも」
「遠慮しないで。キューはオレの妹なんだから」
兄様がそう言ってくれるので、素直に甘えることにした。
「ありがとう、兄様」
「どういたしまして」
中身は実際そこまで幼くないので、寝ようとすれば一人でも平気だと思うけど。
兄様の気遣いが、嬉しくて。
甘えてしまうのは、許してほしい。